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◆不定期日記ログ◆

CATEGORY 読書

■2010-12-16
天の道を往き総てを司る男
 水嶋ヒロ先生の『KAGEROU』をちょっと見せてもらった。
 なんでも初日に43万部を売り上げたとは聞いていたが、実際見て、泣けた。
 これほど泣ける小説は初めてだ。
 
 本文中になにか貼り付いてると思ったら、
 それは誤植部分をカバーする訂正シールだった。 
 編集者として最も見たくないモノである。

 訂正シール貼りのエース(褒め言葉ではない)の異名をもつ俺でも、
 2万冊に訂正シールを貼る仕事をしたときは相当凹んだ。
 それが43万冊積んであると思ったら相当泣ける。 
 43万……やっとベジータを退けたところにフリーザクラスかよ……

 えっと、他のページについては読んでないのでよくわかりません。


 しかしこの売り上げ、日本中で相当な額のお金が動いたことになる。
 初日の動きだから、話題だけでもこれだけのお金を動かせるのだ。
 まぎれもないスターである。

 「大きくなったら仮面ライダーになりたい」っていう子、今でも結構いるみたいだけれど、水嶋ヒロ先生を見てると意味合いが随分変わってくるな。
 
■2010-09-07
太陽戦隊ジャンバルジャン
 朝から図書館へ行って、資料探しをした。
 目的は『フランス―その国土と人々』という本。
 帝国書院の『全訳 世界の地理教科書』シリーズのひとつで、実際にフランスで使用された地理教科書を和訳したモノだ。

 1977年版なので、当然、EUはおろかECも出てこない。
 外国の教科書に興味があって探してみたんだが、よく考えたら地理の教科書なんて数年で使い物にならなくなるナマモノである。
 これをもってフランスの教育がどうこう、なんていうネタには使えない。

 翻訳の口調が教科書らしくなくて面白いなーと思って読んでいたら、交通のページに、交通事故の写真が掲載されていた。
 折り重なる車の残骸の写真の横に、キャプションで小さく

 「ああ無情!」

 とだけ書かれていたのが投げやりで良かった。
 レ・ミゼラブルって書いてあったんだろうな……たぶん。
 
■2010-08-28
夏休み読書感想文
 ジャレド・ダイアモンド博士の『文明崩壊』を読了。
 現在・過去の文明の崩壊っぷりから環境問題を語る本。
 さすがに前著『銃・病原菌・鉄』には新鮮さでやや及ばないが、知的好奇心を充填してくれる大作であった。
 ハードカバー上下巻あわせて900ページ弱だが、環境問題について多面的に知りたい人は挑戦するといいよ。


 さて『銃・病原菌・鉄』と同様、この本でも、同じテーマをいくつもの違う土地でなぞる方法で論が進んでいく。
 今回、何度も出てくるのは「人間がやってきて、森を切り開き、その悪影響によって自滅した」というシナリオだ。

 我々は畑も森も同じ「緑」として認識しがちだけれど、畑というのは確実に土地を疲弊させている。
 結局のところ、農業も、土中の栄養を集めているという考え方をすれば、狩猟採集と変わらない。石油や鉱物や海洋資源と同じく、乱獲すれば枯渇する。
 また、耕した畑は風雨による侵食を受けやすい。放置されればあっというまに土壌が流出する。
 AOCプレイヤーはよくご存知だと思うが、畑を張るのには木が必要だ。
 森が食料生産を支えている。

 食料自給率を上げろ、というキャンペーンがずいぶん前から張られているが、「金を払って食料を輸入する」ということは「食料生産に関する環境負荷を、相手国に負担してもらう」という側面が意識されていない。
 もし食料自給率を高めて、日本の農業規模を倍にすれば、森林伐採をはじめとする環境負荷も倍になるだろう。


 この問題に人類はどう立ち向かうんだろう。
 第2部に、グリーンランドを発見したヴァイキングが、ヨーロッパ風の生活様式を貫き、その団結力で痩せた土地に文明を築いた話が出てくる。
 しかし、300~400年を過ごすうち、彼らは気候の寒冷化という危機に見舞われる。
 ヒツジやウシを飼うのをやめ、イヌイットに学んでアザラシを捕れば、寒冷期を越えられたかもしれないが、彼らはヨーロッパ的価値観を捨てることができずに、歴史から姿を消した。

 「不適切な条件のもとで人々が最も頑迷にこだわる価値観というものは、過去に、環境に対する最も偉大な勝利をもたらしたものでもある」とダイアモンド博士は言う。

 我々が捨てるべき価値観とは何か?
 その回答になりそうなモノはいくつか挙げられているが、個人的に気になったのはそのどれでもない。

 第2部の最後に、ティコピア島の人々の生活が、崩壊をまぬがれた例として出てくる。
 外部からの支援がない孤島では、生産できる食料は限られ、したがって支えられる人口も限られる。
 人口を抑制するため、多産は非難され、堕胎や嬰児殺が日常的に行われた。
 入水自殺も数多く記録されているという。

 ひょっとして、我々が捨てるべき価値観は、
 「生めよ、ふえよ、地に満ちよ」
 「子孫繁栄は人類の願い」
 という類のものじゃあないだろうか。

 ダイアモンド博士は「人口増加率は減少に転じている」と記載するにとどめたが、人間を減らさないことには、環境問題はクリアできない気がする。
 人口過密が環境ストレスを呼び、それが紛争などの政治ストレスにつながるのが文明崩壊へのシナリオだ。
 中国の一人っ子政策は成功したとは言いがたいが、今後こういう試みが世界各地で行われる日が来るかもしれない。誰だってギレン・ザビが「せっかく減った人口です」なんて言う状態にはなりたくないんだから。
 
■2008-03-28
太宰×漱石2
 山路を登りながら、こう考えた。
 智に働けばメロスが激怒する。情に棹させばメロスが激怒する。意地を通せばメロスが激怒する。とかくに人の世は住みにくい。
 
■2008-03-27
太宰×漱石1
 メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。メロスはここではじめて人間というものを見た。
 
■2007-09-07
フレッシュ!
 
 『生いたちの記』のことを、「ナマイタチの記」だと思っていたあの頃。
 
 
■2007-08-20
読書日記
スプー(トニク)の恋(人)
「スプーの恋」

 とても期待できるタイトルだったので読み始めてみたが
 なかなかスプーやしょうこお姉さんが出てこない。

 それもそのはず、よく見たらこれは正確なタイトルでなく、
 一部が意図的に隠されたものであった。騙された。
 正しくは、

 「スプーと肉の恋人」

 である。

 期待は高まるばかりだ。
 
■2006-10-19
冊子紹介
 『猫語の教科書』という本がある。
 著者はアメリカの作家ポール・ギャリコ。

 この本は、別にミャウリンガルとかの話ではなく、母猫が書いた子猫のための『人間支配術』のハウツー本という設定だ。
 猫は飼うものではなく「支配していただくもの」という、僕の猫観の大部分を形作った本である(その猫観はえも子の登場で破壊されたが)。
 この前、文庫化されてるのを本屋で見かけて思わず買ってしまった。
 ソフトカバーのも持ってるのに。
 しかしそれくらい、猫好きな人にはマストバイな本であるとオススメしたい。

 なんで突然『猫語の教科書』の話なんか思い出したかというと、
 先日の日記で触れた『ポセイドンアドベンチャー』の原作がポール・ギャリコだということがわかったからだ。
 接点ねぇー…
 
■2006-06-16
ロマンはどこだ
 いまさら『陽気なギャングが地球を回す』読了ッ!

 ひさしぶりにスカッとする小説を読んだ。
 こういう爽快感がある小説は、ともすると中二病患者っぽい雰囲気になってしまって痛々しいものだが、これはそれほど斜に構えた感じもなく、スッキリと読み終えられた。

 でもどうせアレだろ、お前ギャングって聞くと「僕は、ギャングスターになります!」とかすぐに連想するクチだろ。
 いいよわかった。そんなお前の興味を引くように、ジョジョにたとえて感想を書いてやる!

 主な登場人物は4人。
 普段は公務員だったり派遣社員だったりするが、副業で銀行強盗をやっている。

 リーダーは成瀬。
 ブチャラティのごとき判断力と、ジョルノのごとき冷静さを兼ね揃えた最強のリーダーだ。
 相手の表情から嘘を100%見破るのが特技。

 そして成瀬の友人の響野。
 とにかく喋る人。喋りまくって状況を読者にわかりやすくしてくれる。
 たとえるならミスタ。キャラのポジション的にもミスタ。

 スリの名手、久遠。
 動物好きの少年で、その無邪気な様子はまさにナランチャ。
 主に情報収集(スッたアイテム)の方面で活躍する。

 紅一点の雪子。
 ムーディ・ブルースより正確な時間記憶を持つクールビューティ。
 しかし息子のことになるとすごい執着心をあらわし、そのキレっぷりはフーゴを凌ぐ。

 この4人が、銀行強盗のあと別の事件に巻き込まれ、さらにえげつない銀行強盗犯と対決するお話。
 複線もポンポン消化してくれるし、時系列が前後するわりにはテンポも良い。「お前が攻撃してくるということを俺が予測している、ということをお前は予測していた、ということを俺が予測していなかったと思うか?(ジョジョ4部)」的な爽快感を味わいたい人に超絶オススメの一冊でした。

 個人的には、成瀬さんの嘘発見能力があまりに強力でバランスを崩しているので、表情だけじゃなく汗を舐める必要があるとかそのくらいの縛りをつけたほうがいいと思った。
 この味は嘘をついている味だぜ。
 
■2006-06-09
ジョジョに奇妙な文学作品
 あすなろ物語~黄金の旋風~

「あすは檜になろう、あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。
 でも永久に檜にはなれないんだって!
 それであすなろというのよ」

「オイ冴子…さっきからうるせえぞ、
 『あすは檜になる』『あすは檜になる』ってよォ~~
 そういう言葉はオレたちの世界にはねーんだぜ…

 『あすは檜になる』…そんな言葉は使う必要がねーんだ…
 なぜなら、檜や、檜たちの仲間は、その言葉を思い浮かべた時には!
 実際に檜になっちまって、もうすでに終わってるからだッ!
 『檜になった』なら使ってもいいッ!」


 あすなろ物語~ファントム・ブラッド~

「あすは檜になろう、あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。
 でも永久に檜にはなれないんだって!
 それであすなろというのよ。
 ところで明日って…いつの明日よ?」

「あ…明日さ…」

「鮎太…あんたの一番怖いことってなあに?」

 パッシィァ!(平手)

「一番怖いのはこの痛みなの?
 あんた…大人になっても檜になれない方がもっと怖いとは思わないの?」


 最終的におせっかい焼きの信子・E・O・スピードワゴンに
「こいつはくせえッー!翌檜以下の臭いがプンプンするぜッ―――ッ!!
 明日は檜になるだと?ちがうねッ!こいつは何になろうとも思ってねぇッ!」
 とか言われる始末。台無しだ。
 
■2006-06-05
ダヴィ・ンチ・コード
 風邪で数日間身動きが取れなかった。
 身動きが取れないなりに会社へは行っていた。
 今では反省している。

 さて、そんなわけでずーっと書けなかった『ダ・ヴィンチ・コード』のお話です。
 文庫本を読み終わりました。映画はまだ観てません。
 「ダヴィチンコード」でググッたらスデに200件オーバー。このネタ破棄。
 …それじゃあできるだけネタバレしないように語るか。

 小説を読み終わってみて一番気になったのは、この物語の主な部分がぜんぜんダヴィンチのコードでない点である。
 ダヴィンチの仕掛けた暗号の話は、作中でのうんちくに使われるのがほとんどで、主となるのは冒頭で殺害されるシオン修道会の偉い人(ヒロインの祖父)が仕掛けた暗号を追う部分だ。
 ダヴィンチが、あるいはシオン修道会が隠した聖杯の話ももちろんそれに絡んでいるのだが、聖杯の正体よりも、ヒロインが祖父から聞き損ねた「家族にまつわる大事な話」の正体のほうに何度も伏線が張りなおされる。

 これダヴィンチの話じゃないじゃん。
 密室からの大脱走から始まって、意外な犯人とか、死んだと思っていた人間が実は!とか、事件解決後に事件の真の姿が明らかになったりとか、ミステリ好きにはたまらない小説じゃん。
 教会の人がマジレスするにはちょっとお門違いだろ、これは。
 マジレスするならもっと聖杯研究を主題にすえた本にマジレスすべきだと思う。
 でもオプスデイの人がマジレスするのはしょうがないかなあと思った。
 
■2003-06-08
お詫び
 ここのところ日記が停滞しているのは、
 俺が「詭弁論理学」という本を読んでいるからである。

 「詭弁論理学」という本は、俺にとって非常に面白い本である。

 よって、俺は面白いことがあると、日記が停滞する。