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◆不定期日記ログ◆

CATEGORY 謎知識

■2012-01-31
シモ・ハユハ問題
 日本文化に明るいフィンランド大使館の人のツイートで、伝説的スナイパーとして知られるシモ・ヘイヘが現地では「シモ・ハユハ」であることが明らかになった。
 対してさすがのヒラコー先生は「現地読みに直していくと、アルカポネは、アル・カポーンで、かぽーんですよ、かぽーん」とナイスなコメントを出した。


 しかし、どうやら固有名詞は現地読みになっていく流れらしい。
 歴史の教科書では、イスラム教の預言者はすでにマホメットではなく「ムハンマド」となっている。
 より現地の発音に近づけるためか、それとも我々の使える音が増えたためか、ガンジーも「ガンディー」に変わってきている。ヒンズー教がヒンドゥー教になったのだから当然の措置といえよう。  
 だが一部の教科書でリンカーンが「エイブラハム・リンカン」に変わっていたのは驚いた。リンカーン級の有名人ですら容赦なくバッサリやられる時代なのだ。

 こうなると、なぜか一人だけラテン語読みで知識人ぶってるコロンブスが、いつまでその名前を保っていられるかに注目が集まる。
 そのうち「コロン」とか「コロンボ」とかになるんだろう。


 固有名詞といえば、地名も現地読みに変わりつつある。
 我々はギアッチョの遺志を継いで、ベニスを「ヴェネツィア」に改めた。
 インドの大都市カルカッタも、2001年に英語読みのこの地名を捨て、いまや「コルカタ」である。
 ペキンだっていつ「ベイジン」に移行してもおかしくない情勢といえよう。ペキンダックは讃岐うどんみたいな感じで残れ!
 イギリスは……なんとかしろ!

 こうなると、手元の地図帳にまだギリギリ残っている「エロマンガ島」の表記も、もう見られなくなるのだろう。
 それはそれで少し寂しい。
 
■2012-01-16
プレトリア
 個人的メモに新たな1行が追加された。
  • アメリカの首都はニューヨークではない
  • オーストラリアの首都はシドニーではない
  • ブラジルの首都はリオデジャネイロではない
  • スイスの首都はチューリヒではない
  • 南アフリカ共和国の首都はヨハネスブルグではない[new!]
 え、じゃあどこなんだよ、と思って調べてみたら、なんか首都が3つあった。
 すごいな南アフリカ。
 
■2011-12-03
カプサイ神
 カラムーチョは、唐辛子で味付けをしたポテトチップスである。

 唐辛子は、ペペロンチーノとかキムチとか、世界中の料理にふんだんに使われているけれど、原産地は中央アメリカだ。
 ポテトも、ジャーマンポテトとかフィッシュ&チップスとか、さまざまな地方で料理に利用されているけど、原産地は南米だ。
 どちらも、大航海時代以前にはヨーロッパにもアジアにも伝わっていなかった。


 このことから考えると、昔カラムーチョの袋に「こんなに辛くてインカ帝国」と書いてあったのは、「ポテトや唐辛子を見出し育んだ中南米の文明に感謝せよ」という意味だったのだろうか。
 アステカやマヤのことも忘れないでほしかった。
 
■2011-11-22
この中にシナモンがいる
 シナモンとニッキが同じ物であることを今知った。
 言われてみればそうだが、生八つ橋がシナモン味だなんて思ったこともなかった。
 
 どうやら古くに日本に伝わったのがニッキで、舶来品がシナモンらしい。
 この2つは微妙に違う木からつくられていて、支那肉桂(シナニッケイ)からつくられたのがニッキなんだとか。
 こりゃダブルで紛らわしい。

 せめて中国から渡ってきたのがシナニッケイ略して支那物(シナモン)、ならわかりやすかった。
 さらに舶来品のほうは売り出したニックさんの名前がなまってニッキ、ならありがたかった。
 紛らわしいことには違いないが、今日みた八つ橋のお菓子には「シナモンパウダー」と書かれていたので、徐々にニッキは消滅していくのだろう。
 寂しいが紛らわしいので仕方ない。
 
■2011-09-26
カリグラフィのオリベッティ
 ちょっとホントに、タイプライターが生まれた理由がわからない。

 僕らにとってタイプライターは、洋館や警察署でゾンビに襲われたときに、捜査状況を記録するためのものにすぎない。
 「レオン」「03」「写真暗室」ッターン!
 ……それ以外で、欧米人がタイプライターを使っている場面が想像できないのだ。
 なおレオン様はそれから6年後、シカゴタイプライターという名前のマシンガンをぶっ放しまくることになるが、それはまた別の話。

 どうして、あんなすさまじくメカニカルなモノを組み上げなければならないほど、アレを必要としたのか?
 いったいどんな利点があったというのだ。


 「速く文書が書けること」か?
 たしかに26文字しかないアルファベット使用者なら、使い始めてすぐに、手書きよりも速い筆記ができるようになるだろう。
 しかし、タイプライターはすぐに「打鍵が速すぎてヘッドが絡まる」という問題にぶつかったはずだ。
 現在のキーボードにも使用されているQWERTY配列は、打鍵速度を抑えるように考案されたものだとする説がある。
 「カーボン紙を挟めば同じ文書が2枚つくれる」というのは利点かもしれないが、それは手書きでも一緒だろう。
 つまり「速さ」は主なメリットではなかった、と考えられる。

 となると、残る利点は「綺麗な字」
 もしくは「誰でも同じ筆跡になること」

 そんなにも「綺麗な筆跡」が必要とされたんだろうか?
 タイプライターを買うくらいなら日ペンの美子ちゃんにでもお金を払ったほうが効率的だったのでは?
 いったいどんな人が……


 ふと、机上にある読めない上司の指示メモを見て、ああ、こういう立場の人たちに必要とされたのか、とちょっと思った。
 
■2011-02-28
いちご100%中の100%
 いちごは果実なのか、野菜なのか?
 農林水産省の統計を見てみると、いちごはメロン・すいかとあわせて「果実的野菜」として野菜に分類されている。
 一方、中央卸売市場の分類の分類を見ると「果実」の中に入っている。
 このことから、公的・学術的にはいちごは果実ではないが、我々消費者はみんな果実として扱っているということがわかる。

 樹木に実るものが果実で、草本に実るものが野菜、という分け方は一見わかりやすいが、そもそも樹木と草本の定義が難しい。
 年輪の有無、1年で枯れるかどうかなど、様々な分け方があるが、どれも我々の印象からズレたものが出てくる。
 たとえばバナナは多くの場合樹木ではない(=果実ではない)。
 もちろん、この定義でいちごが果実になるはずがない。 

 生物学的に考えれば、被子植物の子房がふくらんだものを果実という。
 しかしいちごは、この定義でも果実ではない。
 いちごの果実はあの表面のつぶつぶである。
 この場合、りんごなども果実部分を食べていないので果実でなくなる。

 さらには法律上の果実という定義もある。
 こちらは、たけのこやたまご、果ては仔牛や家賃まで含むスゴい言葉である。
 これならいちごは果実になるが、他のものを巻き込みすぎだ。



 これは大変困った事態だといえる。
 別に定義上、野菜だろうが果実だろうが実生活には関係ないが、「定義があいまいだ」というところが大問題なのである。

 我々がいちごを可愛らしいものとして認識しているのは、あれがフルーツの一種であるという大前提があるからだ。
 もし「サナギ」とか「腫瘍」の一種だったら、我々はいちごをいままでどおり愛することができるだろうか?
 何を突飛なことを、と思うかもしれない。
 しかし、いちごの「花托がふくらんで複数の小さな果実を支えている」という構造は、もっともポピュラーなグロ画像であるハスと同じだ。
  
 定義上「果実」ではなく……。
 誰も「野菜」とは認識していないなら!
 いちごは「グロ画像」にカテゴライズされてしまう可能性がある。
 誰か俺に「いちごはフルーツだよ」と言い続けてくれ!!
 
■2011-01-07
何とか戦隊何とかジャー
 次の戦隊モノは「ゴーカイジャー」というらしい。
 今はゴセイジャーで、その前はシンケンジャーだ。

 ちょっとまて、「レンジャー」という言葉はもう使われないのか?
 その「ジャー」は何なんだ!?
 と、浅はかなツッコミをしかかったので、過去の戦隊名を少し調べてみた。
 関係ないが、知らない戦隊の主題歌を覚えてカラオケで歌うことは俺の趣味の一つだ。


 1975年のゴレンジャーが有名なので意外な感じがするが、1989年のターボレンジャーまで「~レンジャー」という戦隊は登場せず、戦隊名といえばダイナマンやチェンジマンのように「~マン」が主流だった。
 ジュウレンジャーやカクレンジャーなどがボコボコ出てくるのは90年代になってから。
 戦隊モノといえば○○レンジャー、というイメージは、けっこう最近になって植え付けられたものなのだ。 

 だが、こうして定番になった「レンジャー」は、早くも2002年にハリケンジャーによって「エンジャー」となり、2008年のゴーオンジャーで「ンジャー」に、そして2010年のゴセイジャーによって「ジャー」まで削られ、現在に至る。

 ではこの「ジャー」には何の意味があるのか。
 絞りカスになってしまった「ジャー」を不憫に思ったか、ゴセイジャーには「護星者」と漢字が当てられている。
 「ジャー→ジャ→者」ということらしい。
 英語の「~er」(この場合は~ger)と日本語の「○○者」の語感と意味が似ているのは、語感原理主義の考え方としては当然のことなので、納得するしかない。

 こうなると、遡って「真剣者」や「冒険者」という表記も考えられるので、ひとまずツッコミに対する防衛は可能だ。
 漢字のルーツを持たないハリケンジャーを集中的に批判すべきだろう。 


 それにしてもシンケンジャーの人気はいまだ根強いと聞く。
 東映のもつ時代劇のノウハウが生きたのだろうか。
 いっそのこと国民的時代劇・水戸黄門をモデルにして「最強戦隊ダイオウジャー」とかを作れば……

 と思ったが「最強ロボダイオージャ」はサンライズであった。
 無念である。
 
■2010-12-13
電化→家電
 電化製品、という言葉を我々はアタリマエのように使うけど、よく考えたらおかしい。
 電「化」だぞ、「電気にしました」ってことじゃあないか。

 手元の広辞苑で「電化」を調べると「熱・光・動力などを、電力を用いてまかなうようにしたもの」とある。
 つまり、電気洗濯機や電気冷蔵庫など、もともと人力や氷でがんばっていたものを電気で動くようにしたものが「電化製品」なのであって、テレビやクーラーなど、もともと電気で動かすしかないものを「電化製品」というのはおかしいではないか。


 電化製品という言葉が使われはじめたのは、戦後、これらが「三種の神器」と呼ばれ羨望の的になったころだろう。
 三種の神器はテレビ・冷蔵庫・洗濯機である。すでにテレビが「電化」ではない。
 だがwikipediaによると、三種の神器は最初、テレビの代わりに電気釜が入っていたらしい。これは立派な電化製品である。
 電化製品という言葉は、生まれた直後に死語となっていたのだ。


 では、あれらを総称して何と言えばいいのか。
 最近は「家電」という言葉のほうがメジャーになっている感があるが、これも「家庭用電化製品」の略……
 ……ではなかった。
 広辞苑が言うには「家庭用電気器具」の略らしい。
 なので「家電」はセーフである。

 電化製品たちが電化する前の姿を知らない我々にとって、電化製品と呼べるのはもはやIHクッキングヒーターくらいだ。
 そろそろ「電化製品」を完全終了し、「家電」に移行するという意識を持つべきときであろう。
 
■2010-11-03
オーガ
 9世紀ごろ行われた、マジャール人によるヨーロッパ侵攻は、当時のヨーロッパ人に大きな恐怖を与えたらしい。
 彼らはマジャール人を「オノグル」という部族連盟の名で呼んだ。
 これが恐ろしいイメージと共に広まり、なまって「オグル」になり、「オーガ(鬼)」の語源となった、という説がある。
 一方、「マジャール」の語源は「ムガール」にあるらしく、それはペルシアの言葉で「モンゴル」を意味する。

 つまり「オーガ」は「モンゴル」なのだ。

 となると『伝説のオウガバトル』は「伝説の蒙古襲来」。
 鎌倉時代の元寇のことを指すと見て間違いない。
 また『タクティクスオウガ』は「蒙古の戦法」。
 すなわち「火薬兵器や集団戦法を使用し、一騎打ち主体の日本の武士を苦しめた」である。


 こんな俺でも、PSPのタクティクスオウガ、買っていいんだろうか……
 
■2010-10-18
TAN’I
 長さの単位は「メートル」、時間の単位は「秒」。
 そして速度は「秒速○○メートル」とか「○○メートル毎秒」と表される。

 ……なぜ速度の単位には名前がないんだろう?
 1秒ごとに10メートル進むから「10メートル毎秒」。わかりやすい。
 だが、スマートじゃあないと思う。

 「1秒間に1ジュールぶんの仕事をする仕事量」を1ワットとしたではないか。
 「1時間に1海里進む速度」には1ノットという名前があるではないか。
 なぜ「1秒間に1メートル進む速度」に名前をつけなかった!?
 ワットとかより頻繁に使うくせに「時速40キロメートル」とか煩雑だろ!
 加速度の単位が「1メートル毎秒毎秒」になったときに、誰もツッコまなかったのか!


 我々が古くから使っている単位は、身近なものをモノサシにしたものが多い。
 フィートとかエーカーとかの単位が消滅しないのは、イメージしやすいからだ。
 日本人だってまだ「四畳半」くらいの感覚はあるだろう。
 ひと世代後にはどーなってるかわからないけど。

 不動産表示に使われる「徒歩1分」は、80メートルのことらしい。
 分速80メートルを「徒歩の速度」として定義しているわけだ。
 「速度」という概念を編み出した人が、真っ先にこれを使うべきだったのではないか。

 いや待て、速度という概念を編み出した人って何だ?
 ワットやパスカルと違って、そういう人がいないんじゃないのか。
 こうなると、誰か有名な人にご登場頂かなければならない。

 現在人類最速の男、ウサイン・ボルトは、平均時速37キロメートル強で走るらしい。
 この速さを単位にすれば、「ボルトの2倍速えー!」という感じでイメージしやすい。
 37km/hを「1ボルト」として定義して……ピカチュウ速えー!


 昔の人が、速度の単位に名前をつけなかったのは、
 誰もがイメージできる速度のモノがなかった、というのももちろんだが、
 そもそも速度を定量的に示す必要があまりなかった、という可能性もある。
 人間同士とか馬同士だったらもう競走しちゃうだろうし、矢は比較するには速すぎる。
 「サラマンダーより、ずっとはやい!!」で足りていたのだ。

 よく考えたら我々だってそうだ。
 ネズミ捕りのポリスメンがいなかったら、時速なんて生活の中に登場しない。
 速度……身近だと思っていたが、意外となじみが浅い単位だったんだな……。
 
■2010-10-08
アマゾーン
 仮面ライダーアマゾンは「アマゾン=密林」という前提で作られているが、今作ったらネット流通で既存書店と戦うヒーローになっていただろう。
 今やアマゾンといえばあの本屋のことを指すようになった。
 このAmazon.comの社名は、アマゾン川の流域面積にあやかってつけられたらしい。

 ではさらに、アマゾン川という名前の由来について調べてみると、
 「探険家が女系の部族と遭遇したから」という説を見つけた。 
 つまり、ギリシャ神話に出てくるアマゾネスみたいな部族がいる川、ということだ。

 なんてこと!
 アマゾン熱帯雨林に住んでるからアマゾネスなのではない!
 アマゾネスが住んでるからアマゾン川なのであり、
 アマゾン川が流れているからアマゾン熱帯雨林なのだ!
 よく考えたらギリシャ神話のほうが先に決まってるじゃあないか。


 こうなると、我々はあらゆる因果関係を疑わなくてはならない。
 シベリアンハスキーがいるからシベリアなのかもしれない。
 ギャンブラーがやってるからギャンブルなのかもしれない。
 これ以上人を疑いながら生きていくのは嫌です!
 
■2010-08-26
地方空港
 日本の空港 - Wikipedia より抜粋。
  • たんちょう釧路空港〔釧路市〕
  • 富士山静岡空港〔静岡県島田市・牧之原市〕
  • コウノトリ但馬空港〔兵庫県豊岡市〕
  • 出雲縁結び空港〔島根県斐川町〕
  • 徳島阿波おどり空港〔徳島県松茂町〕
  • 米子鬼太郎空港〔鳥取県境港市・米子市〕
  • 高知龍馬空港〔高知県南国市〕
  • 対馬やまねこ空港〔長崎県対馬市〕
 なんだ、「富士山静岡空港」って別に恥ずかしい名前じゃないじゃん。
 むしろ勝ち組って感じ?
 
■2010-08-04
生ゴミコンポ
 実家に、生ゴミをためて、堆肥にかえるための装置がある。
 機械式のものではなく、畑に半分うまってるポリ容器だ。

 あれを我々は「コンポスト」と呼んでいたが、
 実はcompostとは「堆肥」のことである、ということがわかった。
 あの容器は「コンポスター」が正しい。

 なんという事だ。
 フランケンシュタインの怪物や、アメリカでのニンテンドーのように、創造物が創造主の名前で呼ばれることは多々ある。
 味の素やフマキラーのように、創造物の普及によって創造主が同じ名前に改名することもある。

 だがこの例は違う。
 我々はこの創造物(堆肥)が「コンポスト」だと認識していないのに、創造主を「コンポスト」と呼んでいるのだ。
 これは「俺」を「うんこ」と呼ぶくらい不自然なことだ。
 どうしてこうなった!?

 語感原理主義の立場から考えると、これは「ポスト」の語感によるものだろう。
 生ゴミを投入するポスト、というイメージに引っ張られている。
 やはりポスターではいけない。
 かわいそうなことだが、なにか画期的な別名が出ない限り、あれがコンポスターになることはあるまい。
 
■2010-07-20
祈りの軌道
 CNNの報道によると、インドネシアのイスラム教徒たちが、祈るときにメッカの方向を間違っていたらしい。

 ウレマ評議会は3月に国内の信者に対し、日々の祈りを捧げる時は西の方角を向くようにとの指示を出していた。イスラム教ではサウジアラビア・メッカの聖地の方角を向いて祈りを捧げることになっており、インドネシアから見ると聖地は西の方角にあるとの判断だった。
 しかし実際には、インドネシアの西側にはアフリカ大陸があり、メッカは北西の方角だったことが判明した。

(ジャカルタ CNN)
 メルカトル図法やミラー図法の地図では、インドネシアから見てメッカはほぼ10時の方向にあり、まあギリギリ西と言えなくもない。
 緯度と経度から方角を計算して、羅針盤を見ながら航海する方法ならば、この地図での方角でだいたい間違いはない。
 だが、最初に方向を定めて一直線に飛んでいく場合は、正距なんとか図法の地図で方角を確認しないとあさっての方向へ飛んでいってしまうことになる。

 この3月の指示以前はどうだったか知らないが、大航海時代のころから、人々のなかには「メッカは西」というイメージがあったのではないか。
 今は飛行機があるから、正距なんとか図法での「北西」が、人々のイメージとしてしっくりくるのだと思う。
 祈りは飛行機のように飛んでいくもの、というイメージとも言える。

 そんなイメージのズレに評議会がうっかりしているあいだに、世界はもう次のステップに進みつつある。
 今やムスリムが宇宙へ行く時代なのだ。
 宇宙飛行士、シェイク・ムザファ・シュコア氏のwikipediaの項目には、宇宙でのムスリムの振る舞いについて書かれている。
 それによると、マレーシアのファトワ協議会いわく、
  • 宇宙ではどちらに向かって礼拝すれば?→本人に任せるよ
  • 無重力ではひざまずくのが大変なんだけど……→無理しないでいいよ
  • 断食期間の「日中」はどこで判断するの?→打ち上げ基地の標準時で
  • 宇宙食って食べていいの?→本人に任せるよ
 ……だそうだ。
 なんか肝心なところが全部あいまいになってて大丈夫だったのか?と思うけど、こういう例が増えればもっと固まっていくんだろう。

 こうして人々のイメージが宇宙的になっていったら、そのうち地球の裏側・タヒチのムスリムが「下」に向かって礼拝する時代が来るだろう。
 それまでタヒチの島々が水没しなければ、だけど。
 
■2010-05-17
BARBARBAR
 同僚が、ふとした縁で、ベトナムには「333(バーバーバー)」というビールがあるという話を、バーでババァから聞いたらしい。
 本当ならできすぎた話だ。
 
■2010-05-14
取り残された言葉
 SHIFTキーはなぜシフトなのか?
 何をシフトしているのか?

 どうやらSHIFTキーは、もともとタイプライターのタイプアームを動かして大文字用・小文字用を切り替えるためのキーとして生まれたらしい。
 昔は機械的にシフトしていたのだ。
 今でもSHIFTの横に謎の矢印が残っているものがある。
 ちょっとしたノスタルジーである。

 一度普及したものは、実体を失っても消えない。
 いまや単位をこえて使われている「カロリー」は、国際単位系に含まれていない。 
 だが単位がジュールに統一されたとしても、カロリーという言葉は残るだろう。
 こうして言葉だけが時代に取り残されていく。

 子どもたちはそのうち「フリーダイヤル」の「ダイヤル」が何を意味するのかわからなくなるだろう。
 「ダイヤルって金庫に付いてるやつ?」とか、ONE-PIECEの影響で「貝」のことだと思っているかもしれない。なぜ貝。
 プレイステーションが普及したころは「週刊ファミ通」の「ファミ」が何を意味するのかわからない子どもがでてくるだろうと思っていたが、「ファミコン」はデータ配信やリメイクで生き残ったので一概には言えないなと思った。


 ソニーがフロッピーディスクの生産を打ち切った今でも、WordやExcelの「保存」のアイコンは変わっていない。
 いつまでその存在を保っていられるか、見ものである。