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◆不定期日記ログ◆

LOG 2010-07

■2010-07-01
ベッドとベット
 ニトリにベッドを見に行ったとき、「ベッド」と「ベット」の表記が混在していたのが気になった。
 お値段以上に気になった。
 いまさら「ベット」という表記を責めるつもりはないが、せめて統一してくれ。

 以前の日記でも触れたが、我々日本人が許容できる発音は随分増えた。
 かつては「ッ」のあとに濁音が来るような単語は受け入れにくかったのだろう。その結果生まれたのが「ソファーベット」であり「ビックチャンス」であり「エコバック」なのだ。
 すでに外来語として定着しているのでまあいいかと思うが、やはり古い表記だなという印象はぬぐえない。

 しかし我々はそれを笑えるだろうか?
 たとえばエッグやレッグ、ヘッドやレッドなどは迷わず濁点がつけられる。
 だが「シンドバッド」は?「テトラポッド」は?「ロビンフッド」は?「キューピッド」は?
 濁点つきの表記が正しいと自信を持って言えるだろうか?
 外来語の最後が濁るかどうかは発音上も聞き取りにくいことが多く、綴りを意識しない限り混同は避けられない。

 ここでふと心配になった。
 我々が宛名シールなどに使っている、プリンタ用ラベル「タックシール」。あれは本当に「タック」でいいのか?
 タックには「仮どめ」などの意味があり、シールとしては間違っていないような気がするが、宛名を示すのが主な目的なのだから「タグ・シール」だったのではないのか?
 アレを海外では何と呼んでいるのかわからないので何とも言えないが、さらっと言ったら騙せそうなくらいの説得力はある。


 これらの表記が廃れ、濁点つきの表記に統一されていく中で、巻き添えをくう連中が出るのではないかと心配している。
 濁点抜きを駆逐したいあまり、「人間ドッグ」などと口走ってしまうのは避けたい。
 ウォッカの悲劇が繰り返されないことを祈るばかりである。

 ともあれ、現状、この混同が生活に支障をきたすような例は、「ティーバッグ」のつもりで「Tバック」と連呼してしまうハレンチマダムが増えていることくらいだろう。
 たとえ英語的におかしくても「ティーパック(Tea pack)」という呼び方を採用し、差別化することをオススメする。
 
■2010-07-05
Windows7が来る!
 メインで使っているノートパソコン(ミシシッピ号)が、液晶は映らないわ異音はするわで老朽化が著しくなってきたため、いっそのことデスクトップへの乗りかえを画策していたところ、会社で1台、不要になったタワー型パソコンがあることが明らかになった。

 サーバとして3年くらい働いた強者で、ハードディスクがごっそり抜き取られている以外は現役のまま。ハードディスクをつないでWindowsを入れる程度の工作なら、それほど手間も知識もお金もいらないだろう。

 こうして3万円ちょっとでWindows7のニューマシンが完成した。

 「アヴドゥル……いよいよニューマシンを使うわけじゃが、その……ちと心配なんじゃ……。いや……メーカー製PCでないという不安感もちろんだが、わしは、Windows7というOSは初めてなんだ。Windows7は要らん機能ばかりで、ビデオメモリばかり食っていて、フリーズかなんかにすぐにでもなりそうなイメージがある」
 「それはゆがんだ情報です。心配ないです……さあ!設定しましょう!」

 とりあえずビデオメモリの性能に自信がないため、Aeroをオフにする。
 Win98のようなクラシックスタイルにしてしまうと、一部ソフトのウィンドウがカッコ悪くなるため、Aeroを使わないベーシックテーマを適用。
 ……が、ウィンドウとタスクバーの色が明るい水色から変更できないという致命的欠点にぶち当たり、いろいろ手を尽くすも挫折。
 仕方なく透明化機能をオンにして、暗い壁紙を併用することで見やすさを確保した。
 これって、Aeroオフ前提のネットブックとかに対して、そうとう酷い仕様だな。

 入れた直後特有の「サクサク動く感」を堪能しつつ、よく使うソフトのセッティングを開始した。

・Avira AntiVir
 とりあえず入れとくウィルス対策ソフト。

・Opera
 補助的に使うブラウザとしていつのまにか使い慣れてしまったOpera。
 とりあえずOpera Linkを発動させて、仕事用PCや実家のマシンからブックマークをひっぱってくることで急場をしのぐ。

・IrfanView
 画像ビューア。こいつがないと簡単な画像処理のときに不自由する。
 最初オプションから画像ファイルに関連づけしたら無視された。
 ファイルのプロパティから強引に設定したらいけた。
 なんなんだ、Win7。

・Lhaplus
 真っ先にこいつを入れないとLzhが解凍できなくて困るのだが、なんかすでにlzh専用のアイコンがあることに気づいた。
 えっ……Win7って標準でzipもlzhも解凍できんのかよ。

・Sleipnir
 一応メインブラウザ。
 そのまま移行してもよかったが、ブクマやスクリプトがゴチャゴチャしてたのであえて新規にインストール。
 いろんなブラウザをかじってきたが、やはりこいつのカスタマイズ性能は捨てがた……
 ……カスタマイズすんのめんどくせーな……後にしよ。

・Skype
 メッセンジャー用。
 Windows Liveメッセンジャーは頻繁にキングクリムゾンするので見限った。
 Regnessemさえ生きていればこんなことには……

・JMEditer
 テキストエディタ。これがないと日記もプログラムも書けない。
 更新が止まって久しいソフトなので、使い慣れた設定ごと旧マシンからコピー。

・Google日本語入力
 劉備とか承太郎とか倖田來未とか一発変換できる頼もしいやつ。
 「ただしい」と打つたび「ただしイケメンに限る」が出てくるのを除けば最強。

・KeySwap
 このソフトでCapsLockキーを始末する。
 了解してくれ徐倫。このキーは得体が知れなさすぎる。
 オレの直感が「消せ」と言ってるんだ。

・CraftLaunch
 キーワードランチャー。ソフトが増えてきたところでこいつを投入。
 デスクトップにあるショートカットアイコンをこいつにぶち込んで一掃した。
 だがなぜか起動コマンド(Win+Space)を受け付けてくれない。
 キーボードのせいか……?
 調べてみたら、Win7ではWin+Spaceを新たにショートカットキーとして確保しているらしく、そちらが優先されてしまっているようだ。くやしいが俺の方が譲歩して、「Win+無変換」というゲイツが思いつきそうもないコマンドで登録しなおした。
 
■2010-07-09
シビアな現実
 映画『テラシビアにかける橋』を観たよ。

 これはファンタジー世界を大冒険するお話ではない。
 大冒険するのは近所の森につくった秘密基地周辺であり、CGで描き出されるのは主人公の空想である。

 テラシビアはその空想上の王国で、主人公が学校や家庭で「シビアだなー」と思ったことが、知ってか知らずかモンスターとして具現化されるようになっている。
 いじめっ子との関係がシビアになれば謎の怪鳥が出現するし、上級生との関係がメガシビアになればそれがメガトン級の巨人となって襲ってくる。
 そして家族との関係がギガシビアになったことで謎のダークマスターが現れ、ついには主人公にテラシビアなできごとが襲いかかる……

 ……という勢いでボケ倒そうかと思ったが、このネタは2年前の日記で使っていた。
 正しくは「テラビシア」なので注意していただきたい。
 だが先ほどのあらすじは大枠では間違っておらず、シビアなできごとを全て乗り越えた少年が、平和な王国を描くラストシーンはとても良かった。

 ヒロイン役の女の子が、ただの美少女とはちょっと違う存在感を放っていたので、どっかで見た感じがすると思って調べてみたら、「チャーリーとチョコレート工場」のガムの子だった。
 俳優の顔なんてぜんぜん覚えられない俺が覚えてたんだからエライことだと思う。
 
■2010-07-20
祈りの軌道
 CNNの報道によると、インドネシアのイスラム教徒たちが、祈るときにメッカの方向を間違っていたらしい。

 ウレマ評議会は3月に国内の信者に対し、日々の祈りを捧げる時は西の方角を向くようにとの指示を出していた。イスラム教ではサウジアラビア・メッカの聖地の方角を向いて祈りを捧げることになっており、インドネシアから見ると聖地は西の方角にあるとの判断だった。
 しかし実際には、インドネシアの西側にはアフリカ大陸があり、メッカは北西の方角だったことが判明した。

(ジャカルタ CNN)
 メルカトル図法やミラー図法の地図では、インドネシアから見てメッカはほぼ10時の方向にあり、まあギリギリ西と言えなくもない。
 緯度と経度から方角を計算して、羅針盤を見ながら航海する方法ならば、この地図での方角でだいたい間違いはない。
 だが、最初に方向を定めて一直線に飛んでいく場合は、正距なんとか図法の地図で方角を確認しないとあさっての方向へ飛んでいってしまうことになる。

 この3月の指示以前はどうだったか知らないが、大航海時代のころから、人々のなかには「メッカは西」というイメージがあったのではないか。
 今は飛行機があるから、正距なんとか図法での「北西」が、人々のイメージとしてしっくりくるのだと思う。
 祈りは飛行機のように飛んでいくもの、というイメージとも言える。

 そんなイメージのズレに評議会がうっかりしているあいだに、世界はもう次のステップに進みつつある。
 今やムスリムが宇宙へ行く時代なのだ。
 宇宙飛行士、シェイク・ムザファ・シュコア氏のwikipediaの項目には、宇宙でのムスリムの振る舞いについて書かれている。
 それによると、マレーシアのファトワ協議会いわく、
  • 宇宙ではどちらに向かって礼拝すれば?→本人に任せるよ
  • 無重力ではひざまずくのが大変なんだけど……→無理しないでいいよ
  • 断食期間の「日中」はどこで判断するの?→打ち上げ基地の標準時で
  • 宇宙食って食べていいの?→本人に任せるよ
 ……だそうだ。
 なんか肝心なところが全部あいまいになってて大丈夫だったのか?と思うけど、こういう例が増えればもっと固まっていくんだろう。

 こうして人々のイメージが宇宙的になっていったら、そのうち地球の裏側・タヒチのムスリムが「下」に向かって礼拝する時代が来るだろう。
 それまでタヒチの島々が水没しなければ、だけど。
 
■2010-07-23
となりの重里
 映画『となりのトトロ』は、昭和30年代初頭という時代設定らしい。
 東京タワーができたころだろうか。 

 現在は2010年。当時小学6年生だったサツキさんやカンタさんは、どこかで還暦を迎えているのです。たぶん。
 そう認識して観たら、すごい無常を感じた。

 ……どうでもいいことだけど、終戦直後の時代に、自分の娘に「皐月」「May」と名付ける両親って、すごいセンスだ。
 大学教授だけあって知識人だったんだな。
 
■2010-07-25
セレブリティ
 映画『シュアリーサムデイ』はいつ見ても『ジュエリーサムライ』に見えるし、むしろそっちのほうが観たい。
 
■2010-07-30
なぜ地属性は衰退したか
 古今東西、いろいろなファンタジーに属性が登場するが、その中でも飛び抜けて不人気なのが地属性である。
 いったいこれはどうしたことだ。

 地属性だけに地味だというのか!
 地面を割るとか十分ハデではないか!?
 母なる大地なのになぜ男臭いイメージしかないのか!?
 空中の敵に効かないとか誰が言い出したんだ!?
 雷が海中の敵に効く世界だぞ!がんばれよ地属性!


 原始、4属性といえばパラケルススの言う「火・水・土・空気」の4元素のことであった。
 ここにはしっかりと地属性が刻まれている。
 だが「ペルソナ」や「ルドラ」を見よ!
 4属性が「炎・氷・風・雷」になってしまっているじゃあないか!
 3属性を考えると真っ先に「炎・氷・雷」が出てくる。
 これはもう間違いなくFFの仕業であろう。

 いったいなぜここに雷属性が割り込んできたのか。 
 そもそも雷は炎や冷気と並べておくべきではない、もっと優位の属性ではないか?
 ギリシャ神話のゼウス、北欧神話のトールなど、神話でも雷を操る神は主神ないしはかなり重要な位置にいる。
 日本にも、雷を操る神といえば「天神」菅原道真がいる。八幡・伊勢に続く神社数を誇るゴッドである。
 ドラクエ3のように、雷属性は選ばれた勇者のみが扱えるものであるべきなのだ。

 FFでも海外版の「ミスティッククエスト」では、基本の黒魔法がクエイク・ブリザド・ファイア・エアロの4種となっており、サンダーはより上位の魔法に位置づけられている。
 クリスタルが火水風土なのだから当然といえば当然といえよう。

 FFが気軽に「サンダー」とか言い出さなければ、雷の優位性は保たれ、したがって地属性が競合の末はじき出されることもなかったのである。


 しかしなぜ土がはじき出されなければならなかったのか。
 「火⇔水」「土⇔風」の対立はわかりやすく、雷がこれを崩すスキはないように思える。

 風と雷が肩を並べた例を考えてみると、まっさきに「風神・雷神」が頭に浮かぶ。
 雷神は前述の天神とつながるが、風神はどんな神なのかよくわからない。二つ合わせて天候を示している、とも言えるが、それでも並列ではあるまい。
 風と雷を並べてしまったのは「風神雷神図屏風」の俵屋宗達のせいなのかもしれない。
 そしてそのせいで、4属性から地属性がはじき出されたのだ。
 
 つまりFFと俵屋宗達のせいだったんだよ!
 なんだってー!


■おまけ

 ここまで「雷が地属性のポジションを奪った」という例を扱ってきた。
 だが実際は、パラケルススの4属性や中国の五行思想(木火土金水)を尊重して、地属性を残しつつ、この中に雷を入れこもうという試みも結構みうけられる。

 では雷はどの属性に入っているのか?

 「聖剣伝説2」では、風の精霊ジンがサンダーボルトを使う。
 「ロマサガ3」では水の術(玄武術)リストの中にサンダークラップが含まれている。
 「天上天下」では、土の氣を操る奴が、地電流と称して電撃技を使っていた。

 稲妻は、気体中の分子が電子をはじき出され、プラズマ化することで光っている。
 プラズマは固体・液体・気体とのいずれとも異なる第4の状態であり、これをパラケルススの4元素と対応させようと言い出したのはクルックスという人だった。
 理科の実験で使ったクルックス管を編み出した人である。
 いわく、土=固体、水=液体、空気=気体、そして火がプラズマである。

 実際、ものが燃えるときに出ている炎もアレはプラズマなので、化学的に分類すれば雷は火属性であってしかるべきであろう。

■2017-10-19追記

 そもそもなんでFF1ではファイアとサンダーがレベル1で、ブリザドがレベル2なんだよ!普通サンダーを上位にしないか!? という疑問をぶら下げていたところ、「ウィザードリィが元ネタでは」という情報をいただいた。過去日記を放流するとこういうことが起きるので大変ありがたい。
 確かにウィザードリィにはハリト(火の玉)、モリト(電撃)があり、それより上位の魔法としてダルト(冷気)がある。属性相性はないのでただのフレーバーだが、さらっとサンダーがファイアと肩を並べたのはここに源流があったとみて間違いなかろう。
 ただ、電気が利用されていないファンタジー世界になぜ電撃という概念があるのか、落雷レベルになるとそれはもう魔法ではなく神の所業ではないか、という疑問はそのまま残る。ここで「ゲームのせつめいしょ」を確認してみると、モリトは「火花を呼び起こす」としか書いてない。おそらく原語ではsparkと書かれていたと推測するが、これがどこかで電撃と解釈され、それが雷魔法が誕生した理由ではないか、というのを現段階の結論としておこう。