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◆不定期日記ログ◆

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■2008-09-17
居酒屋っぽい
 PDFの普及にしたがって、徐々に年配の方への知名度も上がってきたことだし、
 Adobeの日本法人はいっそ「株式会社あどべえ」とかに改名してはどうか。
 素直にアドビと読むおっさんに会ったことがない。
 
■2008-09-10
ソラミミモード
 映画『セックス・アンド・ザ・シティ』は、タイトルが恥ずかしいのでチケット売り場で買いにくい、という意見が、清純派の人から寄せられた。

 卑猥にすぎる。日本はどうなってしまうのか。
 かつて日清の人は「カップヌードル」を売り出すときに、「ぬぬぬヌード!?破廉恥である!」という懸念をして「ド」を控えめにデザインしたロゴで売り出した。その清純な心はいまなおロゴに現れている。
 そんな世の中である。このようなタイトルで映画を公開すれば、大和撫子たちがチケット売り場で頬を染めてうつむいてしまうではないか!けしからん!もっとやれ

 とはいえ、複数の国や地域で同時に封切りされることも多い昨今の映画事情を考えると、日本らしい気の利いた邦題をつけろと要求するのも酷だろう。
 なにか、この状況を打破するアイデアはないのか!?

 英語の「sex」と日本語の「セックス」には意味に差がある。
 映画の内容からして今回の場合は差はなさそうだが、字面は重要だ。

 ここで提唱したいのがソラミミである。
 この場合のソラミミとは幻聴などのことではなく、外国語を強引に日本語五十音とみなす(ききなす)ことだ。

 現代の日本人にはソラミミが足りない。
 先祖代々受け継がれてきたソラミミックパワーを、今こそ引き出すときだ!
 南蛮人の「Ingles」を「えげれす」と聞き取った祖先を思い出せ!
 「American」を「メリケン」と表記した人々のことを思い出せ!
 裁縫マシンの「Machine」の部分だけで「ミシン」と判断した大和魂を思い出せ!
 ヘップバーンさんが作ったローマ字表記を「ヘボン式」と定めた人々の力を思い出せ!

 つまり、押井守監督の『スカイ・クロラ』と同時期でもあることだし、
 邦題は『セクサ・ナシリ』にすれば万事OK!!


 バイリンガルの人からの異論は認める。
 
■2008-08-06
バキューム
 三度の飯より○○が好き、という言葉があるが、この飽食の時代、一日の中で食事の時間が一番幸せ、という生き方はむしろ少数派ではないのか。

 上の言葉は、決して夏バテで食欲がない自分を正当化するものではない。
 
■2008-08-04
漢字わるい2
 検討が続けられていた新常用漢字表だが、先月末に188字の追加で固まったらしい。
 中には「妖」「艶」「淫」「濡」「覗」などエロティックな漢字の追加も検討されていてドキドキしたが、最終的に「濡」と「覗」のフェティッシュな二字は追加を見送られたようだ。

 常用というからには、中学校までに少なくとも読みまでは習うわけだ。
 つまりこれからの漢字テストでは「艶やか」が「あでやか」なのか「つややか」なのかを判断する力が求められる。
 ゆとり教育から一変して超ハードモードだ。

 新たに追加される文字の中に「嗅」があった。
 これも心配になる。

 「臭」という漢字は、もともと「自+犬」だったそうだ。
 だが旧字体の中から標準の字体を決めるときに「犬」の部分は「大」に統一された。
 こういう無茶な変更が、常用漢字と非常用漢字の間に無駄な軋轢を生んでいることは、以前の日記で触れた通りだ。

 「臭」の犬を大に変えたとき、「嗅」の犬も大に変わるべきだったのだろう。
 しかし「嗅」は常用漢字でなかったので放置された。
 だが今!「嗅」が常用漢字の世界にやってくるのだ!
 我々日本人に、放置プレイの代償を支払わせるために!

 過去の過ちを悔い改めるときが来たのか、それとも写植屋さん(フォント作者)の無駄な仕事が増えるのか…
 おそらくどちらでもなく、なあなあで済まされるのだろう!
 ごめんな、嗅!
 
■2008-07-31
バタフライカウンター
 非常に困ったことに、蝶は「一頭、二頭」と数えるのが正式らしい。

 なぜそうなのかは諸説あって、どれも納得がいかない。
 一番有力なのは、欧米では虫は基本的にheadで数えるという慣わしがあって、明治時代にそれがコレクターや学者の間に広まった説。
 もしくは、コレクターの間では、蝶の標本はアタマが取れてると価値がないので、headを重視するという説。
 いろいろあるがどうもしっくりこない。

 なので「猪も鹿も頭で数えるのだから蝶も頭で数えるべき」という「猪鹿蝶説」を支持することにした。
 俺がさっき編み出したばかりの新説である。
 ぜひ広めて欲しい。
 
■2008-07-14
青い鳥妄想群
 メーテルリンクの「青い鳥」の主人公といえば、チルチルとミチルの兄妹だ。
 チルチルはまあ児童文学的なネーミングで良いと思うが、
 ミチルという名前はあまりにも和風すぎないか。
 メーテルリンクは日本びいきのベルギー人だったのか?

 一つの仮説を立てた。
 「青い鳥」の原作はフランス語で書かれているらしい。
 実はミチルはミシェル(Michel)で、これを訳した日本人が「み…ミ、チル?」と発音してしまいそれが採用されてしまったのではないか?
 
 「じゃあチルチルの方は何だったんですかね」
 「えっと…チャーチル(Churchill)とか?」

 ここでまさかのイギリス人かよ。


 まじめに調べてみると、原作ではTyltylとMyltylになっている。
 ミルティルという語感は日本人にはなじまないだろうということで、訳者の堀口大学が変えたのだろう。
 我ながらいい仮説だと思ったのだが残念だ。
 
■2008-06-30
合体名称
 戦闘機で有名なロシアのミグ(MiG)。

 なんか可愛いその名前は、ミコヤーン(A・I・Mikoyan)氏とグレーヴィチ(M・I・Gurevich)氏によって開発されたので、二人の名前を合体してつけられたらしい。
 しかしグレーヴィチ氏のイニシャルだけでMIGの文字を完全にカバーしている。

 この絶妙な不公平感…
 ゴテンクスになったときのトランクスの気持ち、あるいはHALCALIのユカリの気持ちを、ミコヤーン氏はわかっている。
 
■2008-06-09
あいうえおの歌

あめんぼ あかいな あいうえお
うきもに こえびも およいでる
かきのき くりのき かきくけこ
きつつき こつこつ かれけやき

「あいうえおの歌」北原白秋

 活舌練習として有名なこれは、北原白秋が作った詩である。
 半世紀以上にもわたって「アメンボは赤くねぇ!!」というツッコミを一身に受け、それを華麗にスルーし続けているのが凄い。

 なぜアメンボが赤いのか?
 この日記でそれをちょっと考えてみようと思う。
 先に言っておくが、今回は答えは出ない。仮説を検証するための資料は簡単には手に入らないだろう。検索でたどり着いたひとはあらかじめガッカリするといいだろう。

 さて、アメンボは「飴ん坊」から来ているらしい。すなわち白秋は「アメンボ甘いな」と書くつもりだったのが間違えて、それが評価されてしまったので引っ込みがつかなくなったのではないか?
 …などと考えたが、たぶんそんなテキトーなことではないだろう。
 そもそもアメンボが甘いとは思えねぇ。

 国語の先生に聞いてみたら、「赤くないアメンボを赤いと表現することこそが詩の本質」と、いまいちしっくりこないお答えを頂いた。
 だが、白秋のフィルタを通してみたら赤く見えた、というのはたしかに本質だろう。
 ではなぜ赤く見えたのか?

【仮説1】
 夕焼けだったから(アメンボ以外も赤かった説)

【仮説2】
 2匹が「この手を離すもんか」的な情熱を見せていたから(真赤な誓い説)

【仮説3】
 アメンボの隊列から軍靴の音が聞こえてきたから(プロ市民説)


 大正時代に【仮説3】だったらスゲーなぁ……
 
■2008-06-04
かき氷
「かき氷を食べたときに頭がキーンってなるのは、冷たさを感じる神経と、痛みを感じる神経が近くにあって、混線するからなんだって」

「じゃあ魚の骨とかをガバーッって飲み込んで、それが喉にささったとき、間違えて『冷たぁーい』ってなったりするんですかね」

「ならないと思うけど、想像したら背筋が凍った」

「冷たくなっとる!」
 
■2008-05-27
重複表現祭り
【問題】
 次の文章を読んで、重複表現だと思うものがいくつ含まれているか答えなさい。
 みぞれ交じりの雨が降る中、私は北へ向かって沿岸ぞいに北上を続けていた。車窓の壮観な眺めに、故郷のリアス式海岸が思い出される。
 電車を降車すると、駅前広場には雪が積もっており、市場へ向かって轍の跡がいくつも付いていた。

 古来よりこのあたりは、たびたび大雪の被害を被ることがあり、一番最近では、一週間のあいだ雪に閉ざされたというニュースが注目を集めた。

 市場では初売りセールが行われており、子どもたちが騒々しく騒いでいる。
 こんなに寒いのは、PKO活動でモンブラン山のふもとの町に派遣されたとき以来だ。
 私はレストランに入ると、まず最初にコーンポタージュスープを買い、暖をとった。マンネリ化しているものの、私のマイブームでもあるし、今の現状から判断して一番ベストな選択肢に思えたからだ。客席は飽和状態で、店は繁盛しているようだった。

 仕事は秘密裏のうちに終わらせなければならない。
 私は酒の肴にエンドウ豆を注文すると、静かに銃の安全装置を外した。
 あらかじめ予定していた通り、ここからターゲットの男を狙う。

 銃の製造メーカーによると、この銃の射程距離は約50mくらいだそうだ。
 いまだ未熟な腕だが、危機感を感じることはなかった。本部でも「方法は私に全て一任する」という意見が過半数を超えたらしい。

 引き金を引くと、ターゲットは突然卒倒して倒れた。市場での思いがけないハプニングに、わきで傍観していたキリスト教の牧師が駆け寄り、とりあえず応急処置をしたようだが、あの傷では助かるまい。
 報酬はシティバンク銀行の口座に振り込まれているはずだ。
 雪の上に血痕の跡が残っていた。

【解答】
【みぞれ】雨と雪がまじって降る現象。
【沿岸】海や川などに沿った部分。
【北上】北へ向かうこと。
【壮観】すばらしい眺め。
【リアス海岸】リア式の海岸。「リアス海岸」と「リアス式海岸」は別という説もあり。
【降車】乗り物から降りること。馬から落馬の亜種。
【轍】車輪の跡。
【古来】いにしえより。
【被害】害をこうむること。
【最近】もっとも近いこと。
【一週間】「7日間の間」と言い換えると変だがどうなんだ?
【注目】注目を浴びる?視線を集める?さすがに許してくれ。
【初売りセール】売りセール。犬ドッグ。
【騒々しい】 物音や人声が騒がしいさま。
【PKO】平和維持活動。
【モンブラン山】マウント・フジサン。トネガワ・リバー。
【まず】はじめに。最初に。
【ポタージュ】濃い不透明のスープ。つまりコンソメスープも重複か?
【マイブーム】それが私のmy graduation...
【現状】今の状態。
【ベスト】いちばん良いもの。
【飽和】それ以上受け入れることのできない限界の状態。別に状態を強調したければ良いのでは。
【秘密裏】物事が秘密のうちに行われること。
【肴】酒を飲むときに添えて食べる物。口頭ではやむなしだろう。
【エンドウ豆】豌豆の豆。もうそういう植物名なんだから仕方ないだろ!
【予定】予め定めておくこと。
【メーカー】製造者。
【射程】弾丸が届く距離。でもジョジョが射程距離って言ってるから俺はそれに従うよ。
【約50m】50mくらい。
【未熟】経験がいまだ十分でないこと。
【危機感】「危機感をいだく」などにすれば重複感は減るか?
【一任】決定の全てを任せること。
【過半数】半数を超えること。
【引き金】さすがに「歌を歌う」レベルの言いがかりでは。
【卒倒】突然意識を失って倒れること。
【ハプニング】思いがけない出来事。
【傍観】手を出さずにわきで見ていること。
【牧師】キリスト教プロテスタントの聖職者。
【応急処置】とりあえず施す手当て。
【シティバンク銀行】損保ジャパン日本興亜。
【血痕】血の跡。
 とらえかたによってはまだあるかも?

【解説】
 この問題で、あなたの日本語に対するケツの穴の広さがわかります。
 5個以下…その柔軟な姿勢で新鋭小説家になってください。
 40個以上…あなたの肛門は狭すぎます。なんだかんだいってゆとりは必要です。
 
■2008-05-19
県名漢字
 前の日記で、常用漢字表の改訂について触れた。

 今回の改訂で、いままで常用漢字に含まれていなかった、大阪の「阪」や、岐阜の「阜」などが盛り込まれることになった。
 つまり、中学校までに習うことのなかった「県名のための漢字」を一気に追加した形になる。
 いままで固有名詞は「人名用漢字」などとして踏み込まなかったが、実際これらの漢字の中には、山梨の「梨」とか、鹿児島の「鹿」とか、県名以外でお世話になるものも多いので妥当な変更といえよう。

 話は変わるが、どうも僕は県名を書くのが苦手だ。
 「茨城」「栃木」と混同して「茨木」と書いたあと頭をひねる。
 「埼玉」は県庁所在地のせいで漢字で書くのが馬鹿馬鹿しい。
 「愛媛」にいたっては字面が「愛知」に似すぎていて、読むほうすら一瞬間違える。
 さらに「愛」がなんとか出てきたとしても「媛」が書けない二重の罠だ。
 あと常用だけど「神奈川」の「か」も出てこない。 
 ついでに「鳥取」は読みを意識すると「取鳥」と書きたくなる。

 きっと常用化でこのような混乱をする人も少なくなっていくのだろう。
 喜ばしいことだ。

 あと、静岡の「岡」や、奈良の「奈」などをさしおいて、密かにすでに常用漢字に入っている新潟の「潟」からは底知れぬ政治力を感じる。
 
■2008-05-15
常用漢字表
 前の日記で、常用漢字でない字の交ぜ書きについて触れた。

 火曜日の新聞が言うには(英語的表現)、その常用漢字表がそろそろ更新されるそうだ。
 なにしろこの激動の時代に、僕が生まれたころから更新されずにほったらかしにされていた遺物だ。さまざまな歪みを内包しており、改訂のしがいもあるだろう。

 そんな中、新たに追加される見込みの字の中に「羞」の字があった。

 マスコミが「『羞恥心』を読めない大人がいる」ということを広め、それを委員会が迅速に吸い上げる。
 このフットワーク…この国の政治もまだまだ捨てたもんじゃないな!
 
■2008-05-08
草なぎ
 いまになって、いくつかのメディアで、
 SMAPの草彅剛のことを「草なぎ剛」と表記していることに気がついた。
 いわゆる交ぜ書きだ。
 このワープロ社会においても、いまだに交ぜ書きの慣習は根強く残っている。

 街中で「処方せん」と書かれたノボリを見るたびに、
 「ストレイツォ容赦せん!」と叫びたくなるのは僕だけではあるまい。

 ニュースで「覚せい剤」の見出しが出るたびに、
 曹操の声で「覚悟せい!」と再生されるのは僕だけではあるまい。

 銀行が「経営破たん」を危惧されるたびに、
 新たなる萌えキャラの誕生を予感するのは僕だけではあるまい。

 ヨーグルトのラベルに書いてある「はっ酵乳」の文字から、
 乳酸菌の気合をひしひし感じるのは僕だけではあるまい。

 ほかにも「市史編さん」とか「推せん図書」とか似たような状況は多々あり、
 それらの交ぜ書きが今日も僕の想像力を刺激している。

 漢字で表記することによって、単語間にスペースを入れなくても読みやすい、というのは日本語のナイスな点であると思うので、交ぜ書きは徐々に本来の漢字に戻っていくといいなと思っている。
 どっかの国のせいで「ら致」が頻出するようになってから、「拉致」という表記が目立つようになったことだし。


 で、冒頭の草なぎ剛の件ですが、
 半端に漢字にするくらいなら本人が「くさなぎ剛」に改名してしまえばいいのではないかと思った。
 しかしあまり「剛」を主張すると、堂本兄弟の光一君でない方が涙目になってしまうので難しいかもしれない。
 いっそカタカナで「クサナギ」にしてしまうのはどうか。
 山下智久が主演しそうだから駄目か。
 
■2008-04-30
ヒスパニック
 ヒスパニックか……
 いままでたいして気にしなかったが、怒らせたらすごい怖そうな人種だ。

 「貴様は甚だしい勘違いをしている!
  ヒステリーはドイツ語でパニックは英語だ!!」
 
■2008-02-25
漢字プリント
 電車のなかで、明らかにモンゴロイドでない人を見た。
 別にフォリナーな人を見るのは珍しいことではない。
 その金髪のお姉ちゃんがとくに目をひいたのは、でっかく英字がプリントされたカバンを持っていたからなのだ。

 一瞬なのでなんて書いてあったかまでは見えなかったが、日本人でいえば、サンフランシスコの街を「台所」とか「幸福」とか妙な漢字プリントTシャツを着て歩いている気分なのだろうか。
 
■2008-01-18
ピンとこない
 理由はわからないが「ピンとくる」という言い方がピンとこない。
 慣用句として辞書にも載っているので誤用ではないはずだが、否定的に「ピンとこない」で使うことが多かったので、妙な違和感を覚える。
 最近「腑に落ちる」という言葉を聞いたが、これはもっと腑に落ちない。

 このままのスピードで世界がまわったら、そのうち「『気にくう』という言い方が気にくわない」みたいな日記を書く日が来る。