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◆不定期日記ログ◆

LOG 2016-06

■2016-06-09
国名を冠する元素
 珍しくニュースより。

日本の理化学研究所のグループが発見し、日本に初めて命名権が与えられた「113番元素」について、化学に関する国際機関は名前の案を日本の提案どおり、日本ということばを取り入れた「ニホニウム」に決め、日本時間の8日午後10時半、ホームページで発表しました。また、元素記号の案を「Nh」に決めたと併せて発表しました。

(NHK NEWSWEB 6月9日 4時48分)
 新元素名「ニホニウム」が国際的に正式決定されるにはまだ半年近い時間がかかるようだが、この「国名を冠する」ことに対して気恥ずかしさを感じる諸兄もおられよう。
 元素表を見れば「フランシウム」「アメリシウム」など地名を冠した元素はたくさん見つかるので、ちょっと地名由来の元素名を調べてみることにした。以降、Wikipediaに毛が生えた程度の情報しか調べていないことをご了承いただきたい。


 新しい元素のほうから当たっていくと、「ダルムスタチウム」「ドブニウム」など研究所のある都市からとられた名前が多いことがわかる。やはり元素を発見しまくって国名などとうの昔につけてしまった欧米は余裕が違う……と思いかけたが、研究チームが国際化している現代においては当然の措置といえよう。
 理化学研究所は埼玉県和光市にあるので、これに従うと「サイタミウム」とかになる。急にニンジャスレイヤー感が増してきた。サイタマの語感が持つ存在感はすごい。

 先ほど出た「アメリシウム」だが、これは単純に「我が合衆国が見つけたぜ!USA!USA!」という意味ではなく、元素周期表で「ユウロピウム」との位置関係で、アメリカ大陸から名付けられたものらしい。アメリシウムを発見したカリフォルニア大学バークレー校は、このあと立て続けに「カリホルニウム」「バークリウム」を命名しており余裕がすごい。理研におかれましては引き続き「サイタミウム」と「ワコニウム」を探していただくほかない。
 ところでアメリシウムって地名由来でいいんだよね……?さすがにアメリゴ・ヴェスプッチの威光はここまで届いてこないよな?

 「フランシウム」については国名由来であることは間違いなさそうだが、それより遙か前にフランスのラテン語名「ガリア」を冠したと思われる「ガリウム」があり、パリの古名ルテティアにちなんだ「ルテチウム」があるので今更感がある。この「旧国名・旧地名を冠する」というパターンは他にもドイツの「ゲルマニウム」をはじめとして数多くある。
 なぜ現在の国名でなく古い国名を使ったのかはわからなかったが、なかなか奥ゆかしい命名法ではなかろうか。これに従うと日本は「ヒノモティウム」とか、埼玉で武蔵国なら「ムサシウム」が使える。ムサシはかっこいいと思うがなんかむさ苦しそうだな。

 あと国名を冠していそうなのはポーランドの「ポロニウム」だが、これが発見されたころポーランドは絶賛分割中であり、国家としては存在しなかった。これはかなりデリケートな命名だったのではないだろうか。だって台湾のチームが発見して「中華みんこキウム」とか名付けたら中国共産党は激おこになるでしょ。よく通ったな。それだけキュリー夫妻の能力が高かったのか。


 こうして調べてみると、意外と「いきなり国名をストレートにつける」という例はあまりないことがわかる。が、当然理研の先生方はこういった命名の歴史を重々ふまえた上で「ニホニウム」を選んできているわけで、そこに意見をさしはさむ意図はまったくない。

 ただひとつ、語源の由来を調べていて特筆しておきたいことがある。

  • イッテルビウム……スウェーデンの小さな町イッテルビーから。
  • エルビウム……スウェーデンの小さな町イッテルビーから。
  • テルビウム……スウェーデンの小さな町イッテルビーから。
  • イットリウム……スウェーデンの小さな町イッテルビーから。

 スウェーデンの小さな町イッテルビー何者だよ……調べてみると採石場から珍しい鉱石が出たらしいがいくらなんでもちなみすぎだろ!上九一色村から「カミクイシキウム」と「カミクイシウム」と「クイシウム」と「シキウム」が発見されたらさすがにおかしいと思うだろ!特にイットリウムがあるのにイッテルビウムを命名した班!なんとかならなかったのか!?
 
■2016-06-12
お経はプロトコル
 2月に亡くなった友人の墓参りに行ってきた。

 故人の魂は四十九日かけてクラウドにアップロードされて、墓や仏壇などの端末からアクセスできるようになる、っていうたとえ話をTwitterでつい最近読んだけど、そのたとえでいくと我々のこの行為は何になるんだろう。コメントでもつけにいったのか?この献花はイイネ……?

 もともと年に一度会うかどうかの距離で、主にSNSでやりとりをしていた友人なため、このたとえには妙な説得力があるというか、救いがあるなと思った。
 会いたい友人には会えるうちに会っておかないといけない、という思いを新たにしたので、墓参りを口実にまた友人たちの顔が見られたのは幸いであった。
 とりあえず故人がプレイしていた(という点を俺が勝手に誇張している)カルカソンヌっていうボードゲームがうちにあるので機を見てやろうぜ。
 
■2016-06-13
15周年
 本日弊サイトは15周年を迎えた。
 15年……2001年が15年前とかちょっとにわかには信じがたい。

 15という数字は16進数でいうと「F」にあたる。
 つまり今年出るファイナルファンタジー15はFFFとなりすべてがFになる趣がある。ファイファンとかいう略称は捨てた。


 しかしまあ本当に今年、FF15が出るらしい。
 「ヴェルサス」としてPS3向けに発表されたのが2006年のことなので、10年かかっていることになる。開発費大丈夫か。7~11のころはほぼ毎年ナンバリングを出していただけに不安……と感じるが、むしろ7~11をほぼ毎年リリースしてきたことのほうが異様だったのかもしれない。複数のチームで平行開発してきたせいか世界観もシステムもバラッバラで、アイテムと魔法と音楽以外はまったく別のゲームになっていた。
 まあ昔からシステムについてはバラバラで、FFらしさといえば「その当時最強の演出を見せる」という一点だったと思う。FF3をやりなおして改めてそう思った。

 演出が進化していく一方で、確実に「プレイヤー個人の感情が入る余地」は削られていった。昔は浮遊大陸から飛び出したあと、(他に選択肢がないとはいえ)自らの意思で難破船を探したものだった。それがいつの間にか、スコールがリノアを抱えてエスタを目ざすという決断をするのをただ見守る形になってしまった。べつにそれ自体が悪いことではないが、FF10を投げたときのことを考えると「Not for me」なんだろうと思う。


 ところで、FF8のラグナ編は、過去のラグナの旅をスコールが追体験する形で語られる。スコールにはラグナの思考までダダ漏れで、困惑したりツッコミを入れたりしている。
 この関係性は、ひょっとしてプレイヤーとスコールの関係と同じなのではないだろうか。FF8ももうすっかりレトロゲーの仲間入りなので、誰かほかに同じような考察をしているかもしれないけれど、いまさらそんなことを思った。スコールの言動に困惑しツッコミを入れるプレイヤーと同じことを、スコールがラグナに対してやっているのだ。これはメタ構造、メタRPGである。わかっててやったのだとしたらなんたる野心的試みか。


 FF15は果たして本体ごと購入に至るようなものに仕上がっているだろうか。とりあえず音楽が『マリオRPG』』『LEGEND OF MANA』の下村陽子先生だということがわかったので、その点については期待が高まっている。
 
■2016-06-21
アンパンマンが描く社会問題の構図
 アンパンマン世界の治安について考えてみた。


 なぜかアンパンマン世界では、基本的にばいきんまんさん以外の犯罪者が出てこない。まれに氷の女王とかが出張ってくることはあるが、それもだいたい彼が絡んでいる。
 アンパンマン世界には彼の他に、窃盗や詐欺を働く者がいないのだろうか。

 以前考察した通り、ばいきんまんさんは常に飢えており、それゆえに食料の強奪などの犯罪を行う。これはつまり「困窮した者が犯罪に走る」ということを暗に示しているのではないか。カバオ君もたびたび飢えているが、それは必ずアンパンマンというセーフティネットによって満たされるため、彼は困窮していない。飢えているのはばいきんまんさんだけなのだ。

 ではなぜばいきんまんさんだけが食料を与えられず困窮しているか。
 すぐ思いつくのは「大食いすぎて他人の分まで食べてしまうから」という理由だが、どうもそう単純ではないらしい。まず変装しているときはいくら大食いをしてもただちに非難されることはない。しかし変装していなければ悪事を働く前から厳しく対応される。まあばいきんまんさんにはこれまで積み重ねてきた前科があるのでインガオホーとは思うが、変装などに関していっさい他人を疑わないアンパンマン世界の住人にとっては異常とも思える拒否反応である。
 そして、ある屋台を襲撃した回では、ばいきんまんさん以上に食料を奪ったドキンさんは一切糾弾されず「ごちそうさまー」と飛び去っていった。ランプの魔神を酷使して常軌を逸した量の食事を用意させたコキンさんも、何ら咎められることはなかった。おなじバイキン星の出身だというのに、ばいきんまんさんだけがいつも「騙したなばいきんまん!」と非難されるのだ。

 つまりばいきんまんさんが食料を貰うことができない理由は「大食いだから」とか「菌だから」でなく「ばいきんまんだから」という一点なのだ。このような循環論法による区別は一般的に「差別」と呼ばれている。


 ここに至って、この構造が示すものが見えてきた。
 アンパンマン世界にばいきんまんさん以外の犯罪者が現れないのは、「差別が貧困を生み、貧困が犯罪を呼ぶ」という社会の仕組みを子どもたちにわかりやすく示すためだったのだ。アンパンマンはズートピアよりずっと前から、擬人化キャラクターによる社会風刺を行っていたのだ。なんたる含蓄に富む物語であろうか(明後日の方向を見つめながら)。
 
■2016-06-29
娘月報・六月
 トイレ訓練イベント「トレーニングパンツ」開催!!

 ■開催期間 2016年6月1日より
 ※限定アイテム「布製トレーニングパンツ」が実装されます
 ※イベント期間中は紙おむつの消費量が減少します
 ※期間限定ガチャ「頼むからゆるいのはやめて」も登場!

 ……2歳1ヶ月~2ヶ月の記録。

  • ついに「イヤイヤきブーンってきたー……なんだーイヤイヤきかー」と発言。来てしまったか……ていうか自己申告するものなのか……と思っていたら「おなかいっぱいイヤイヤき食べたーい」とか言い出した。イヤイ焼きとは。
  • イヤイヤ期の一環なのか、Eテレを見ながら「ないないばぁつまんない!アンパンマンみよ?」と生意気な発言。なおそのあとワンワンとうーたんを最後まで夢中で見届けた。見るんじゃねえか!
  • 普段EテレかHuluしか見ていないので、地上波のアンパンマンを見せるとCMのたびに「アンパンマンみよ?」「アンパンマンみようね?」と念を押してくるのでうるさい。すまんな、この地上波ってやつ15分ごとに全画面広告が入るんだ……飛ばすからおとなしく待っててくれ……
  • 悲しいとき「おーいおいおいおい」と言うんだが、こればいきんまんのせいですね?
  • 「ねえ、ジャムおじさん!アンパンマンを(迫真)!!……アッハイわかりました(棒)」何ごっこなのか。
  • 網戸をブチ破って手を伸ばし、ベランダのプランターの土で泥遊び。バジルの芽が半壊し、タタミの上まで土まみれにされた。「なんだこれわーーー!!」と怒ったら当人は他人事で「こぼしちゃったの?」とか聞いてきた。オマエやーーー!!
  • 公園で出会った同じくらいの月齢の子に対し、ワイフを指差して「おかあたやん。」と大紹介。
  • 「どんないろーが好き♪おうどいろ!!おうどいろーが好き♪」地味だ。地味すぎる。おうどいろのクレヨンがいちばん先になくなる子とは……「いちばんさーきになくなるよー きーろいクーレヨン♪」きいろじゃねえか!
  • 夕飯のとき「ちょうちょリボンいい?ちょうちょリボンいい?」って連呼するから何かと思ったら、「アサリの酒蒸しをとって欲しい」の意だった。アサリを現在の語彙で表現するとこうなるのか。
  • 気温が上がったせいか、寝かしつけのときの動きが激しい。半分寝ながら俺の肋骨の上に頭をのせてそのままグリグリと回転する「地獄のネジ回し」、俺の喉に向けて足を振り下ろしてくる「地獄の断頭台」など、完璧超人も顔負けの残虐ファイトが持ち味であり死にそう。
  • ビーズで作ってもらったネックレスとブレスレットがいたくお気に入りで、朝起きるとまっさきにそれを装着しにいく。おしゃれ意識が高いな。
  • どうも財布の中のカードが減っていると思ったら、カードをデスクトップパソコン本体のスキマに挿入しているところを目撃。なんてことしてくれるんや……本体を開けてみたところHDDの上にカードが3枚も落ちていた。あぶねえなコンチクショー!
  • 「みんな~~湿布くださ~~い」と謎の声掛け案件。何と何を合成してこうなった……
  • 「ごりらりらん!」と言いながら素早くドラミングするという謎の行為を習得。いったい何の影響なのか見当もつかないが、楽しげに披露してくるのでたぶん一発ギャグなんだろう……
  • しきりに「○○してごらん?」という形で行動を促してくるようになった。「おかあたやん、ごりらりらんしてごらん?」などだ。突然「ジャンプしてごらん?」って言われたけど何だったんだ。あそこでジャンプしていたら隠しアイテムでも出たのかな?
  • 「あ!あんなところにとけいが!!」「いつもの時計な」
  • 「あんなところにふみきりが!!」「いつもの踏切な」
  • 「これなーにー?」「チュニック」「ちゅーりっぷ」「違うそうじゃない、チュ・ニッ・ク」「ちゅーりっぷ」「違うs」「さーいーたー!さーいーたー!」「どうすればわかってくれるんだ……」
  • 不完全ながら20までのカウントアップができるようになった。しかしこれは呪文のように順序を覚えただけで、まだ数字をそれぞれ識別したり、個数と数字を結びつけたりは難しい様子。
  • ただの氷にドハマリし「こり、こり、こり食びてみるー?もっともーっとこり食びてみるー?」と大騒ぎ。ワイフ実家で氷ストッカーを開けると、氷で遊びたいネコチャンと氷を食べたい娘が両方寄ってきて最強に見える。
  • 水が欲しいときに「おみずはいい」と言う。まるで「ガルパンはいいぞ」としか言えなくなってしまったガルパンおじさんのようだ。文法的にややこしいので訂正していたら最近は「おみずがいい」と言えるようになった。
  • 公園から聞こえてくる男の子たちの遊ぶ声を聞いて「このこえは……!オニイチャン」と言っていたが知らない子だぞ。
  • 一人称という概念が芽生え、所有物を「アイチャンのまくら」などと言ったり、「アイチャンも自分でやってみる」などと歯ブラシを奪い取ったりするようになった。なお歯ブラシは噛んじゃうので自分ではできない模様。
  • 娘「おかあたやん、だっこするものよ」ワイフ「して当然のような物言い」娘「ぱぱだっこしろよ」ぼく「あれっ今ちょっと早口で聞こえなかったな?」
  • 網戸のロックが外れているスキに、網戸をあけてベランダのミニトマトを収穫してきた。今度は周囲に被害はなかったので賢さがある。洗って食べさせてあげたら「もっともっとマト食びる」と言ってきかない。「他のはまだ青いから待とうね」と言ったらジョウロをさして「おみずピューしようよ」「もっともっとおみずピューしようよ」との提案。どうぶつの森じゃねえんだぞ。

 自己申告のイヤイヤ期ではあったものの、「お風呂入る?」というと「はいんない」、お風呂で「お風呂出るか?」というと「でない」、と即答するので徐々にイヤイヤってきた感はある。何言ってるのかわからなかったので「ぜんぜんわっかんない」と言ったら「ぜんぜんわかってー?」と返された。イヤイヤ期に備えて否定・肯定の対応を確認しているようだ。今後が恐ろしい。