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◆不定期日記ログ◆

■2017-10-04
お前らも朝食に餅を喰えという話
 基本的に朝というのは行動ポイントが足りないのだ。
 この場合の行動ポイントとはAPやスタミナなどと表現しているゲームもある、そういう類のものだ。


 ゲームでは普通ぐっすり休めばAPは最大値まで回復するが、残念なことに現実のAPはゼロから始まる。おそらく意識をリブートするときに心がすべてのAPを使い切ってしまうのだろう。そのためまずはTwitterを開くなどしてポイントの回復を待たねばならない。

 そのうちスタミナゲージの最初のハートにようやく灯がともる。このハートひとつぶんをさっそく消費して生み出された貴重なAPをうまく使用して出勤しないといけない。整えるのに時間のかかる髪型はNGだ。歯磨きもマウスウォッシュで済ませたい。しかし最も難儀なのは食事である。

 独身のころは朝食をキャンセルすることでAPを節約していた。しかしあのころとは通勤方法も出勤時間も違う。何かを腹に入れておかなければカイシャまでたどり着けない可能性すらある。
 しかし米飯はだめだ。レンジに入れ解凍する、器に盛る、何かかける。これだけでもおそらくAPが枯渇する。そのうえ洗い物が発生して未来のAPまで削る。こんな危険な朝食は問題外だ。
 その点パンは器が要らないので多少はマシだが、ジャムの瓶を開けてスプーンをつっこむとやはり洗い物が発生する。これはジャムをやめてハチミツに変えたところ改善した。パンを取り出しチューブからハチミツを絞り出してトースターで焼くだけなのでだいぶAPの節約になる。ただ口の中パッサパサになるためついお茶などを淹れたくなり、そうなると洗い物が発生するという危険性が指摘できる。ここで茶の話をすると、訳知り顔で「朝つらいならお茶とかでカフェインを摂るといい」みたいなことを言う腰抜けがいるので困る。強力なカフェインか……生まれた時から浴びてたぜ、家庭の事情でね。俺にカフェインは効かない(渾身のドヤ顔で)。

 最終的に到達したのは、kome.zipであるところの餅だった。パンと同じくトースターで焼くだけで済み、器が要らない。醤油もきな粉も要らない。よく噛むことになるため米飯よりも効率よくkome.zipが展開され、でんぷんの甘味だけで食べられるからだ。なにより食卓につかずに食べられるのが良い。食べながらできることは限られているが、食卓に座ると心が枯渇寸前のAPを回復しようという体勢になってしまい大変な危険がある。スタミナゲージのハートは真っ暗なのだ。一度でも座れば、パンを食べながらスマホンをいじるなどしてポイントの回復をはかってしまう。こうなるとどんどん時間が喰われる。時間という血液が傷口から流れ出しそれは致死量に達しようというのに、それを止めるAPがないのだから絶望しかない。


 これが俺が餅にたどり着いた理由だ。朝がどれだけ極限状態なのか、そして餅というソリューションがどれだけ救いになっているか、お分かりいただけると思う。最近はまた気温が下がってきたため出勤にネクタイと上着が必要になり、こうなるとさらにAP消費が上がる。なによりまず布団から出るための消耗が跳ねあがり、ますます出勤をとりまく状況は厳しくなる一方である。「男の仕事の八割は決断だ」という言葉もあるし、この決断的起床~出勤の流れだけで給与の80%が発生してほしい。あとはおまけみたいなもんだ。

 なお完全に枯渇したスタミナゲージは、通勤電車内や仕事中の単純作業の時間に回復し、最終的には夜にこういった文章などに費やされるが、大抵の場合消費しきることなく布団に消える。なぜなら明日の朝も早いからだ。しかもゴミの日だ。人生はゲームのように上手く作られていない。