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◆不定期日記ログ◆

CATEGORY 悲惨な日常

■2024-06-30
月記JUNE
 今月は月初めから謎の高熱で寝込んでしまった。体温も気温もデタラメなせいで、ずっと「この寒気は……どっちだ!?」「この発汗は……どっちだ!?」ってなっていた。
 そんな最悪のスタートを切ったため、仕事がずっと押せ押せの状態になったまま気付いたら月末を迎えていた。俺は認めていないぞ! 6月はまだ始まってない!!

PIPI
ピピチャン!(あきらめな)
 仕方ない、来年の上半期こそ本気出す。では6月に遊んだもの、観たものの記録だよ。

■カエルの為に鐘は鳴る

 Switchのゲームボーイで配信されたのでクリアした。
 ネタバレ:カエルの為に鐘が鳴ります。

 この鐘のメロディというか音階が、ありとあらゆるBGMのパーツに使われていて、誰だこんな天才的な采配をする奴は~~ッと思ったら戸高一生氏(とたけけ)の仕事だった。
 翌年に出る名作『ゼルダの伝説 夢をみる島』に連なるシステムが満載で、その確かな遺伝子を感じ取れるよいゲーム体験をした。バトルがほぼ全部イベントバトルという思い切った構成だし、アクションもやり直しが効くSwitch版であれば苦にはならないだろう。重めのゲームに倦んだ人にプレイしてほしい。

■ロマサガ2リメイク発表

 ニンテンドーダイレクトを見ていて、「アァ? なんかイトケンっぽい曲が……」って思った瞬間にいつものオープニングタイトルが新アレンジでドーンって来てわたしはしんだ。そのあとに続く「バトル1」のアレンジも丁寧な原曲拡張で素晴らしい。
 公式サイトですでに何曲か聴けるようになっている。いずれも原曲のイメージそのままで力強く拡張されており、ロマサガRSなどで令和最新版の尖ったイトケン曲ばかりに触れていた俺はアンブッシュを受ける形になった。
 大丈夫か、このクオリティで「皇帝出陣」がドーンと流れて、イベントフルボイスで「ジェラール様の……皇帝陛下の御出陣!」が来るのか!? 泣くだろそんなん……というか今もうそれを想像して涙目になってるだろ……。

 フルCGで蘇ったアバロンの街並みには目が引きつけられてしまう。個人研究として取り組んでいる「アバロンには雪が降るのか問題」に新たな供給があった形だ。今のところ普通に雪が降りそうな植生や建築様式だが……? 内装にも注目したい。

 ところで初回特典として「キャットのお守り(序盤の収入10%増加)」が付属するらしいが、ひょっとしてこれ……俺たちがアバロンのダニを利用して、毎夜毎晩富裕層の屋敷から10万クラウンを徴税していたことへの補填なのか!? いやだ! アバロンのダニを使って無限に国庫を潤わせたい!!

■ドラクエ1・2リメイク発表

 開発中止説すら流れ始めた3リメイクの発売日発表と同時に、1・2も開発中というサプライズ。ロト三部作総リメイクというスケールになった。
 昔から謎だったのが、初代ドラクエの武器屋さんでなぜか「たけざお」が極めて安価で販売されている点で、こんぼう60Gに対して破格の10Gで手に入る。前にも触れたとおり、このことからアレフガルドには竹が群生しているものと思われるが、果たしてHD-2Dで解像度が上がったアレフガルドはどうなっているのか。
 ……「たけざお」が「ひのきのぼう」に差し変わっていても、私は見て見ぬふりをしよう。

■ゆるキャン△シーズン3

 今期クライマックスのお花見回、桜が満開なのにまったく他のキャンプ客がおらず、「富士川町には人がいないのかァ~~!?」と虚空に向かって他県民を煽っていた。むやみに他県民を煽るんじゃあない。
 そもそも「富士川町」は元々静岡県にあり、平成の大合併で静岡県が捨てた町名を山梨県が高速で拾って名乗り始めたという経緯があり、俺は勝手に敵対心を燃やしているのだ。
 大丈夫だろうか、他県民は楽しんで観てくれただろうか?

■ダンジョン飯

 原作読んでて「これハッピーエンド無理なんじゃ……」と思ったところで1クール目が終わり、「いやこれいけるかもハッピーエンド……」ってなったところで2クール目が終わった。
 シーズン2も連続2クールなんだろうか。だとするとまた「やっぱこれハッピーエンドいくの無理だわ……」ってなったところで3クール目が終わり、「なんか……いけたなァ!!」ってなって4クール目が終わるのだろう。

 シーズン2までどのくらい間が空くかわからないが、最終回は絶対「Party!」を流してほしい。最終回・特殊エンド・第一期テーマソングのコンボを食らって立っていられるオタクはいないのだ。

■アニメポケットモンスター

 実のところ、ゲームで履修したところがアニメになるのは初めてなので、アカデミー編になってからとても新鮮な気持ちで観ている。娘氏がいなかったら出会わなかった経験であろう。
 本当にジムリーダーも四天王も先生方も出し惜しみせずに次々出てきてよくしゃべる。ゲームで声が付いてなかったのが信じられないくらいだ。グルーシャ君は女性声優でよかったと思うけど……オメーほのお対策一切できてないくせにそんなイケボ出しやがって!
 その結果、もともといた奴らに加えて登場人物がとんでもない量になっており、ゲームをやってない人には大変な気がするが、まあ1年以上やってるのでそのへんはなんとかなっているのだろう。

■ニチアサ百景

 仮面ライダーガッチャードは実質ポケモンなんだけど、ここに来て最終フォームの能力が「序盤に次々と使い捨ててきた派生フォームを全て手持ちポケモンとして活用できる」っていう奴で、なんというクレバーな手法かと舌を巻いている。
 収集系のライダーでいつも問題になるのが、序盤の派生フォーム用にたくさんスーツを作っても中間フォーム以降使われなくなるというもので、それを「ガッチャしてきたケミー(ゲットしてきたポケモンの意)が自立して一緒に戦う」っていう設定にして解決する形だ。ケミー100体以上用意しちゃって大丈夫なの!? って思っててごめんな。
 
■2024-05-31
月記MAY
 5月も瞬く間に過ぎてしまった。
 ところで「世界三大面白い字面の世界遺産」といえば、「アルベロベッロのトゥルッリ(イタリア)」「アツィナナナの雨林(マダガスカル)」「タプタプアテアのマラエ(仏領ポリネシア)」で異論はないよな?

PIPI
ピュイ?(なんて?)
 では5月にやったこと、読んだもの、遊んだもの、観たものの記録だよ。

■伊豆シャボテン公園

 ワイフが突然ひらめいたので、久しぶりに行ってみた。俺より年上のハシビロコウが亡くなってからずいぶん経つ。まあビル先輩はゆるキャンのアニメで存命なので永遠の存在になったといえよう。長寿にあやかってビル神社が建立されていたのでお賽銭を投げ、「ピピチャンとウメチャンがすこやかでありますように」と祈った。
シャボテン公園
すれちがうおしどり夫婦
 しかし日帰り圏内に掛川花鳥園・富士花鳥園・伊豆シャボテン公園と「鳥とふれあうための選択肢」が3つもあるのはかなりのアドバンテージを感じる。シャボテン公園のインコやオウムたちは完全に放し飼いになっているのでとても謎が多い。長距離を飛べないようにクリッピングしてあるのかな。

■生成AI

 ChatGPTやCopilotがプログラミングのアシスタントとしてスゴイ便利であることを実感している。
 たとえば「PHPで、整数nを渡すとランダムで重複のない4桁の16進数をn個生成する関数を作って」って言えばすぐ generateUniqueHexNumbers($count) を出力してくれる。
 別にその程度の関数なら自力ですぐ書けるだろ、と思わなくもないが、俺のような素人の論理日曜大工は「もっと処理の早い書き方があるのでは」と常に考えてしまうし、何より関数名と変数名を勝手に決めてくれることがありがたすぎる。自力でやっていたらまずジェネレイトの綴りをググることから始めてるからな。

■商う狼

 江戸の経済を掌握した商人の興亡を描く時代小説『商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―』を読んだ。
 巨漢で、着物を着ていて、ですます調でしゃべり、でかい策謀を押し進めていく姿が、かなり早い段階でキングオージャーのカグラギ様に重なり、全てのセリフが佳久創の声で再生される体験をした。絶対「民のためならこの手も汚しましょう!」って言ってる。
 そのため巻末の参考文献の欄で史実ベースであることを知り仰天した。菱垣廻船と樽廻船のことや、水野忠邦が株仲間を解散し、そしてそれに失敗したことは教科書に載っているが、その背景にこのような人物がいたとは……。

■The JOJOLands

 何ィィ――ッいつのまにか3巻が出ているぞォッ!! こういうことがあるから物理書店に足を運ぶのは大事なんだよな。電子書籍なら通知が来る? それはそう。
 2巻の最後あたりからウサギ君がときどき「はだしのゲン」の隆太みたいな顔してんのがいい。
 あと「本名:ウサギ・アロハオエ スタンド名:THE MATTEKUDASAI」っていうのがもう、荒木先生本人からしか出てこないであろう名前すぎて好き。

■Splatoon3

 第16回フェス「明日世界が終わるとしたら?」に「やりたいこと全部やる」派で参加。全部やる派なので、いつかやりたいと思っていた「フレンド4人で装備を合わせて長いチーム名で相手を威圧する」を企画し実行した。
#nintendoswitch #Splatoon3
圧が強い
 プロモデラーRG合わせ、塗りに全振りしているのでそこそこ勝ててしまう。爆速でフェスパワーが溜まっていくので笑いが止まらなかった。関係各位、ありがとう!
 思えば初代イカのファイナルフェスは第16回であった。2015年の5月に発売されて翌年7月にフェスが終わっているスピード感が今では想像しづらい。
 
 明日から2周年に向かうシーズンが始まる。アップデート期間は公称2年間なので、シーズンアップデートは実質最後であろう。だが1も2も公称アプデ期間の後にブキチセレクションやベッチューセレクションがあったのでアンコールに期待したい。

■アーマード・コア6

 困難なミッションに何度も足止めを食らったが無事クリアにこぎつけた。
 ハンドラー・ウォルターさぁ……あんな見事なキャッチコピー回収芸を見せられたらよぉ~~好きになっちまうじゃあねーかよぉ~~。だいたい人のこと番号で呼んで使役してくるおっさんが、「実は」とかじゃなくて一貫して普通にこんなに優しいことあるかよ。
 最終章で、ウォルターの指示に従うか、脳内に直接語りかけてくる系女子に従うかの二択を突きつけられたわけだが、俺は迷わずウォルターに従った。後悔はない。

 シームレスに2週目が始まるので、いままであんまり使ってこなかった武器種を使ってやろうかと思ったんだけど、俺は「ダブルマシンガンでスタッガーとって両肩のランチャーをぶちこむ」という脳筋戦法で戦ってきたせいで、フルオートの武器しか肌に合わなくなっちまってる。ボタン押しっぱで射撃してくれないと回避に集中できないんだよな。
 

■ゆるキャン△シーズン3

 大井川編が終わった。いままでさんざん先回りされていたが、ここは先に行っているので勝利した。
 千頭駅とか畑薙ダムとか、そういうローカル地名が全国区(場合によっては世界中)で再生されていると思うと感慨深い。ちなみに大井川流域には
地名
という地名があるがそれはまた別の話。
 大丈夫だろうか、静岡県民以外は楽しんで観ているだろうか? あとこのタイミングでまだ大井川鐵道が全線復旧していない(2022年の台風15号に破壊されたきり運休が続いている)というのも痛い。観光で潤ってくれるといいのだが。

■ダンジョン飯

 娘氏がたいへんハマっているので、『冒険者バイブル』に続いてラクガキ本『デイドリームアワー』も買った。娘氏は数々のラクガキをトレーシングペーパーでなぞり写すなどの遊びに興じている。これ毎日模写してたらかなり画力の訓練になるんじゃあないか?
 センシの「完成じゃーっ!(法螺貝を吹く音)」がなじみすぎてしまって、ゆるキャンの料理が完成したときに効果音が鳴らないのが物足りなく感じてしまう。みんな料理ができたら法螺貝を吹くべき。

■岸辺露伴は動かない:密漁海岸

 さんざん「ルーブルに行け」「アワビを密漁しろ」と言われ続けてきた露伴ちゃんだが、このたび無事にアワビを密漁した。アワビを密漁するにあたっては当然トニオさんの説明が必要で、そのために「イタリア料理を食べに行こう!」の内容を入れる必要があり、順番に虹村億泰になる露伴ちゃんと泉編集でおなかいっぱい笑った。
 ドラマ版のトニオさんは、体の悪いところがわかるのは「能力ギフト」だけど、料理でそれを治すのは「技術」なので格が高い。技術でスタンドめいたことするの、スティールボールランのジャイロみたいだよな。

 最後にイタリア行きを仄めかしたのが気になる。イタリアで露伴ちゃんといえば懺悔室かGUCCIだが、前者は露伴ちゃんは聞いてるだけで、後者は企業広報でありNHKには厳しい。まあこれほど脚本のパワーがあれば、露伴ちゃんに火のついたポップコーンを食わせるくらい造作もないことであろう。GUCCIのアイテムでキメた高橋ご夫妻も見てみたい。

■ニチアサ百景

 「追加戦士」といえば初夏の季語。とはいえプリキュアにおいては、去年も今年もこの枠の追加戦士は最初から開示されており、我々ニチアサおじさんの関心は「どうやって仲間になるか」に集約される。
 今回の追加戦士は、メンバー加入前から単独でプリキュア活動をしており、かつ、主人公サイドにとっては正体が不明という、懐かしい感じの展開を見せてくれた。ハピネスチャージ以来かこういうの。
 キュアニャミーさんは銀髪ロングヘアお嬢様系のデザインでありながら、ねこなのでちゃんと八重歯が描かれており新鮮である。ルリドラゴンくらい口を開けてほしい。

 仮面ライダーにおいては一人称が「カグヤ様」で全裸で謎の宝石風呂に入る男が出現し、3話にわたってひっかき回して帰って行った。仮面ライダーレジェンド、今のうちからディケイドのようなシリーズ横断キャラを育てておこうという試みなのだろうか。
 
■2024-05-14
胃カメラを止めるな!
 上部消化管内視鏡検査ッ!
 いわゆる胃カメラと呼ばれる「それ」は、鼻の粘膜をものともせずにスルリと俺の体内に入ってきたッ!

 なぜ、こうなったかというと……

 深い理由はない! 単純に毎年の健康診断の中で、オプションの「バリウム→胃カメラの変更」がお値引きされていてディスカウントだったからだ。
 初体験するなら今だ。胃カメラが安い! 今すぐ飲め!!


 事前に問診票を記入していた俺は、想定外の選択肢に頭を抱えた。
経口・経鼻
 まさかの経口・経鼻選択制!
 挿れる穴を選ばせてくれるパターンあるんだ。どっちだろう……泣きたくなる場所は……2つマルをつけてちょっぴりオトナなのか?
 だがまあ、鼻のほうが負担は少ないと聞いていたので、俺は順当に「経鼻」を選択した。上の口では嫌がっているが、さらにその上の口はどうかな……?


 まずは鼻腔の奥に謎のスプレーを噴霧される。血管が収縮するだか鼻の穴が開きやすくなるだかという触れ込みであった。「右と左どちらでやりますか?」と言われまた頭を抱える。どっちだろう……泣きたくなる場所は……逆にどっちでやったらいいですかね??
 これはおそらく、経験者に対する「以前スムーズに行ったのはどっち?」という趣旨の問いかけなのであろう。俺のような鼻ヴァージンの場合は50%に賭けるしかない。左だ……俺は左で行く! ちなみにこの場合の左はいつの時点の誰から見て左?

 柔らかな椅子にゆったりとかけて待機し、そのあと鼻腔の奥に謎のシリンジで謎のゼリーを投入される。これが謎のテクノロジーによって鼻と喉を麻酔していくのだ。医学のちからってすげー! それはそれとして鼻水が喉に流れこんでいくような感覚が不快ではある。
 ゆったりと待機しているうちに麻酔が効いてくる。歯医者でやる麻酔の感覚が喉の奥に発生している不思議な感覚だ。これでもしゃべるのには支障がない。

 次にやってきたのは細いチューブであった。これが鼻の穴に挿入される。インフルエンザの検査を思い出し身構えたが、実際麻酔が効いているのでたいしたことなかった。次に太いチューブが挿入される。これも全く問題なかった。
 そして、鼻に太いチューブを差し込んだまま、診察室へ入る。なるほどこのチューブの中にカメラを入れていくんだな、うまく考えられているな、と思っていたらチューブは普通に抜かれた。抜くのかよ。


 ここまできたらもう後戻りはできぬ。
 ベッドに横向きに寝て、口の下に唾液受けがセットされ、「決して唾液を飲まないように」との注意を受ける。
 話に聞くところによると、とにかく胃カメラというやつは全てを受け入れて無になることが肝要らしい。抵抗してはならぬ。己を消し、森羅万象と一体となり、あらゆる暴威を柳のように受け流す心で望まなければならない。つまり明鏡止水だ。

 そういうマインドセットが完成していたので、カメラが挿入を始めたときも、俺の心は澄み渡っていた。それは鼻の奥を曲がり喉に……いや早い早い!! 先生の挿入速度がすごい早いよ!! そんなスピードで入れてって大丈夫なのお!? アッなんか下腹部に当たっ……えっ……アッハイ……え? 空気を入れ……あっもう出てくるの!? 早い早い! 戻すのも早いよ!!
 下の方(大腸内視鏡検査)と比べてこのスムーズさは何!? 上の方がまっすぐなぶん楽なの? それとも俺の鼻の穴がでかいの? あるいは先生がSuper Doctorなの?


 こうして高速で胃袋の内壁を激写され、それを見ながら「健康ですね」とコメントを貰い、俺の初めての上部消化管内視鏡体験は健康な結果に終わったのでした。しーましェーン!
 まあバリウム飲むのとどっちか楽かっていうと微妙な感じだし、追加料金はあるし、通常はバリウムでいいかな……と、異様に鼻が通る感覚を楽しみながら思ったのでありました。おわり。
 
■2024-04-30
月記APRIL
 そういえばここはDiary、日記と銘打っているわりに、やったことや触れたもののうち細かなことについてはぜんぜん記録していない。
 初期の頃はわりと書いていた。だがmixiの登場により身内向けの話はそちらに向かい、Twitterの登場により細かな行動の記録はそちらに向かった。なのでここは、考えたことや大きなイベントを書き記す場所になっていった。

 だが……仮にもWeb上にDiaryを持ち、それを脳の外部記憶装置として活用している以上、ここにももっと日常を記録しておくべきではないだろうか。
 謎のSNSに成り果てたTwitterがあやふやな施策を繰り出すたびにその思いは強まっていった。mixiだって不思議な力でモンストが消滅したらどうなるかわからない。俺の管理の及ぶところに記録をするべきだ。

 さしあたって月報の形でまとめておき、月末に放出してみようと思った。
 話題を細かく放出してしまうと、あとでその話題で1本書きたくなった場合に面倒なことになる。だがそうして結局触れないままの案件がたくさんあるのも勿体ない。それにその都度放出するのであればその他SNSと変わらない。間をとって一ヶ月溜めるのは悪くない感じがする。
 ノルマにしてしまうと仕事が忙しくなる時期にどうなるかわからないが、まあ誰に頼まれてやっているわけでもないのが個人サイトの良いところなので、気にするだけ損といえよう。どうせここは未来の自分のための外部記憶装置なのだから。

■春キャンプ

 娘氏のバースデーキャンプに出かけた。
 バースデーキャンプとかゆるキャン△みてえだな。

 テントとタープを設営して何もないところに居住空間を作り出すことは前回すでに経験済みであったため「まあやり方がわかんなくなったらググればいいら」と高をくくっていた。
 しかし前回と異なり、今回の現場はインターネットの届かぬデジタルデトックスゾーンであった。先に言っておいてほしい。
 記憶を頼りにテントは立ったもののタープの張り方が覚束ない。やむを得ずワイフが管理棟のある方角へ向かい、張り方をスクショしてきてコトナキをゲットした。

 やはりテントでの宿泊ではHPは1000しか回復しない。しかしこの大災害国家において、柔らかい布団で眠ることができない事態に慣れておくことは大切であろう。減災の取り組みはちょっとしたことから始まるのだ。

■カルチャーコンビニエンス

 TSUTAYAが死滅しつつある。店舗ごと消えてしまったところもあるし、今まで「CD」と書かれていたところが「カード」に代わり、決闘者デュエリストのための店舗になってしまったところもある。
 時流として仕方ないところだ。CDとかいう物理媒体の衰退もさることながら、アルバム5枚で1000円というコスパがそもそもおかしかった。TSUTAYAのレンタルに並ばないCDアルバムは存在しないも同然というレベルの、圧倒的コスパの差が発生していた。

 Amazon Musicで1曲ずつ買うようになると、よほど好きな新鋭アーティストに出会わない限り、俺はシブいアルバム曲やカップリング曲を手に取ることはないだろう。
 ミスチルにおける「LOVE」、GLAYにおける「SHUTTER SPEEDSのテーマ」、ポルノグラフィティにおける「マシンガントーク」、BUMPにおける「三人のおじさん」……いや最後のはどうなんだ? まあいい、とにかくこういった曲との出会いがなくなってしまうのは悲しい。まあ一般的にはそういう曲はサブスクで出会っているんだろうし、俺もそのうちそうなるのかもしれないが。

■アーマード・コア6

 バルテウスにやられてアサルトブーストの使い方をたたき込まれ、ルビコニアンデスボックリにやられて両肩SONG BIRDに開眼し、ルビコニアンデスワームにやられてキャタピラ脚の強さを知り、今月ようやくエンフォーサーをシュナイダー製機体の全力回避構成で倒すことができた。
 困ったことにブレード全般が苦手で、詰まったときに攻略法を調べても自分に適用できなかったりするんだけど、このゲームは本当に攻略法が人それぞれだし、自分が得意な戦法をアレンジしながら試行錯誤していくとなぜかクリアできたりするので面白い。

■ファイナルファンタジー7リメイク

 世間がリバースに沸く中、ワイフが買ってきたリメイクを履修している。俺は『オープニング~爆破ミッション[YouTube]』の最初の3音で泣ける男なのでとにかく音楽の圧が強い。DISC1までの内容ではあるが、「それはそれとしてメインテーマは流しておかないといけませんよね?」とか「皆さんエアリスのテーマは当然ご存じですよね?」とばかりに先行して流してきやがる。やめろやめろ、今エアリスのテーマを安売りしたらリバースの最後で何を流すつもりだ!?
FINAL FANTASY VII REMAKE
 しかし解像度の上がりきったミッドガルを歩いていると、あの頃のJRPGはもう作れないだろうなという郷愁を強く感じる。写真はエアリスの教会から出たところだが、一度歩くだけのマップにこれだけの作り込みが要求されるのは、あまりにもコスパが悪い。そしてあの頃のJRPG(FF7やゼノギアスの時代)には、一度しか歩かないマップが多すぎる。
 七番街スラムや伍番街スラムはものすごく細かく作り込まれているが、これらはFallout4のダイヤモンドシティでもなければ、HorizonZeroDawnのメリディアンでもない。序盤に通り過ぎるだけの街だ。だがFF7でここを作り込まないわけにはいかない。なので、お使いクエストをバラまいて滞在時間を増やしてコストを回収している。それでもクラウドさんはここに永住するわけではないのだ……。

 こんな贅沢なことができるのは、本気で「ファイナルファンタジー7」の看板を背負っているからで、新規IPのRPGでこんな真似はできないだろう。
 だってFF15のオルティシエ、すごい作り込みだったけどみんな観光した? 俺はルーナ様が待っているのでまっすぐメインクエストのマーカーに向かったよ。
 そういうわけで「贅沢だなあ」という感想を漏らしながら一本道を進んでいる。

■プリンセスピーチ Showtime!

 PVを見て「娘氏の好きな要素しかない」と確信した。そして娘氏はこれをお年玉で購入した。娘氏が自分の意思でまとまった額のお年玉を動かすのは極めて珍しいことだ。
 この場合ニンテンドープラチナポイントは誰につければいいんだろ。娘氏のアカウントについていても仕方ないが、いずれダウンロードソフトを買うかもしれないし……(結局パパのアカウントに合算しました)

■Stardew Valley

 娘氏がいまいちばんハマっているゲームが意外にもスターデューバレーで、2月に始めたモッコロ牧場は三年目に突入した。
 一人でやっていたときより遙かに進捗したが、双方とも釣りが苦手なので、三年目夏でようやくバンドル納品が一通り終わった。
Stardew Valley
 これはアビゲイルにプロポーズするてばさきさんを陰から見守る娘氏。
 娘氏はこの段階で友好度の高いキャラが子供ばかりであり、結婚対象者の友好度を上げにかかったが、なぜか結婚対象者でないパム(バス運転手のババア)が友好度トップに駆け上がる謎の動きをしていた。

■ダンジョン飯

 毎週楽しく観させてもらっている。アマプラで観ているがなんと地上波でもリアルタイムで観られるのだ。これは静岡県において異例のことだ。
 劇伴の圧がすごく、BGMとして抑えるとこでは抑えてるのに、たびたび光田節が溢れ出て「いや曲が勇ましいな」ってなるのが良い。圧倒的説得力が生まれている。

 1クール目の終わりを炎竜討伐に持ってくることは予想していたが、そうなると原作の28話/97話(進捗28.9%)で折り返しということで、第2クールは内容が詰まってしまう。しかし今月に入ってからも原作通りじっくりゆっくり進んでいる。よく考えたら公式も「連続2クール放送」とは言っているが3クール目がないとは言っていない。
 となると狂乱の魔術師(69話)で一時休止といったところかと思い、原作をさらってみたが、このペースではそこまで行くかもあやしい。さては4クールを予定している……? チェンジリング回とかサキュバス回とか、どう考えても省略すべきでない話が多すぎるので、4クールだと嬉しいなあ。

■ゆるキャン△シーズン3

 静岡県としてはダンジョン飯よりこちらに力を入れるべきと思うが、静岡県では遅れての放送となる。まあアマプラも遅延なのでどっちでもいい。
 今シーズンから作画がだいぶ原作寄りになり安心感がある。アニメから入ったのに安心感があるのは変だが、これはシーズン2のあと原作を読んでいるからで、特に違和感なく受け入れられた形だ。
 作画が原作寄りになったのは、ひょっとして昨今の「漫画の映像化は原作に忠実であるべき」という流れによるものだろうか。それは皆が幸せになれる道だとは思うが、過剰にならないといいなと思っている。まあ実写版すら完璧だったので心配は要らないな。

■ニチアサ百景

 ブンブンジャーでは「怒りのデスロッドを振り回すマッドレックス様」というヤバい人が現れて撃破され、敵組織のボスが「ワルイド・スピンドー様」であることがわかりよりヤバくなった。戦隊のこういうあられもないネーミングセンス、だいぶ好き。

 プリキュアでは犬が中学校に入学した。これまで異世界人や宇宙人を平然と入学させてきた歴史をもつプリキュアではあるが、犬が学生としてやっていくのはクロマティ高校でも難しいのではないか。ただ今までも「人間に変身できる猫型妖精」を入学させたことはあったので、犬が異世界犬だった場合、全ての新規性を失う。普通の犬であってほしい。

■Fallout

 アマプラオリジナルビデオとして公開された実写ドラマ。
 1話が70分くらいあり、ニチアサのせいで1話25分の映像作品しか観られなくなってしまった俺にはだいぶ集中力が苦しい。70分といえばプリキュア映画1本分である。映画を8本観るぞ!と思うとかなりハードルが上がるので、もう場面転換ごとに中断していいやって気持ちで観るしかない。
 やっと3話まで観たが、なんか本当にフォールアウトの世界を再現しきってくれているので、世界にすっかり入り込んでしまうと、翻訳がしっかりしていることが逆に違和感につながってしまう。もっと「君は化学を激しく打ちすぎている!」みたいなよくわからないセリフがないと物足りないんだ。
 
■2023-10-27
俺と広告と静かな怒り
ぼく「この広告の表示を停止」
G社「なぜ」
ぼく「広告でコンテンツが隠れる」
G社「今後この広告を表示しないようにします」
ぼく「その報告が表示されるスペースのせいで相変わらずコンテンツが見えない」
G社「それはそれとして別ページに遷移したようなのでさっきの広告を表示します」

 俺はキレた。
 まずはこのような野放図な広告の貼り方をしている、サイト管理者に対してキレた。サーバー代を賄うために広告を貼らねばならぬ、その状況はわかる。しかしそれがコンテンツの一部を覆ってしまっては、もはや広告を貼ること自体が目的となっているということではないか。WEB上に自分の活動を刻もうという志が感じられない。アフィリエイトのほうが管理者の感性が反映されるぶんまだマシだ。

 しかし……サイト管理者にキレるべきではないだろう。俺は「コンテンツが隠れる異常な広告ですよ」とG社に報告したのだ。G社は世界トップの頭脳を集めたグローバル企業である。当然、配信した広告がこのような異常な動きをしたのであれば、直ちに是正されるはずだ。
 しかし俺はあいつの「今後その広告を表示しないようにします」が正常に動作したのを見たことがない。下手人はおそらく無数のIDから同じ広告を流しているのだろうが、世界トップの頭脳が集まって、その程度の問題を解決できないはずがない。あいつらは報告を聞く気がないのだ。ここにキレるべきだ。

 またある日、俺はmixiのホーム画面を埋め尽くす「福島の汚染水は非常に危険」というナメた見出しの広告を静かな怒りをもって見ていた。これはクリックすると「ウィルスに感染しました!」とでたらめを言う詐欺サイトに繋がる、悪意を煮詰めたような醜悪なバナーだ。そう、これは広告ですらない、ただの詐欺だ。
 俺はGoogleアカウントを使い、3日間、地道に「サポート詐欺のサイトに接続されます」と訴えを続けた。だが全く反映される気配がなく、Gmailにも情報提供のリアクションは届かなかった。

 アドネットワーク各社にとって……俺は別に客ではない。ただの養分にすぎない。養分の言うことを聞く必要はない。客なのはカネを払う広告主だし、たとえ詐欺でも配信さえされていればカネは動くのだ。


 俺は明確にキレた。
 怒りだ、もう怒りしかない。
 こんなスカムテクノロジーに支えられたWEBなんてもうたくさんだ。
 もう焼き尽くそう。数々の便利なWEBサービスを巻き添えにして全ての広告を滅ぼし、いにしえの個人サイトの時代に帰ろう。

 こうして俺は広告ブロッカーの導入を決めた。これを公言するということは、広告収入で運営される全てのWEBサービスの管理人に対し、サービスを掠め取っていくという立場を表明することに他ならないが、もはやこれ以上アドネットワークに真面目に付き合うことはできない。
 広告ブロッカーにはさまざまな種類がある。知名度を上げてアドネットワークに対応されるといたちごっこが始まるので、何が良いとか何が便利とか書くのはやめておこう。

 ただ、上記のような不快な広告が配信されないサイトというのがいくつかあって、それは単純にアドネットワークを利用していないのか、あるいは管理者が気を配っているかだと思うのだが、そういうサイトについてはきちんと意図通り表示されるようにしておきたい。なのでブラックリスト形式でブロックできるものが望ましい。
 全てのインターネットを焼き滅ぼす覚悟で始めたことだったが、こうしてみると質の悪い広告を垂れ流し続けるアドネットワークの仕組みが終わってるだけで、まだインターネットには希望を持っていてもいいのかもしれない。広告の質が上がり、ブロッカーなんぞにリソースを割かなくていい日が来ると良いのだが。
 
■2023-07-14
ピラフは中華ではなかったが、もういい
 グローバルな米料理の概念として「世界三大米料理」がある。スペイン料理のパエリア、イタリア料理のリゾット、そして中華料理のピラフである!

 ……いやピラフは中華料理じゃなくてトルコ発祥なんだ!?


 確かにバター入ってるし、炊いてない米を使うし、どう考えてもチャーハンの一種じゃなかったわ。
 しかし俺はこの過ちを正しはするが恥じるつもりはない。

 だって世界的マスターピースである『ドラゴンボール』で、ウーロンとヤムチャとプーアルが出てきた冒険のすえにシュウとマイとピラフが出てくるのだから、この流れでピラフを中華料理だと思い込まないヤツがいるんなら、それはドラゴンボールの読書体験が俺より足りていないと言わざるを得ない。

 「ピラフの発祥」なんていう雑も雑な雑学を知るよりも先にドラゴンボールを読んでいたなら、ピラフが中華料理ではないという発想がそもそもできないはずだ。
 つまり俺の過ちを笑う人は、不幸にも少年期にドラゴンボールに触れられなかった人である可能性が高い。
 ドラゴンボールは世界各国で放送され、時代を超えてアニメもリメイクされた。だが、それでもなお、生まれた時代や国が少し違えば、俺は少年期にドラゴンボールに触れていなかっただろう。

 俺は恥じるのでなく誇るべきなのだ。この境遇を羨む人は世界中に大勢いるのだから。ドラゴンボールを「ピラフの発祥」なんていう豆も豆な豆知識を得るより先に読めたということを、マウントを取り返す勢いで誇るべきなのだ。
 
 俺はピラフが中華料理でないという知識を持たなかった。だがそれは少年期にドラゴンボールがあったことに比べれば取るに足らないことである。
 頭カラッポのほうが夢詰め込めると森雪之丞も言っている。夢より先に米を詰め込んでしまった人に笑われて、何を恥じることがあろうか。そういう気持ちで生きていきたい。
 
■2023-04-28
PCドクターT
 職場のノートパソコンのメモリが4GBしかない。


 4GBしかないと、もはや業務が「Wordを立ち上げたらコーヒーを入れに行く」のような状況になってしまい、かなりの労働力がスポイルされていると言わざるを得ない。
 しかしPC買い換えの予算は後回しにされ続けており、このままの環境で勤務を続けることは、もはや労働基準法第一条「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」に反してしまう可能性すらある。
 ただちに是正しなければ!

 折しも、今年度使う人のいないPCが数台出たところだ。この好機を生かすべし。
 俺はこっそり予備PCの機種を調べ、自分のものと適合することを確認した上で、メモリを摘出し自分のPC空きスロットへ移植した。
 起動させてみたらブラックアウトしたので焦ったが、案の定これは俺の握力の問題でメモリがきちっと刺さっていなかったせいだった。その他拒絶反応は見られず、8GBを認識していることが確認できた。

 導入した年度によって機種は異なる。しかし、課内のどのPCもメモリのスロットは2口あり、その片方に4GBのメモリが刺さっているようだ。つまり、8GBのメモリを1つ買えば、浮いた4GBのメモリでもう1台の命を救うことができる。
 俺は「今なら1台あたり2000円弱で業務スピードを改善できる可能性があるのだが……」と総務に稟議を提出した。稟議書は付箋のメモであったが、事前に偉い人のPCに先ほどの4GBメモリを増設して「Officeの立ち上げが速いッ!」という言質を取ることでスムーズに予算を得ることができた。正確で美しい稟議書よりも響く言葉がある。

 ここからは同型機からの移植ではないので、拒絶反応が出ないようメモリの規格を調べなければならない。機種によってDDR4-1600だのDDR3L-1600だのが混在していて把握に時間がかかった。DDR4っていったりPC4っていったりするのやめて統一して欲しい。
 そんなわけで多少出たとこ勝負のところはあったが、結果的に何も問題なく作業を進めることができた。強いて言えば「このまま2台同時にメモリ増設の手術を行う!(ギュッ)」ってなったのがスーパードクターっぽかった。

 こうして課内のPCをすべて健康で文化的な最低限度のメモリに引き上げることができた。
 これであとはHDDをSSDに換装していけばもう5年くらい戦えそうな気がする。しかしそれはメモリ増設に比べてはるかに時間と予算がかかるため、あまりやりたくはない。それにこれ以上PCの更新を遅らせられるのも困る。


 ところで、底面のネジが1つ欠落しているPCがあって、首をかしげながらネジ全部とって開けて、メモリ刺してまた閉じたら、なぜかネジが全部そろっていたという体験をしたんですけど……これひょっとして怪談ですか?
 
■2023-04-12
待望の第四弾
 この春、“奴”が帰ってくる。

 「三不知さんしらず」掃討作戦から13年。
 人々はテロの傷跡から立ち直り、平和な日々を過ごしていた。
 そんなある日、アメリカ口腔宇宙局(NOSA)に勤めるジョンは、AQCの数値が上昇したことに気づく。原因の調査を行ううち、かつての三不知との戦いに隠された秘密が明らかになっていく――
 
 親知らずは、滅びていなかった。
 誰もが予想しなかったロストナンバー、4番目の親知らずが、歯茎を割って現れる。
 これまでのやり方が通用しない「4番目」に対し、ジョンは歯茎の切開を提案する。
 果たしてジョンの運命は?
 口腔内に平和は訪れるのか?
 この春、感動のスペースファンタジー!
 
親知らず4 - Parents Never Know -
 2023.4.14

 衝撃の結末を、見逃すな!

■追記
 手術は25分ほどかかったが無事終了した。
 処方されたロキソニンの力もあってか、麻酔が切れたあともたいした痛みはなかった。あれだけ歯茎を切り開いて歯をバキバキに砕いて根っこをほじり出しても、出血が止まればたいして痛まないのは人体の不思議である。痛みっていうのは警告なんだな。

 さすがに術後2日はわかりやすく左頬が腫れていた。なのでほっかむりを巻いて、保冷剤で頬を冷やすというティピカル虫歯患者スタイルで過ごした。
 こうして俺のAQCの数値は再び28で安定した。今後もこの数値を保っていけると良いのだが。
 
■2023-01-01
ミズノ・トノウ
 バッ謹賀ム新年2023ッ!
 スゲーッ爽やかな気分だぜ。
 正月元旦に新しいパンツをはいたばかりの噴上裕也を病室からブッ飛ばした東方仗助のよーによォ~~ッ!

うめとモロッコ
なんで今年とり年でもねずみ年でもないの?
 ウサギもネズミもげっ歯類だし、
 ウサギも文鳥も「一羽・二羽」で数えるから、
 もう合わせて今年の干支ってことで
 いいんじゃないでしょうか。

 調べてみると厳密にはネズミは単歯類でウサギは重歯類であり「げっ歯類」として括ってよいかというと怪しいものがある。今では「げっ歯目」「兎形目」として分離されているようだ。新年から勉強になった。
 
■2022-08-16
JUST MOVED
 「1LDKはどう考えても小学生と暮らせる広さではない」という事実から目をそらせなくなってきたので、引っ越しました。

 娘氏の校区が変わらないようにしつつ、今より広い物件を探すというのは非常に困難なミッションでしたが、この夏に見事ワイフがナイスな物件を探し当ててくれました。やや尖った性能ではあるものの総合的な条件はすばらしく、我々はこのスキを逃さずに転居をキメました。駅までの距離が半減して3部屋も増えたのに家賃が+10k程度なのはありがたすぎる。

 主な弱点としては駐車場までの距離が150mあるというところですが、物件の横に停車スペースはあるのでなんとかなるでしょう。
 とにかく床面積がめちゃ増えたので、たとえばキッチンの導線が劇的に改善しました。夕飯の時に箸を取りに行くだけでも娘氏とぶつかりワイフとぶつかりしていたのが信じられません。俺たちは毎日Overcookedしていたのか?
 部屋数も増えたので、いままで段ボールに入れて実家に封印していた漫画などを回収し、本棚に収めることができました。まずこれだけでもクオリティオブライフが上昇したというか、ライフそのものがようやく動き出した感があります。本棚は人生。

 そして娘氏は『魔法陣グルグル』と『サナギさん』を読破してご満悦です。特に『サナギさん』は絶対好きだと思っていたのでやったぜグッて感じだね。『すごいよ!マサルさん』は好みではないそうです。でもマサルさんとジャガーさんはちゃんと読んでもらわないと家族の会話についてこれないよ……?
 
■2022-03-30
私とゴリラ
 私はその日、上野動物園のゴリラの前にいました。
 折しも上野公園は桜のさかりで、動物園も入場制限があるとはいえ、かなりの人出でした。


 ここ上野動物園にはニシローランドゴリラの家族が暮らしています。
 ゴリラは「森の賢者」の異名をもち……いや森の賢者はフクロウか? 「森の人」はオランウータンだし「森のバター」はアボカドだ。とにかくそういった知能の高い動物として知られています。

 ゴリラは一人でたたずんでいました。
 そのうち隔壁のドアの向こうから大きなゴリラが現れ、悠々としたナックルウォークでそのゴリラのほうに近づいてゆきました。そして、小さいほうのゴリラの後ろに回り込み、またドアの方へ戻ろうというときに、さりげなく手で小ゴリラの腰をプッシュしました。
 思えばあれが「何をしている、始めるぞ、来い」というモーションでした。
 私はすぐにゴリラを追って、隔壁の向こうのゾーンが見られる窓まで移動しました。


 窓の前には短い丸太がありました。
 小さいゴリラがやってきて、その丸太を起こしては倒し、起こしては倒しを繰り返し始めました。窓の前にいる人間たちは、そのあふれるゴリラパワーに釘付けになりました。
 丸太には穴があいており、その奥に手を伸ばすしぐさから、丸太の中に飼育員が何らかの食料を詰めていることがわかります。
 小ゴリラは丸太をひっくり返す衝撃で、中のものを取ろうとしていました。

 丸太のひっくり返る音で多くの人間が集まってきました。
 そしてギャラリーが固唾をのんで見守る中、ついに丸太の穴から一つのトマトが転がり出たのです。

 しかし小ゴリラはそのトマトに気づきませんでした。
 さりげなく近づいてきた大ゴリラが、背を向けたまま、転がり出たトマトを拾い上げて立ち去ったからです。
 歓声が上がりました。
 ギャラリーの視界からゆっくりとフレームアウトする大ゴリラと、中身の消えた丸太を調べて釈然としない小ゴリラに、私は思わず拍手をしていました。


 今、私たちはゴリラによる演劇を見せられていた。
 ゴリラに手玉に取られていた。
 「丸太をひっくり返して中のエサを取ろうとするなんて賢い動物ね、さすが森の賢者だわ」という気持ちで見ていた大勢の人間は、ゴリラが仕掛けたイメージ戦略の中にいた。
 ゴリラとはアフリカ大陸をカラテで支配した半神的存在である。彼らは歴史の表舞台から姿を消し……そして帰還する。ゴリラたちは政府・金融機関・産業界の関係者を配下として闇の政府ディープゴリラステートを形成し、ドナルド・トランプを大統領の座から引きずり下ろし、檻の中から世界を密かに牛耳っているのだ……。
 
■2022-03-10
陽性乱舞
 ちょっと一家全員コロナ陽性になってドメスティックロックダウンしていた。
 任意の俳句に下の句として「一家全員コロナ陽性」をつけるともれなく悲しくなる。
 梅一輪 一輪ほどのあたたかさ 一家全員コロナ陽性。


 全ての始まりは娘氏の急な発熱だった。だがそれはすぐに収まり、娘氏は元気モリモリで過ごしていたので我々は兆候を見落としたのであった。土日も断続的に微熱が出ていたが、なにしろ完全に元気モリモリ人間なので、「次に高熱が出たら救急病院に行く」と決めてはいたものの、結局家から出ないまま過ごしてしまった。
 そして月曜夜、ご両親を38.5~39.5度の高熱が襲った。

 最初に娘氏が高熱を記録したときにすぐ検査に行くべきだった……そう悔やんだものの、仮に娘氏がそのまま陽性の診断を受けたとして、土日に家庭内感染を防ぐなんらかの措置が取れただろうか? 7歳児を隔離し、食事や就寝を全て一人でやらせることは難しい。娘氏がコロナウイルスを拾ってきた段階で我々は詰んでいたのだ。


 悔やんでいても仕方がない。とにかく抗原検査を受け、コロナを確定せねばならぬ。深夜から続く熱でフラフラだったが、検査を受けるのならロキソニン等で封じることはできず、ライフで受けるしかない。
 行きつけの医院が開き次第、一家で車で向かう。電話で建物裏の駐車場に停めて待つよう指示を受け、車内で全身の関節の痛みにもだえ苦しむこと30分、ようやく冒頭の「一家全員コロナ陽性」の診断が下った。

 それから薬の処方や保健所への連絡でもうしばらく待機することになった。院内処方のできる医院であったことに感謝しつつ、一刻も早くクスリで発熱を和らげたいという一心でもだえていた。娘氏は一人だけ元気モリモリなので車内がヒマであることに文句を言っていた。すまないが誰もフォローできない。

 陽性が確定したことを職場や娘の学校、各種習い事に連絡する。しんどい。午後、保健所からの連絡があり、詳しい発熱時期や発熱前の行動についての調査を受けた。発症の順番からいって感染経路は小学校からだとは思うが、「学校ではマスク・手洗い・黙食を徹底しており、したがって児童は濃厚接触者に当たらない」ということで感染経路不明となった。このタテマエを守らなければもはや学校は回らないのであろう。学級閉鎖や休校をその都度やることの影響を考えると現実的にやむを得ない。

 俺自身の発熱前の行動については「マスクなしの対面で15分以上会話」が濃厚接触者の条件らしく、喋るときは常にマスクをしていたためギリギリ他への影響を免れた。というか高熱にあえいでいるときに3日前の行動を聞かれてもたぶん答えられなかっただろうから、土日にどこにも行かなかったのは正解だった。
 発症から10日間の外出禁止を命じられ、その旨をまた各所に連絡し、スマホンを抱いて寝た。意識がある間は弊サイトの過去ログを読むことくらいしかできなかった。逆に言えばそれはできた。何このサイトめっちゃ読みやすいな。

 スマホンからはひっきりなしに厚生労働省から「COCOAに陽性登録して!」というショートメールが届き怖かった。いや登録したし……うまく登録通ってなかったのかな。2日経ったらおさまった。あとは県の健康観察窓口からも緊急連絡先についてのショートメールが毎日届いた。

 こうして籠城生活がスタートした。物資についてはワイフがネットスーパーを利用して大量のレトルト食品やインスタント食品を確保してくれたうえ、タイミングよく「やきそば弁当たらこバター味」が1ダースと、ふるさと納税で得たジャガイモ段ボール1箱が届いたところだったので無敵だった。


 翌朝、体温は37.5度まで下がっていた。代わりに喉の痛みが強まる。とはいえ物が喉を通らないとかそういうレベルではぜんぜんなく、クスリさえキメておけば耐えることは容易だった。喉の痛みは、そのうちなんか魚のホネが刺さったようなピンポイントな痛みに集約されていった。
 とにかく娘氏が元気モリモリなので困る。両親ともに発熱していて、全員陽性だから外部に助けを求めることもできないという状況で、娘氏の学校の勉強が遅れないようにフォローするのは困難を極める。

 保健所からレターパックでオキシジェンデストロイヤー(正式名称を覚える気がない)が届く。早速オキシジェンパワーを測定したら100点満点だったので満足したが、100は100でよくないらしい。測り直したらだいたい98か99が出るようになった。

 そして気が付いたらもう週末になっていて焦る。5日目ともなると完全に平熱に戻り、あくびをしたときだけ喉が痛い健康な人となっている。重症化は免れたようで、こうなれば一安心であろう。だがこの時点で籠城期間はまだ半分残っている。あとは自宅軟禁されているだけの普通の人である。


 結果として、我々が食らったコロナは幸運にもほぼただの風邪であった。しかし再確認して頂きたいのは「ただの風邪もだいぶしんどい」ということである。ただの風邪から肺炎をこじらせるケースだって当然あるわけで、風邪を侮ってはいけない。
 そして10日も職場を空けてしまったので、もうちゃんと出勤できるかどうか怪しい。毎朝早起きして満員電車で時間通り職場へ出社するなんて狂ってないとできないのではないか。サラリマンとしてのマインドセットをどう立て直していくか、不安は尽きない。
 とりあえず保健所から証明を出してもらって、それで保険やさんに動いて貰わなくては……社会的な活動がめんどくさい……。
 
■2022-01-01
ミズノ・エトラ
 バッ謹賀ム新年2022~ッ!
 今年の年賀状はなんかもうサーバー上にあったんでこれでいいよね!

 今年は新海誠監督が3年ぶりに新作映画を公開するそうで、そのニュースを聞いて「天気の子が3年前!??」と椅子から滑り落ちた俺です。
 おかしい、俺の感覚ではあれは去年……多めに見積もっても2020年だったハズ……いやどっちにしろ観てないからまったく定かでないんだが……
 おそらくこれは加齢による相対的な時間感覚の変化によるものだけでなく、2020年にコロナであらゆるものが中止になったせいで時間が強力に圧縮されているせいではないかと思います。そう信じたい。

 またその前の「君の名は。」がさらに3年前の2016年公開で、いやこれも結局観てないんだけど、この年はリオ五輪とか逃げ恥とかが話題になった年で……と調べてもむしろこっちが3年前くらいなんじゃないかという感覚です。
 しっかりしろ。6年前ってことは40周年記念の戦隊が終わるところだから、2016年は動物戦隊ジュウオウジャーで、プリキュアは魔法つかいだ。そのうえフルタ製菓はクソコラ古田織部でエブリワーン♪エブリワーン♪ってCMを打っていたぞ。はるか昔の話だ。

 加齢に伴う時間感覚の変化は恐ろしいですね。でも我々にはニチアサがある。ニチアサを軸として正気を保っていきたいと思います。よろしくお願いします。
 
■2021-09-09
接種者の日誌
Sep 7, 2021 15:00
 警備員のスコットとエリアス、研究員のスティーブとファイザーをやった。
 スティーブの奴、やたらついてやがったがきっといかさまにちがいねェ。
 俺たちをばかにしやがって。体温36.2度。

Sep 7, 2021 16:00
 1時間経過。
 宇宙服みてえな防護衣を着たスコットが突然やってきて、大量の水とロキソニンを勧めるので飲んだ。
 なんでも先制でバフかけとくといいらしい。体温36.2度。

Sep 7, 2021 18:00
 体温36.5度。倦怠感はあるが、休みの日の夕方なんてだいたいだるいので完全に異状なし。
 研究員の連中ときたら、夜も寝ないで実験ばかりやってるからこんな事になるんだ。

Sep 7, 2021 21:30
 接種部にやや痛みあり。
 研究員のおえら方から娘氏の寝かし付けを頼まれた。
 一人じゃ寂しいってんで、添い寝してやったら、娘氏、お人形を寝かしつけたりして遊んだあげくやっと寝やがる。
 娘氏の寝返りで肩に頭突きを喰らい悲鳴を上げる。

Sep 8, 2021 05:00
 昨日からこの忌々しい接種跡が痛むんで断続的に目が覚める。
 寝返りもできやしねえ。いったいおれ どうな て(二度寝)

Sep 8, 2021 07:00
 あさ からだ中ふつうふつう。(体温36.6度)
 腕 あがらな ので 用意 ておいた おかゆ あたためて くう
 うまかっ です。

4
 うまい
 かゆ
おかゆ
粥うま

 というわけで副反応はそうひどくなかったです。接種直後よりむしろ24時間後くらいのほうが熱出てました。頭痛・下痢・倦怠感はいつも特に理由なくやってくるのでワクチンの影響かどうか不明です。1回目おわり。
 
■2021-06-22
そうだ、資格を取ろう
 業務上の秘密に抵触する可能性があるのでぼかしておくが、まれに発生するあるタイプの仕事に対して有効であるということで、資格試験というやつに挑むことになった。


 突然だがファミコン版ファイナルファンタジー3のあかまどうしの話をしたい。
 赤魔道士という職業は、剣も持ててレベル3までの白魔法・黒魔法を使える万能戦士で、最序盤では無類の便利さを誇る。しかし浮遊大陸から旅立つころにはそれぞれのスペシャリストに押され、とっととほかの職に転じて二度と顧みられることはない。

 小学生だった俺はこの事例から「器用貧乏」という言葉を理解した。しかし今ならそれが浅はかだったとわかる。確かに赤魔道士は光の戦士としては半端だが、実際に光の戦士として戦うのは世界でたったの4人であり、その外には無数の一般人の暮らしがあるのだ。

 あの世界の赤魔道士というのは、魔法の研究職である黒魔道士と、治癒・浄化の実務を行う白魔道士という2つの集団をコーディネートする職業なのではないだろうか。
 大きな国家がこの2つの集団を大規模に運用するようなプロジェクトが立ち上がったとき、企画・折衝・提案を行うために、両方の魔道士のことをよく知る職業が必要になったのではないか。
 そして、そういう職業は我々の世界にも多々あるのではないだろうか。レベル8の技能を使いこなすスペシャリストになれずとも、レベル3までの複数の技能を同時に活用できればそれはオンリーワンの技能となり得るのである。


 今回俺が受験した資格試験はまさにそういう類いのもので、レベル3までの白魔法と黒魔法が両方要求される。白魔法は業務で、黒魔法は趣味である程度カバーできていたので挑戦することになった。
 とはいえ、業務上ケアルの原理は知っていても唱えたことはないし、ブライナとか存在すら知らなかった魔法も多々ある。
 同様に、趣味で黒魔法を唱えまくっているとはいえ、どういう原理でサンダーが実装されているのかとかは全く知らなかったので、だいぶ勉強をすることになった。

 いま「勉強をすることになった」と言ったがまったくこれも難儀した。社会人になってからというもの勉強というものを怠っていたと言わざるを得ない。強いて勉めると書いて勉強……何か物悲しいわね……。
 マイナーな資格のため、講座や参考書などというものはなく、過去問をひたすら掘るしか方法がない。目についた専門用語を片っ端から調べてノートにまとめつつ、「自力で新しい分野の勉強をする方法」を身につけさせるのが高等教育の力なのだなと実感するなどした。


 決して合格率の高くない試験なので、果たして俺の実力が合格点に達したかはわからない。だがやれるだけのことはやった。検定結果が送られてきてもここでは触れないので、あとはそうっとしておいて欲しい。
 
■2021-01-14
ラーメンスナック才遊記
 職場を出たテバサキは駅の方角を見やり、思い直して、反対方向へ歩き出した。2、3分歩き「実際安い」とミンチョ書きされたダガシ・ショップに辿り着く。彼は「らあめんババア」を探した。無情な「売り切れ」のランプが灯っている。他の銘柄を購入すべきか逡巡し、結局やめた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 この年末年始、なぜか急に「らあめんババア」が食べたくなり、いろいろなお店の棚を探してしまった。
 いや、わかっている。「らあめんババア」は去年の夏にすでに生産を終了しており、今それを店頭で探すのは無駄足である。それなのに、ベビースターラーメンとは明らかに違う、あの駄菓子的なチキン味を体が欲してしまった。それでシルバーカラス=サンのタバコのように、ふとした拍子にその銘柄を探すようになってしまったのだ。このまま死ぬ直前まで探し続ける運命かもしれない。

「狂ったのか!?」「ああそうだ。俺は狂ったのさ」シルバーカラスは無感情に答えた。「タバコ無いか。『少し明るい海』。無いよな。あるなら、いただこうと思ってな。お前の死体を漁って」

@NJSLYR 【スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ】より
 余談になるが、このエピソードは2012年の正月に「ニンジャスレイヤーとかいうふざけた小説があるらしい」という話を聞いて読み始めた俺にいきなり着弾した屈指の泣きエピソードであって、全てのニュービーにおすすめできる。なおその月には同時にヤクザ天狗という屈指の狂気が着弾し、その温度差で心のグッピーが死に絶えたため俺はなすすべもなくニンジャヘッズと化した。


 なんでラーメンスナックの話をしていたのにニンジャスレイヤーの話になってんだ。話を戻そう。
 俺だって「らあめんババア」がないことくらいわかっている。なので銘柄にはこだわらない。あのジャンクな味わいが体感できるのなら他のものでもいい。
 実際、駄菓子屋にはいくつかの代替品がある。謎のボクサーが真顔で「うまい」と言ってる謎のスナックとか、いかにもアイヤー!と叫びそうな謎の中国人があたかもハオチー!と叫んでいるかのような謎のスナックとかだ。しかしあいつらは量が少なすぎる。ババアも決して多くはなかったが、個包装が小さいにも限度というものがある。

 俺は必死に記憶をたどった。そして思い出した。駄菓子屋ではなく、どっかのコンビニかスーパーのプライベートブランドか何かのラーメンスナックが、ほぼババアの味だったことを。100円コーナーの商品のため一袋の量は十分であり、ババアを目一杯食べたいという欲求を満たすにはそれを探すしかないのは明白だった。
 しかし……記憶にあるスーパーやコンビニを巡っても、そのスナックは見当たらなかった。ババアと心中する形で終売となったか、俺の脳内のコラ職人が見せた幻か。

 それにしても、もはやコンビニは俺にとって完全に「帰り道にふらっと立ち寄る街のほっとステーション」ではなくなってしまった。このようにコンビニにしかなさそうなものを探して、確たる意思を持って向かう専門店に近くなってしまった。
 コンビニは今や「マスクで口元を覆った状態で外国人店員に袋の有無・ポイントカードの有無・支払い方法を伝えたうえ、サッカー台もないのに支払いと袋詰めを同時にしなければならない」というまったくコンビニエンスでないストアになっている。こんなことにわずかでも頭を使いたくない。人間は頭がアホになっていなければ無駄な出費をしないということを政府はわかっていない。いますぐ内閣総辞職して政権交代だ。


 なんでラーメンスナックの話をしていたのに政権交代の話になってんだ。話を戻そう。
 見かねたワイフがドラッグストアで似たものを見つけてきてくれた。
ラーメンピーナッツ
 おつまみ系であるという記憶はなかったが、言われてみればピーナッツが入っていたような気がする。食べてみると確かにベビースターラーメンのチキン味とは異なる、ババアの駄菓子的な味がした。
 おそらく俺の求めていたものはこれだろう。しかし、これがババアの味かどうか……ババアの味とは……? その肝心の部分の記憶が、もうぼやけてしまっていることに気がついた。
 もうババアは皆それぞれの心の中にしかないのだ。そしてそれは、こういったジェネリックベビースターラーメンによって上書きされていくのだろう。おおババアよフォーエバーソーファイン……。