Oneside Flat Web

◆不定期日記ログ◆

RELATION #6be0

■2008-05-27
重複表現祭り
【問題】
 次の文章を読んで、重複表現だと思うものがいくつ含まれているか答えなさい。
 みぞれ交じりの雨が降る中、私は北へ向かって沿岸ぞいに北上を続けていた。車窓の壮観な眺めに、故郷のリアス式海岸が思い出される。
 電車を降車すると、駅前広場には雪が積もっており、市場へ向かって轍の跡がいくつも付いていた。

 古来よりこのあたりは、たびたび大雪の被害を被ることがあり、一番最近では、一週間のあいだ雪に閉ざされたというニュースが注目を集めた。

 市場では初売りセールが行われており、子どもたちが騒々しく騒いでいる。
 こんなに寒いのは、PKO活動でモンブラン山のふもとの町に派遣されたとき以来だ。
 私はレストランに入ると、まず最初にコーンポタージュスープを買い、暖をとった。マンネリ化しているものの、私のマイブームでもあるし、今の現状から判断して一番ベストな選択肢に思えたからだ。客席は飽和状態で、店は繁盛しているようだった。

 仕事は秘密裏のうちに終わらせなければならない。
 私は酒の肴にエンドウ豆を注文すると、静かに銃の安全装置を外した。
 あらかじめ予定していた通り、ここからターゲットの男を狙う。

 銃の製造メーカーによると、この銃の射程距離は約50mくらいだそうだ。
 いまだ未熟な腕だが、危機感を感じることはなかった。本部でも「方法は私に全て一任する」という意見が過半数を超えたらしい。

 引き金を引くと、ターゲットは突然卒倒して倒れた。市場での思いがけないハプニングに、わきで傍観していたキリスト教の牧師が駆け寄り、とりあえず応急処置をしたようだが、あの傷では助かるまい。
 報酬はシティバンク銀行の口座に振り込まれているはずだ。
 雪の上に血痕の跡が残っていた。

【解答】
【みぞれ】雨と雪がまじって降る現象。
【沿岸】海や川などに沿った部分。
【北上】北へ向かうこと。
【壮観】すばらしい眺め。
【リアス海岸】リア式の海岸。「リアス海岸」と「リアス式海岸」は別という説もあり。
【降車】乗り物から降りること。馬から落馬の亜種。
【轍】車輪の跡。
【古来】いにしえより。
【被害】害をこうむること。
【最近】もっとも近いこと。
【一週間】「7日間の間」と言い換えると変だがどうなんだ?
【注目】注目を浴びる?視線を集める?さすがに許してくれ。
【初売りセール】売りセール。犬ドッグ。
【騒々しい】 物音や人声が騒がしいさま。
【PKO】平和維持活動。
【モンブラン山】マウント・フジサン。トネガワ・リバー。
【まず】はじめに。最初に。
【ポタージュ】濃い不透明のスープ。つまりコンソメスープも重複か?
【マイブーム】それが私のmy graduation...
【現状】今の状態。
【ベスト】いちばん良いもの。
【飽和】それ以上受け入れることのできない限界の状態。別に状態を強調したければ良いのでは。
【秘密裏】物事が秘密のうちに行われること。
【肴】酒を飲むときに添えて食べる物。口頭ではやむなしだろう。
【エンドウ豆】豌豆の豆。もうそういう植物名なんだから仕方ないだろ!
【予定】予め定めておくこと。
【メーカー】製造者。
【射程】弾丸が届く距離。でもジョジョが射程距離って言ってるから俺はそれに従うよ。
【約50m】50mくらい。
【未熟】経験がいまだ十分でないこと。
【危機感】「危機感をいだく」などにすれば重複感は減るか?
【一任】決定の全てを任せること。
【過半数】半数を超えること。
【引き金】さすがに「歌を歌う」レベルの言いがかりでは。
【卒倒】突然意識を失って倒れること。
【ハプニング】思いがけない出来事。
【傍観】手を出さずにわきで見ていること。
【牧師】キリスト教プロテスタントの聖職者。
【応急処置】とりあえず施す手当て。
【シティバンク銀行】損保ジャパン日本興亜。
【血痕】血の跡。
 とらえかたによってはまだあるかも?

【解説】
 この問題で、あなたの日本語に対するケツの穴の広さがわかります。
 5個以下…その柔軟な姿勢で新鋭小説家になってください。
 40個以上…あなたの肛門は狭すぎます。なんだかんだいってゆとりは必要です。
 
■2017-11-19
重複表現祭りその2
 結婚式のスピーチと同様、弔辞にもさまざまな「忌み言葉」がある。特に「不幸を二度くり返さない」という意味で、「重ね重ね」「たびたび」「しばしば」「ますます」などの重ね言葉は一般的に禁句とされている。

 故人への思いを素直に伝えたい気持ちにくだらない制限をかけやがって……と思う。「それは不幸を繰り返すタイヘン・シツレイな言葉だ! ケジメしろ! いやセプクだ!」みたいなことをいう古代中国の暴君のような奴がいたのだろう。こういうのが「マナー」として、アクセス数稼ぎが目的のコピペサイトによって大量に複製され、検索すると同じものがどっさり引っかかってくるため、いつまでも廃れるということがない仕組みだ。こういう奴には極端な例をつきつけて、境界の認識をバグらせて目を覚ましてもらうしかない。

 ところで重ね言葉といえば、日本語には重言(冗語)というやっかいな技法がある。いわゆる「馬から落馬」「頭痛が痛い」みたいな奴だ。これは別に日本語として間違っているのではなく、「あえて二度言う」ことの賛否が問われる案件だと認識している。無知から重ねたのか大事だから重ねたのかは表面上はわからないからだ。
 そして「あえて二度くり返す」ことは弔辞においてはマナーに反するという理屈なのだから、当然、重言もマナー違反となるべきで、弔辞に膨大な数のNGワードが追加される形になる。このマナーを考えた奴は正気か? これは大変困ったことだ。たとえば以下のような弔辞はどこまでが許されるのか?
 突然の訃報の知らせを受け、予期せぬ不測の事態にびっくり仰天しています。

 いちばん最後に会ったとき、「神経痛が痛む」と言うあなたに、後で後悔しても遅いからと、損保ジャパン日本興亜のチラシを渡したのが、つい今しがたのことのように思われ、頭をうなだれています。私のマイミクや、あなたのYoutubeチャンネルのファンも同じ気持ちと思います。

 あなたは食べ物を食べるのが何より好きな人でした。臨時収入が入ったと、あらかじめ予約していた店に私を誘い、一杯のラム酒と、酒の肴にチゲ鍋やえんどう豆のポタージュスープを注文していた姿を思い出します。

 あのとき交わした、余分な贅肉を落とし、あなたよりもBMI指数の数値を減らすという約束は、いまだに未完了のままです。あなたに笑われないよう、ここに減量をはっきり明言いたします。
 それが私のmy graduation……
「重言がどうこう言う前に弔辞としてオーケーな部分がない」
「だよな」