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◆不定期日記ログ◆

■2007-01-25
言文一致
 ほっぺたの「頬」を「ほお」と読むか「ほほ」と読むか?
 最初はそんな疑問から始まった。

 コイツは、かつて「あはれ」と書いて「あわれ」と読んでいたような時代に、同じように「ほほ」と書いて「ほお」と読んでいたらしい。なので「ほお」が正統なんだと思う。
 それが、言文一致の流れの中でなぜか見落とされ、そのまま「ほほ」と読んでしまう流派が、いつのまにか市民権を獲得したのだ、たぶん。
 だからといってスピッツの名曲をいまさら「冷たいほお」と言うわけにはいかないので統一はしない。

 似たような言葉に「かたわら」がある。
 「かたはら」という表記が、発音に従って「かたわら」に直されたのだろうが、「かたはらいたし」だけは「片腹」という当て字の陰に見落とされた。
 本来は「はたから見ていてアイタタタ」という意味なので、「かたわらいたし」と読んでいたのだろう。
 こうなるともう、かたはらいたしかゆし状態である。

 宮沢賢治が童話で描いた理想郷は「イーハトーヴ」と呼ばれているが、たぶんこれも同様だ。
 ベースモデルが「岩手」であるということを踏まえると、きっと発音は「イーワトーヴ」であったのだろう。宮沢賢治が喋ってるところを見たことがないので自信はないが。

 歴史的仮名遣いとはちょっと違うが、「ウォッカ」も見逃せない。
 本来の発音に近いのは「ウォツカ」(あるいはウォトカ)らしいが、大文字小文字に頓着がなかった時代は「ウオツカ」と書かれていたのだろう。なにしろ「キヤノン」や「キユーピー」などで社名を登録してしまう時代である。
 それが、小文字を意識するにあたって過剰に反応し、「ウォッカ」と修正してしまったものと思われる。
 他には「カムチャッカ」なんかも同様の仕打ちを受けている。

 ここまで考察が及んだところで、
 「希有と書いて『けう』と読ませるのも似たような仕組みではないか?本当は『きゆう』でいいのでは?」
 と思いついたのだが、「けう」を「きゆう」と発音するのは、かなり希有な例ではないかと思いなおして棄却した。