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◆不定期日記ログ◆

LOG 2010-02

■2010-02-02
正距なんとか図法
ある地点から、南に10キロ、西に10キロ、北に10キロ進んだら、なぜかもとの地点に戻ってきてしまいました。なぜでしょう?
(答え・出発したのが北極点だったから)
 ……というクイズがあるが、フェアじゃあないね。

 我々は普段意識しないけれど、「西・東」の定義は1つじゃあない。
 日本から東へ向かって方位磁針を見ながら太平洋を渡れば、アメリカにつく。
 だが、東へ狙いを定めて人間大砲で飛び出した場合、南米大陸へ向かってしまう。
 地球は平面でも円柱でもないため、こういう違いが出てくるわけだ。

 冒頭のクイズの場合、方位磁針を見ながら歩いたなら、
 西の方向は北極を中心にした円弧になっているので、解答通りとなる。
 だが桃白白方式で柱に乗って飛んでいった場合、北極点には帰らない。


 さて、ここまでが中学校の復習。
 ここからが明日使えるムダ知識。


 明日は節分である。
 コンビニの力強い普及によって恒例となった恵方巻だが、今年の恵方は「庚」
 西南西のさらに西。8時と9時の中間の方角だ。
 その方角に何があるのか?

 前述の理由により、普通の世界地図では調べられない。
 こういう時こそ正距なんとか図法の出番だ。

メルカトル図法とモルワイデ図法は
語感が素晴らしいからきっと一生忘れない……
正距なんとか図法はもう忘れた。

(『サナギさん(5)』施川ユウキ)
EHO
 なんという偶然!
 今年の恵方、「庚」の方角にあるのは、2010年FIFAワールドカップが行われる南アフリカのヨハネスブルグではないか!
 SAMURAI BLUEのみなさんにとって、これほど心強いことはあるまい。
 恵方巻を食べる人は、是非サッカー日本代表の活躍を祈って欲しい。
 無言で。
 
■2010-02-08
テンパリング
 昨日ラジオできいて初めて知ったんだけど、チョコレートを溶かしてカカオバターの成分を安定させる作業のことを「テンパリング」と言うらしい。

 テンパりんぐ……
 あまりにも余裕がなく聞こえる。
 検索するとたくさんネタがひっかかるので、みんな同じように思ったんだろう。
 この作業は、その名の通りわりとテンパっちゃうものらしく、
 こうなってくると「テンパる」と「テンパリング」はもう偶然の一致とは思えない。


 考えてみると、「テンパる」は「聴牌テンパイした」、つまりあと一歩で麻雀の役が完成するという状態だ。
 つまり「フフン、俺の手は高いぜ、振り込め愚民ども」という状態であってしかるべきだが、実際の用法は「まだ慌てるようなあわわあわわわ……」である。
 少なくとも俺はテンパイしたときにそうなるので仕方がない。
 日本人は基本的に麻雀初心者なのだろうか。

 ひょっとして、「煮詰まる」も同じことなのではなかろうか。
 これも本来、煮詰めるという料理の工程がまさに済み、完成間近だという状態だ。
 しかし実際は、会議などが袋小路に入り込んでこれ以上やってもダメだ、というときに誤用されている。
 煮込み料理で最後にふたをあけて絶望する、そんな光景が浮かんでくる。
 日本人は基本的に料理が得意ではないのだろうか。


 基本的に料理が得意でない日本人なら、テンパリングの際にあわあわしてしまうのは当然だ。
 あまりにあわあわする人が多いため、その状態を「テンパる」と言い始めた……
 という新説を今編み出したが、普及しないだろう。
 
■2010-02-12
スズメの涙
 よく「スズメの涙ほど」って言うけど、実際どの程度なんだ?
 そう思った俺はすぐに電卓とブラウザを立ち上げた。

 まずスズメの全長と体重を調べる。
 成鳥で15センチ、25グラムってとこらしい。

 次に横から撮ったスズメの写真を使って、全長と目の大きさの比率を測る。
 全長を15センチとすると、目の直径はおよそ0.4センチ。4ミリだ。

 目は球体だが、露出してる部分をだいたい円形の平面と見なすと、その面積はおよそ12.6平方ミリ。両目あわせて25平方ミリでよかろう。
 これでスズメの目の大きさが概算できた。

 さて次に涙の量だが、スズメは涙を流さない。
 ロボットじゃないけど。マシーンじゃないけど。ダダッダー。
 だけどわかるぜ、涙の厚み。

 人間の目に張られている涙の厚さを調べると、7マイクロメートル程度とのこと。
 7マイクロ!0.007ミリの驚きの薄さ!
 これがスズメの目にもあると仮定すると、さきほどの目の面積から、涙の体積はおよそ0.175立方ミリ。
 これがスズメ1羽の目に常時存在するおおよその涙の量。

 この体積から涙の重さを計算する。涙は90%以上が水だ。
 1立方ミリメートルの水の質量をおおよそ1ミリグラムとすると、スズメの涙の重さは、概算に概算を重ねて、0.175ミリグラムだ!
 砂粒1個がおよそ1ミリグラムなので相当な少なさと言える。

 スズメ本体を25グラムとすると、本体:涙=143000:1 の重量比となる。
 本体に対しておよそ0.0007%だ。
 凄まじい小ささだぞスズメの涙!定期預金の利息なんてこの100倍近くあるぞ!



 しかし文系脳で考えると、この場合の涙は「雫となってこぼれた涙」を指すのではないかと解釈できる。
 スズメは涙を流さないので、これは測定できない。
 誰か、スズメとスズメの涙の界面張力を知ってる人、計算してくれ。
 
■2010-02-17
ひみつのたからばこ
 JRPGという、ゲームとしてはちょっと歪んだジャンルにふさわしいのは、いったいどんなシナリオだろうか?

 RPGに凝ったシナリオをのっけようとすると、どうにも邪魔くさい。
 場合によってはゲームの阻害にしかならんこともある。
 「コイツはシナリオ上ここで離脱するので、ここまで育てた人はご愁傷様」
 みたいな状況、みんな覚えがあることだろう。
 いくらテーマが「命」だからってここでコイツを殺すなよ!

 制作者が何らかのテーマを発信したい場合、小説や映画のほうがよっぽど向いている。
 どうしてもゲームにしたいならノベルゲーにすればよい。
 間に迷宮だとか戦闘だとかを挟んだら、テーマを語る上で邪魔でしかない。



 ここでふと、一冊の攻略本を思い出した。
 ご存じの人はいるだろうか、MOTHER2の『ひみつのたからばこ』を。

 この攻略本は、最初から最後まで、「冒険から帰ってきた僕のネスが、僕に語った冒険談」という形式の小説になっている。
 MAPはネスの手書きという設定だし、お店や敵の情報も小説の欄外に書かれている。
 こういう本が出るということ自体が素晴らしい。

 ここに、JRPGのシナリオのあるべき姿の1つが見えてきた。
 RPGは「自ら操作して進める」という点で、小説や映画と大きく異なる。

 小説や映画では、出逢い、戦い、傷付き、成長するのは主人公であり、主人公は、作中でその成長を言葉や行動で示さなければならない。
 だがゲームの場合は、必ずしもそうではない。
 励まされても、感謝されても、ネスはノーリアクションでよい。その励ましを受けるのは、これから十字キーを前に入れるプレイヤー自身であればよく、その感謝を受けるのは、時間を割いて多くの戦闘をこなしたプレイヤー自身であればよい。

 極端な話、「あの時のお前の言葉に勇気を貰ったんだ」と主人公が喋るのはナンセンスで、クリア後にプレイヤーが「あのセリフはテンションあがったなー」と思うのが本来なのだ。
 これは難しいことだ。エンタ芸人がテロップなしで人を笑わせるくらい難しい。
 だが全員が全員、同じシーンで同じ感想を抱く必要はない。
 むしろバラバラであってよい。

 クリア後に、それぞれ違う「ひみつのたからばこ」が書けるようなシナリオこそ、RPGのシナリオが力を入れていくべき方向だろう。
 そこを忘れてしまっては、映画には一生かなわない不遇なエンターテイメントになる。



 以前まったく無自覚に書いた、サガみそプレイ日記
 必要条件でも十分条件でもないが、フリーシナリオは一つの根本的手段かもしれない。
 たとえばサガフロ裏解体新書のヒューズ捜査日記は、あれにマップなどの情報をくっつけたら立派に「ひみつのたからばこ」ができよう。

 ……誰でもwikiから攻略情報を引き出せるこの時代、「ひみつのたからばこ」みたいな攻略本を同人で作る奴、いないのかな?
 世界樹とか、けっこー合いそうな気がするけど。
 
■2010-02-19
n進法
 人類はふだん10進法でモノを数えていて、たいして意識しないけど、世の中、10進法以外を採用しているものはけっこう多い。

 たとえば(これは厳密にはn進法とは違うけど)なぜ時間(hour)は12進法なのか。
 12は割りやすいから、というのが真っ先に思いついたが、半分→半分→半分というふうに8分割できないのは大きな弱点ではないか?
 割りやすさが理由なら、もっと割りやすい数にできるだろう。いったいなぜ?



 調べてみると、めそ…ゲフンゲフン!
 めそぽタミヤ文明までさかのぼった。
 さすが静岡が誇る世界のタミヤ。

 めそぽタミヤの人は、月が12回まるくなるとだいたい季節が一巡することを知って、暦を作った。
 そのときどうやら「12ってのは何かスゴイらしい」と悟ったようだ。
 それで、昼間を12分割して時刻を表すことにして、夜は夜でまた12分割した。
 これがAM/PMの始まり、らしい。

 この場合の昼・夜は「日の出~日没」を基準に考えられていたので、最初は「1時間」の示す長さが季節によって違っていた。
 これを昼夜ぶっ通しにひきのばして、24時間を平均的にならしたのが、ギリシャの天文学者・ひっぱるコスという人のようだ。

 月がだいたい30日でまるくなって、それが12回で季節が一巡するとなると、一年がだいたい360日。角度が360進法なのは偶然の一致ではあるまい。
 英語でも11と12はガッツで単語を作っている。
 elevenの語源は「10と残り(lve)1つ(e)」、twelveの語源は「残り(lve)2つ(twe)」らしいので、英語圏の人も「俺、指10本しかないけど、それはそれとして12スゲー」と思っていたのだろう。

 こうしてみると、10進法のほうがむしろ不自然な行いのような気がする。
 我々が10本指でなかったら、誰がこんな不便な底を使うか!



 つまり、何気ないことに思えるかもしれないが、
 「ひぐらし」の世界はおそらく8進法で回っていて、
 あの世界には8・9という数字はないのだ。
 呪いよりなにより、俺はそのほうが「異世界」を感じる。
 
■2010-02-20
カタカナ既得利権
 本来、一般的な言葉だったはずなのに、日本に輸入されてカタカナ語になると意味の限定がされてしまう言葉がある。
 カタカナ語の浸透する経路を考えれば、まあ起こりうる事態ではあると思う。



 たとえば「アドレス」と言えば、もう我々はe-mailアドレスかURLのことだと理解する。
 「メール」と聞いても郵便を思い浮かべる人は少ないだろう。
 「ムービー」は主にデジタル機器で撮る動画のことを指し、
 「ヘルパー」といえば訪問介護員のことを指す。
 不思議な刷り込みだ。

 よく考えてみると、「デート」「セックス」「プロポーズ」なんて、意味がアレな方向に限定されてすぎている。
 とくにセックスはダメだろ、すげー不便するじゃないか、ピストルズとかが。
 デートも「あのコとイチャイチャする日付」だけに限定するなんて、どんだけリア充なんだお前ら、全員爆発しろ!

 フランス語もひどい。
 アベック(avec)は英語のwithに相当するだけの単語だったハズだ。
 ランデブー(rendez-vous:会う約束)も男女か宇宙船くらいしか使わない。
 アバンチュール(aventure:アドベンチャー)だって火遊び扱いだ。
 フランス語……いやらしいな!



 ここに「ポット」という言葉がある。
 壺、瓶、鉢などを指す言葉だ。
 しかし、園芸分野を除き、これは長らく「電気ポット」が権利を独占してきた。
 英語のpotにはそもそもそんな意味はないというのに、である。

 だが、そんな既得利権を果敢にも切り崩す勇者がいる。
 「消臭ポット」である。
 少なくとも我々は、この商品をみたとき、電気ポットを思い出したりしなかった。
 電気ポットの牙城に一撃を加えた商品だと言えるだろう。
 消臭ポットにはぜひ頑張っていただきたい。

 そのうち、核家族化が進んで電気ポットが電気ケトルに駆逐され、こんどはケトルという言葉が電気魔法瓶を総称する……そんな日がくるかもしれない。
 
■2010-02-21
陸上競技
 中学校のとき、陸上部だった。
 だが、中学1年の英語の授業で、いきなり違和感を抱くことになった。

 野球:Baseball
 サッカー:Soccer
 陸上:Track and field athletics

 そう、陸上部だけ自分の所属部をマトモに書けなかったのだ。
 これは最初の英語の定期テストにおいて非常に不利であった。

 そもそも「陸上競技」って名前は何なんだ!
 「水泳」以外のほとんどのスポーツは陸の上だろ!
 なんでお前が総称しちゃってんだよ!
 1500m走と幅跳びが同じ部活なのも変だろ!


 気になって調べてみたが、答えはつかめなかった。
 ただし、やはり、というか、多くのスポーツがそうであるように、陸上競技は、兵士の軍事訓練として広く行われていたようだ。

 となると、「陸上競技」に対するのは、水泳ではなく「馬上競技」だったのか?
 歩兵の訓練とに対して、騎兵の訓練。ありそうな話ではある。
 兵器の発達で、馬術はもう軍事訓練ではなくなってしまった。
 いまや軍事は陸・海・空の3種である。

 おや、そういえば、2年に1度行われているじゃあないか。
 「世界陸上」も、「世界水泳」も。
 なんということだ!
 これはもう「世界航空」が開かれるのも時間の問題だ!
 いよいよアフガン航空相撲の世界選手権が見られるのか!


 そして宇宙世紀0079年……ついに人類は「宇宙競技」を生み出すことになるのだ。
 主にニュータイプ的な能力が問われる競技が行われるのだろう。
 スポーツの発展には無限の可能性があるな!
 
■2010-02-25
しまっていこうぜ
 野球部が謎の言葉を使う。
 「ばっちこーい!」とか、もう元の言葉がほとんど復元できない。
 「バ(ッターよ、俺は捕球できる自信があるからこ)っち(に打って)こい」だそうだ。
 そういえばノック役がヘタなとき「ばっちこねーぞー!」と言っていた。

 「しまっていこう!」は、解読はできるものの、意味がわからない。
 「気を引き締める」というなら「しめていこう!」になるはずだ。
 「シメてやろう!」だと別の意味で攻撃的になると思う。
 なぜゆえ微妙に受け身の姿勢なのか。

 想像するしかない!
 「しまっていこう!」が使われるシーンを、頭の中で組み立てるしかない!


 野球場の前の広場、超高校級エースとその相棒のキャッチャー、
 決勝戦開始の朝、広場にひびくキャッチボールの音……

「肩は大丈夫そうだな」
「ああ、もう心配ない」

 キャッチボールが続いている。

「これが終わったら、俺たち、もう引退なんだな」
「もう3年もたつんだな……」
「悔いのない試合にしようぜ」
「もちろん」

 キャッチボールは徐々に熱を帯び始める。

「ちょっと全力で投げてみていいか」
「わかった、まってろ」

 キャッチャーがしゃがんでミットを構える。
 ひときわ大きな捕球音が広場に響く。

「いい球だ」
「おい、ちょっと待て」
「どうした」
「お前、チャックあいてる」
「いつもあけてんだよ」
「あけんなよ」
「セックスアピールだよ、マネージャーへの」
「お前、最後くらいそういうのやめろよ、セクハラだぞ」
「最後だからこそ、徹底的にアピールだろ」
「おい、ていうかお前、出てるぞ」
「出してんだよ」
「完全にアウトだろそれ、テレビ来るんだぞ、今日の試合」
「男を見せるチャンスだぜ」
「見せんなよ、しまえよ」
「えっ」
「男は試合内容で見せればいいだろ」
「試合で……」
「最後くらいは、それ、しまって行こうぜ」
「そうだな……しまって行こう」
 
■2010-02-27
空間図形
 ちょっとドラクエ3の世界を思い描いていただきたい。

 ドラクエ3に限ったことではないが、RPGのワールドマップは四角いことが多い。
 そして、その四角の上下左右の縁は、それぞれ逆側につながってループしている。
 いったいこの世界は、どういう立体になっているんだろう?

  • 正方形のマップを用意する
  • 半分に折ってのり付けする
  • それを筒状に巻いて完成

トーラス
できたァーッ!!

 上下の縁と左右の縁をそれぞれ合わせれば良いのだから簡単だ。
 これだと地面がペラペラだが、実際はもうちょっと厚みがあるんだろう。
 地図にある程度の誤差があるのは当然だ。
 断面が細長ーい楕円形の、巨大なドーナツ、って感じだろうか?


 「これだと筒の中に陽が当たらなくね?」という疑問も当然ある。
 が、ドラクエ3では南北の位置にかかわらず、昼夜の時間が一緒だ。
 このような立体で、それを実現するには、太陽は筒の内側になければいけない。
 筒の内側が昼で、外側が夜になる。

 そしてこの立体は自転しているわけではなく、キャタピラのようにじわじわと地表が動いて、外側になったり内側になったりしているのだ。
 うわっ……キモい……。
 俺、この世界、守りたくない……!