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◆不定期日記ログ◆

RELATION #9832

■2008-05-08
草なぎ
 いまになって、いくつかのメディアで、
 SMAPの草彅剛のことを「草なぎ剛」と表記していることに気がついた。
 いわゆる交ぜ書きだ。
 このワープロ社会においても、いまだに交ぜ書きの慣習は根強く残っている。

 街中で「処方せん」と書かれたノボリを見るたびに、
 「ストレイツォ容赦せん!」と叫びたくなるのは僕だけではあるまい。

 ニュースで「覚せい剤」の見出しが出るたびに、
 曹操の声で「覚悟せい!」と再生されるのは僕だけではあるまい。

 銀行が「経営破たん」を危惧されるたびに、
 新たなる萌えキャラの誕生を予感するのは僕だけではあるまい。

 ヨーグルトのラベルに書いてある「はっ酵乳」の文字から、
 乳酸菌の気合をひしひし感じるのは僕だけではあるまい。

 ほかにも「市史編さん」とか「推せん図書」とか似たような状況は多々あり、
 それらの交ぜ書きが今日も僕の想像力を刺激している。

 漢字で表記することによって、単語間にスペースを入れなくても読みやすい、というのは日本語のナイスな点であると思うので、交ぜ書きは徐々に本来の漢字に戻っていくといいなと思っている。
 どっかの国のせいで「ら致」が頻出するようになってから、「拉致」という表記が目立つようになったことだし。


 で、冒頭の草なぎ剛の件ですが、
 半端に漢字にするくらいなら本人が「くさなぎ剛」に改名してしまえばいいのではないかと思った。
 しかしあまり「剛」を主張すると、堂本兄弟の光一君でない方が涙目になってしまうので難しいかもしれない。
 いっそカタカナで「クサナギ」にしてしまうのはどうか。
 山下智久が主演しそうだから駄目か。
 
■2008-05-15
常用漢字表
 前の日記で、常用漢字でない字の交ぜ書きについて触れた。

 火曜日の新聞が言うには(英語的表現)、その常用漢字表がそろそろ更新されるそうだ。
 なにしろこの激動の時代に、僕が生まれたころから更新されずにほったらかしにされていた遺物だ。さまざまな歪みを内包しており、改訂のしがいもあるだろう。

 そんな中、新たに追加される見込みの字の中に「羞」の字があった。

 マスコミが「『羞恥心』を読めない大人がいる」ということを広め、それを委員会が迅速に吸い上げる。
 このフットワーク…この国の政治もまだまだ捨てたもんじゃないな!
 
■2008-05-19
県名漢字
 前の日記で、常用漢字表の改訂について触れた。

 今回の改訂で、いままで常用漢字に含まれていなかった、大阪の「阪」や、岐阜の「阜」などが盛り込まれることになった。
 つまり、中学校までに習うことのなかった「県名のための漢字」を一気に追加した形になる。
 いままで固有名詞は「人名用漢字」などとして踏み込まなかったが、実際これらの漢字の中には、山梨の「梨」とか、鹿児島の「鹿」とか、県名以外でお世話になるものも多いので妥当な変更といえよう。

 話は変わるが、どうも僕は県名を書くのが苦手だ。
 「茨城」「栃木」と混同して「茨木」と書いたあと頭をひねる。
 「埼玉」は県庁所在地のせいで漢字で書くのが馬鹿馬鹿しい。
 「愛媛」にいたっては字面が「愛知」に似すぎていて、読むほうすら一瞬間違える。
 さらに「愛」がなんとか出てきたとしても「媛」が書けない二重の罠だ。
 あと常用だけど「神奈川」の「か」も出てこない。 
 ついでに「鳥取」は読みを意識すると「取鳥」と書きたくなる。

 きっと常用化でこのような混乱をする人も少なくなっていくのだろう。
 喜ばしいことだ。

 あと、静岡の「岡」や、奈良の「奈」などをさしおいて、密かにすでに常用漢字に入っている新潟の「潟」からは底知れぬ政治力を感じる。
 
■2008-08-04
漢字わるい2
 検討が続けられていた新常用漢字表だが、先月末に188字の追加で固まったらしい。
 中には「妖」「艶」「淫」「濡」「覗」などエロティックな漢字の追加も検討されていてドキドキしたが、最終的に「濡」と「覗」のフェティッシュな二字は追加を見送られたようだ。

 常用というからには、中学校までに少なくとも読みまでは習うわけだ。
 つまりこれからの漢字テストでは「艶やか」が「あでやか」なのか「つややか」なのかを判断する力が求められる。
 ゆとり教育から一変して超ハードモードだ。

 新たに追加される文字の中に「嗅」があった。
 これも心配になる。

 「臭」という漢字は、もともと「自+犬」だったそうだ。
 だが旧字体の中から標準の字体を決めるときに「犬」の部分は「大」に統一された。
 こういう無茶な変更が、常用漢字と非常用漢字の間に無駄な軋轢を生んでいることは、以前の日記で触れた通りだ。

 「臭」の犬を大に変えたとき、「嗅」の犬も大に変わるべきだったのだろう。
 しかし「嗅」は常用漢字でなかったので放置された。
 だが今!「嗅」が常用漢字の世界にやってくるのだ!
 我々日本人に、放置プレイの代償を支払わせるために!

 過去の過ちを悔い改めるときが来たのか、それとも写植屋さん(フォント作者)の無駄な仕事が増えるのか…
 おそらくどちらでもなく、なあなあで済まされるのだろう!
 ごめんな、嗅!