Oneside Flat Web

◆不定期日記ログ◆

■2010-10-18
TAN’I
 長さの単位は「メートル」、時間の単位は「秒」。
 そして速度は「秒速○○メートル」とか「○○メートル毎秒」と表される。

 ……なぜ速度の単位には名前がないんだろう?
 1秒ごとに10メートル進むから「10メートル毎秒」。わかりやすい。
 だが、スマートじゃあないと思う。

 「1秒間に1ジュールぶんの仕事をする仕事量」を1ワットとしたではないか。
 「1時間に1海里進む速度」には1ノットという名前があるではないか。
 なぜ「1秒間に1メートル進む速度」に名前をつけなかった!?
 ワットとかより頻繁に使うくせに「時速40キロメートル」とか煩雑だろ!
 加速度の単位が「1メートル毎秒毎秒」になったときに、誰もツッコまなかったのか!


 我々が古くから使っている単位は、身近なものをモノサシにしたものが多い。
 フィートとかエーカーとかの単位が消滅しないのは、イメージしやすいからだ。
 日本人だってまだ「四畳半」くらいの感覚はあるだろう。
 ひと世代後にはどーなってるかわからないけど。

 不動産表示に使われる「徒歩1分」は、80メートルのことらしい。
 分速80メートルを「徒歩の速度」として定義しているわけだ。
 「速度」という概念を編み出した人が、真っ先にこれを使うべきだったのではないか。

 いや待て、速度という概念を編み出した人って何だ?
 ワットやパスカルと違って、そういう人がいないんじゃないのか。
 こうなると、誰か有名な人にご登場頂かなければならない。

 現在人類最速の男、ウサイン・ボルトは、平均時速37キロメートル強で走るらしい。
 この速さを単位にすれば、「ボルトの2倍速えー!」という感じでイメージしやすい。
 37km/hを「1ボルト」として定義して……ピカチュウ速えー!


 昔の人が、速度の単位に名前をつけなかったのは、
 誰もがイメージできる速度のモノがなかった、というのももちろんだが、
 そもそも速度を定量的に示す必要があまりなかった、という可能性もある。
 人間同士とか馬同士だったらもう競走しちゃうだろうし、矢は比較するには速すぎる。
 「サラマンダーより、ずっとはやい!!」で足りていたのだ。

 よく考えたら我々だってそうだ。
 ネズミ捕りのポリスメンがいなかったら、時速なんて生活の中に登場しない。
 速度……身近だと思っていたが、意外となじみが浅い単位だったんだな……。