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◆不定期日記ログ◆

■2010-07-20
祈りの軌道
 CNNの報道によると、インドネシアのイスラム教徒たちが、祈るときにメッカの方向を間違っていたらしい。

 ウレマ評議会は3月に国内の信者に対し、日々の祈りを捧げる時は西の方角を向くようにとの指示を出していた。イスラム教ではサウジアラビア・メッカの聖地の方角を向いて祈りを捧げることになっており、インドネシアから見ると聖地は西の方角にあるとの判断だった。
 しかし実際には、インドネシアの西側にはアフリカ大陸があり、メッカは北西の方角だったことが判明した。

(ジャカルタ CNN)
 メルカトル図法やミラー図法の地図では、インドネシアから見てメッカはほぼ10時の方向にあり、まあギリギリ西と言えなくもない。
 緯度と経度から方角を計算して、羅針盤を見ながら航海する方法ならば、この地図での方角でだいたい間違いはない。
 だが、最初に方向を定めて一直線に飛んでいく場合は、正距なんとか図法の地図で方角を確認しないとあさっての方向へ飛んでいってしまうことになる。

 この3月の指示以前はどうだったか知らないが、大航海時代のころから、人々のなかには「メッカは西」というイメージがあったのではないか。
 今は飛行機があるから、正距なんとか図法での「北西」が、人々のイメージとしてしっくりくるのだと思う。
 祈りは飛行機のように飛んでいくもの、というイメージとも言える。

 そんなイメージのズレに評議会がうっかりしているあいだに、世界はもう次のステップに進みつつある。
 今やムスリムが宇宙へ行く時代なのだ。
 宇宙飛行士、シェイク・ムザファ・シュコア氏のwikipediaの項目には、宇宙でのムスリムの振る舞いについて書かれている。
 それによると、マレーシアのファトワ協議会いわく、
  • 宇宙ではどちらに向かって礼拝すれば?→本人に任せるよ
  • 無重力ではひざまずくのが大変なんだけど……→無理しないでいいよ
  • 断食期間の「日中」はどこで判断するの?→打ち上げ基地の標準時で
  • 宇宙食って食べていいの?→本人に任せるよ
 ……だそうだ。
 なんか肝心なところが全部あいまいになってて大丈夫だったのか?と思うけど、こういう例が増えればもっと固まっていくんだろう。

 こうして人々のイメージが宇宙的になっていったら、そのうち地球の裏側・タヒチのムスリムが「下」に向かって礼拝する時代が来るだろう。
 それまでタヒチの島々が水没しなければ、だけど。