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◆不定期日記ログ◆

LOG 2018-11

■2018-11-03
超10ギガ
 1年前に「ギガが減る」という言葉が紹介されたときには嘲笑していたが、どうやらこの「ギガ」、通信量を示す使い勝手のいい言葉として俺の中で定着しつつある。

 「動画を見すぎてギガが減る」「Wi-Fiがなくてギガが減る」、逆に「コンビニでギガ増やせるよ!」──最近、SNSなどで見かける不思議ワード「ギガが減る」。勘のいい人は気付くかもしれないが、これはスマートフォンなどで契約しているデータ通信量の残りが減っていることを表す若者言葉だ。

若者はみんな使っている? 謎のワード「ギガが減る」とは - ITmedia NEWS
 世間一般でも「ギガ放題プラン」とか「ギガモンスター」とかの料金プラン名によって便利に使われている感がある。ギガモンスターってなんだよソフトバンク……ギガゾンビか何かか? ギガゾンビのひとはなんで七万年前の時代に精霊王として君臨しておきながら「ギガゾンビ」なんていうドすげぇ名前を名乗ってしまったんだ? ブードゥー教もなければSI単位系もないのに。

 話が逸れた。ソフトバンクの料金プランにはすでに「ウルトラギガモンスター」が登場しており、もはやギガは接頭辞としての役割を忘れられ、頭にウルトラまでつけられてしまう時代になったことを示している。


 でも理にかなってはいると思う。日常的にバハムート改やハードディスクに触れてきたオタクと違って、一般人にとってはギガに至る単位はほぼ通信量しかない。それならカロリーみたいに単位のほうを一般名詞化すべき、とは思うが、バイトは金を得る手段なので仕方ない。ギガのほうが便利に使われる道理である。

 ところで、我々はバハムートさんにSI接頭辞がメガ・ギガ・テラと大きくなっていくことを教わった。メガ(M)は百万倍、ギガ(G)は十億倍、テラ(T)は一兆倍を示す。
 しかし英語で習った百万・十億・一兆は Million, Billion, Trillion であった。MとTはわかるが、なぜ Billion は "Gillion" にならなかったのか。空気を読んで欲しい。みんなジリオンだったらなーって思ってるぞ。
 
■2018-11-09
生涯ベストワン映画制作委員会
 Twitterで #生涯ベストワン映画 というタグがあり、俺は窮地に追い込まれた。

 本来、自分が観てきた映画の頂点を1作に決めることなどできるはずがないのだが、困ったことに俺の場合は明確な基準を設けることによりその1作が決まってしまうのだ。
 その基準とは「映画館で涙を流した」であり、その1作とは先月の『映画 HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』である。
 
 これは大変なことになった。
 映画プリキュアが素晴らしかったことに異論はないが、これが俺の「生涯ベストワン映画」になってしまうのは困る。
 言い訳がましくて申し訳ないが、まず俺の涙腺の配線がおかしなことになっている件についてのご理解を頂きたい[事例1][事例2][事例3]。サントラ即泣きおじさんにとってプリキュア主題歌インストアレンジオールスターメドレーはその文字列だけでも涙腺を破壊する威力があり、仮にそれが流れるのがどうでもいいシーンだったとしても俺は泣いていたであろう。

 これまで映画館で泣いたことはまったくなかったし、DVD等で観たのを含めると唯一実写版『キミとボク』が該当するが、これも原作付きなうえ、序盤にパッヘルベルのカノンが流れ始めた時点でもう泣いていたので完全にパブロフの犬であることがわかる(猫映画なのに)。このような体質で他にどうやって映画館で泣けというのか。しかし泣くことができなければ自動的に映画プリキュアが唯一無二になってしまう。なんとかしなければ。


 俺は一生懸命想像した。劇場で俺が泣きうるシチュエーションを。とにかく良く知っている音楽を唐突にブチこめば俺の涙腺はバカになるのだ。
 そういう意味では現在やってる『ボヘミアン・ラプソディ』なんかは良さそうに見えるが、QUEENにそこまで思い入れが強くないうえ、ブチこまれるのがたぶん原曲なので唐突感も弱い。これでは駄目だ。(※2019-01-17追記あり)

 そういえば『ひるね姫』は涙腺崩壊案件に近かった。あの下村陽子が! 冒頭から聖剣伝説LoMめいた劇伴を! 惜しみなく! さらにはあのゆうめいな Daydream Believer の編曲まで! 完全に事前の作曲者情報に振り回されているが、俺が未プレイのパズドラ曲をイトケンというだけで泣いてる男であることを忘れてはいけない。


 結論として、『風の谷のナウシカ完全版』が製作され、そこに潤沢な予算に支えられたフルオーケストラによるナウシカBGMの数々を23.1chのスピーカーでぶち込まれたら、俺は全方位から押し寄せる久石譲エナジーの前になすすべもなくボロ泣きするであろうことが容易に想像できた。宮崎監督と庵野監督は頑張って下さい。続編とかじゃなく完全版でお願いします。
 
■2018-11-16
流行性耳下腺炎
 週末、娘氏が「おみみのうしろがいたい」といってオネツを出した。

 翌日ワイフに小児科に連れていってもらい、「おたふく風邪の疑いがある」という診断を受けた。すなわち出席停止である。まだ義務教育でないので関係ないが、その期間については文部科学省令に「流行性耳下腺炎にあつては、耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後五日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで。」と定められている。つまり「発現してから5日」が出席停止の期間だ。
 発現が昨日なので、あと5日は幼稚園をお休みする必要がある。予防接種は受けていたが、まあすり抜けてくることは多々あるそうだ。

「で、おたふく風邪かどうかの検査結果はいつ出るの」
「4日後だって」
「まじか」

 これどういうことなの? 「発現から5日は出席停止」って決まってるのに、おたふく風邪かどうかの検査に4日もかかるの意味わからなくない? まあ娘氏は明らかに顎の下や耳の後ろが腫れてるので間違いないと思うけど、もう熱は下がって元気そのものだし、見た目が微妙だった場合はどうなるわけ? その4日間は我が家におたふく風邪で出席停止しているアイチャンと、意味もなく欠席しているアイチャンが「重なり合った状態」で存在しているの? シュレーディンガーの娘氏なの?

 前述のとおり娘氏はまだ義務教育でないので関係ないけど、これ皆勤賞を狙う小学1年生の親御さんとかにとってはかなりの不条理なのでは。まあ皆勤賞なんて結果についてくるもので狙うものではないと思うけど。


 そんな不条理な日々を過ごし、シュレーディンガーの娘氏は先日無事「おたふく風邪の診断書」と「登園許可」を同時にもらうことができましたとさ。やっぱなんかおかしくないこれ!?
 
■2018-11-19
いろんな娘氏
  • 朝起きるなり「こうさくで作ったピアノなくなっちゃった……あれ夢だったの……? 欲しかった……」と嘆き悲しむ娘氏。これはニンテンドースイッチと段ボールでピアノを作ってあげるべきか。
  • 夜、まったく寝ない娘氏に対して「寝るつもりがないならパパチャン起きていい?」と聞いたところ「アイチャンもパパチャンのねかしつけやーめた」と言って起き出す娘氏。
  • その翌週、娘氏から「アイチャンひとりでねられるよ!パパチャンはニンテンドースイッチして」と言われたので半信半疑ながらねんね部屋から出てきました。(おかーたんは風呂)
  • 様子をみていたら娘氏が起きあがり「ぱぱ早く好きなゲームして。スプラトゥーンして下さい」「テレビでニンテンドースイッチして。早く」と念を押してきた。寝て?
  • その後、指示通りスプラトゥーンをしていたらいつの間にか娘氏は一人でねんねしていた。これでご両親の夜の自由時間が大幅に増える。なんて親孝行な子なんだ。
  • そのまた翌週、また「パパチャンいらない」といって一人でねんね開始をしたものの、「暗いところは大人といっしょじゃなきゃ危ないから……」と屁理屈をつけて結局パパチャンの寝かしつけで就寝した。
  • おまつりでらくがきせんべいを嗜む娘氏「七色の粉のところがおいしいよ」
  • 「アイチャンはダンス好き」
    「じゃあ体操教室やめてダンスの教室に移る?」
    「じゃあそれにするよ」
    「決断が早すぎる。体操教室はもういいの?」
    「いい。アイチャンもうじゅうぶん力持ちだから」
    「行動力の化身か」
  • ストローをタクトのように振りかざして合唱の指揮者ごっこをする娘氏。だがパパチャンが指揮に従わないと突如ストローを折ってマシンガンにして乱射するという恐怖政治が始まったのである。
  • 幼稚園で避難訓練があったらしく、「えー……地震がおきたら、クッションをあたまにかぶって、地震がおさまったらそとにひなんしましょう。」と災害の心得を教えてくれる娘氏。
  • 「えー……地震がなかったら、おうちにかえって安心にくらしましょう。」「その『えー』っていうの絶対講師の口癖でしょ」
  • エアロスミスのミス・ア・シングを聴いた娘氏「この曲は感動的だよ」
  • 桃の香りの入浴剤に感動する娘氏「甘いにおいにさそわれてミツバチが来たみた~い!」
  • 入浴後に余韻をかみしめる娘氏「アイチャンが桃の花になった。」
  • さらなる入浴剤を期待してやまない娘氏「他にもおふろをいいにおいにする商品があるんだよ。ハブとか」「バブな」
  • 胃腸に来る風邪をひいてご飯が食べられなくなった娘氏、夕飯のかわりにリンゴをもりもり食べて「胃が、わーりんごシャワーだーってよろこんでる」と御機嫌である。
  • その後「あとは寝てなおすよ。」と言って早々に一人でねんねし、治した。すごい。大人でもその判断はできないことがあるのに立派だ。
  • 娘氏、ついにエア都道府県クイズを始める。「都道府県クイズ♪ さてこの形、なに県でしょうか~~ヒント! このへん、ちょっと大きくしてみましょうか……だんごむしがいます」「大きくしすぎ!!」
  • Eテレ0655「スイスの首都はどこでしょう?」娘氏「そこらへんに、いっぱいいる!!」
  • マキヤというお店の看板を見た娘氏「まきや……」「マキヤだね」「……アイチャンが思ってることを聞かれないようにするには、どうしたらいいの?」「声に出さなければいいんじゃないかな?」
  • 入浴中の娘氏「あったかいところにいるとあったかくてきもちいいけど、さむいところにいるとすぐにさむくなってあったかいところにいきたくなっちゃう(一息で)」「思ってることが全部声に出ているね?」
  • 「アイチャンねー、今日ねー、おそとあそびで転んだとき、泣かなくて、つよい!!」と突如力強く自画自賛する娘氏。
  • 娘氏「おかーさんがんばれー!ケラチンくんがんばれー!」ぼく「覚えてしまったか……」娘氏「むちむちケラチンくんがんばれー!」
  • どうぶつの森でキャンプにいるどうぶつをおしゃれに着せ替えしつつ「男と女が、恋をするようにしたい」と抱負を語る娘氏。


 娘氏は今年も幼稚園の発表会でがんばってきた。最後の全体合唱のあと、なぜか娘氏は手をゆっくりと広げ、うやうやしく深いオジギをキメた。センターに近い位置にいたので完全にカーテンコールを独占していた。いったい何が娘氏を動かしたのか。
 来年はこれに合奏が加わる。ピアノ教室はちょうどメトロノームが出てきたところなので、リズムに合わせて演奏することを身に付けて挑んで欲しい。
 
■2018-11-21
パスポート狂騒曲
 パスポートをつくらねばならぬ。以前台湾に行ってから5年経過しているので、更新でなく新たに申請しなければならぬ。

 ていうかね、俺はマイナンバーカードを持ってるんですよ。もう国から番号を振られてるんですよ。
 で、パスポートをつくるときに必要なのが、
  • 申請書
  • 本人確認書類
  • 写真
  • 戸籍抄本または謄本
 の4つで、うち「本人確認書類」はマイナンバーカードを使い、マイナンバーカードには写真が登録されていて、マイナンバーカードがあればコンビニでも戸籍謄本が出せる。
 ということは、申請書とマイナンバーカードを携えた本人が窓口で「これでヨロシクやってくれ」と言えばパスポートができちゃう、そういう未来に俺たちはコミットしたはずなんですよ。俺そっくりに整形した悪しき者にナンバーを盗まれたらとんでもない被害が出るところまで含めて、危険と利便性を天秤にかけて選んだサイバーパンクSFな未来なんですよ。人を番号で管理するっていうのはそういうことでしょう!?


 ところが実際今生きているこの世界はなんだ。
 まず戸籍謄本がコンビニで出ない。どうやら本籍と住民票のある自治体が異なる場合は、別に利用登録申請が必要らしい。そして俺は本籍も居住地もその申請に対応していなかった。俺はすべてを諦めて物理肉体を役所へと移動させた。
 これはどういうことだ。そもそもなぜ自治体の区別がある? 俺の個人情報は番号を打たれてサイバー空間に格納されたのではなかったのか? ドラクエの冒険の書ですらどの町の教会からでも読み書きできるというのになんだこのザマは。俺はマイナンバー制度でSFの世界に足を踏み入れたと思ったのに実際は中世ファンタジー以下の暗黒時代だった。

 次に写真だ。俺が証明写真ボックスに800円を投入して撮った写真は「背景がグラデーションなので使えない」と突き返された。
 確かに外務省のサイトには「背景は均一無地」と書いてある。それを見落とした俺が無知蒙昧な情報弱者であることは認めよう。しかし俺はこれを「パスポート用」というモードで撮影しており、にも関わらず背景を「単色」と「グラデ」で選択させられたのだ。この選択肢はつまり、外務省の説明をロクに読まずにノコノコやってくる馬鹿を国外に出さないための罠……文盲をあぶりだすリトマス試験紙……富士フイルムさんが外務省の要請で実装した適性チェックということか……。

 俺は深い絶望に包まれた。俺が無知蒙昧だったという事実にではない。せっかく無人で写真が出力できるシステムを作り上げておきながら、このような卑劣な罠を仕込む人間に対してである。
 機械化の進展は、撮影・現像の経験がない人間でもひとりで証明写真を出力できるだけの技術を生み出した。そしてAIの進化がもたらす次の社会では、知識や情報の共有が進み、専門知識のない人間でも新たな価値を生み出せるようになる。それなのにこれはなんだ。わざわざ書類を頭に入れておかなければいけないようなシステムを組む国に未来はあるのか?

 これでは将来的にAI市役所が開発されても、結局電子化前と同じ手順を踏まされ、したがって俺のような血の巡りの悪いアホには何の利便性も与えられないことは目に見えている。そして真の電子政府化が進む諸外国に蹴り落とされ我が国は世界の最貧国に転落するのだ。一刻も早くこんな国から脱出しなくては……しかし俺のような凡愚にはパスポートを手に入れることすらままならない……。


 最終的に、このようなまったく生産性のない作業のすえ揃えた書類は「あんたパスポートの期限10年でつくっとるから期限切れてないぞ」というお達しとともに突き返された。
 さすがの外務省も自分のパスポートの期限を把握せずに申請しようとするアホに事前警告するシステムは思いつかなかったらしい。見たかエリート官僚ども! これがアホだッ! お前たちは「自国民に馬鹿は一人もいない」と信じて馬鹿には見えない服でパレードする裸の王様だァーッ!

 ……俺のような記憶力の欠片もない人間でも無事に社会生活が送れる、パーソナルAIアシスタントの開発……待ってますGoogleさん……