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◆不定期日記ログ◆

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■2010-06-23
かかあ転嫁
 微妙に「嫁」という言い方に抵抗感がある。

 「○○は俺の嫁」というのはキャラに対する愛情表現だが、そのイメージが強くなりすぎて実生活で使うことに抵抗が生まれたのかもしれない。
 また、「嫁」という言葉には「○○家の嫁」というようなニュアンスが感じられ、この核家族時代にはややそぐわないような気もする。
 そもそも「嫁」は、親などが子どもの配偶者のことをさして使うものであり、当事者自身が使うものではない、というような印象もある。

 「奥さん」は完全に当事者ではなく他人の配偶者について使うものだ。
 関係ないけど微妙に苗字っぽくて困惑する。

 では「妻」か?
 これについては「父」「祖母」のように公式な場で使うものであり、日常会話の中で使うのには抵抗感がある。

 「カミさん」は使えそうだが、これを使用するにはもう一息、人生経験が足りないような気がする。
 刑事コロンボばりのシブさを身につけてこそ効果的に使用できるであろう。

 「家内」「女房」などはもう、字面からして時代遅れすぎる。
 「愚妻」のようなへりくだり文化も、徐々にすたれつつある。
 時代に即した呼び方を考えていくべきではないだろうか。


 女たちは美しいボディラインを目指し、夢を追いつづける。
 世はまさに……ダイエット時代。(ONEPIECE風に)

 こんな時代だからこそ「細君」を復活させようじゃないか。
 この場合の「細」は謙譲表現ではなく褒め言葉だ。
 もうそういう時代がやってきたのだ。

 夏目漱石クラスの文豪でないと使えない気もするが、そのへんはもう一周回って大丈夫だろう。気にせず「細君」という呼び方を推奨したい。
 
■2010-05-25
かもしびと
 さまようよろい、メタルスライム、ベビーサタン、くさったしたい。
 がいこつけんし、アニマルゾンビ、ミイラおとこ、くさったしたい。

 「くさったしたい」というネーミングは、ひどすぎないか?

 あまりにもそのまますぎるじゃないか。
 「さまようよろい」なんかもそのままだが、これは鎧が彷徨ってる部分にすでに驚きがあるから納得できる。
 「うごくせきぞう」も、石像が動くからすごいのだ。
 そこにきて「くさったしたい」はどうだ。普通なら「動いている」「生きている」ことに驚くはずではないか。なのに「腐る」という死体にとってどうにもできない部分を抽出したこのネーミング。もはやコレ悪口だろ。

 いくら魔物とはいえ、元は誰かの遺体だぞ。
 もうちょっとこう、敬意というか、畏敬の念を払えよ。
 妻がいたかもしれぬ、子がいたかもしれぬスミスさんに対して「くさったしたい」呼ばわりは酷いだろ。
 死人にムチ打つような真似はよすんだ!グリンガム的な意味で!


 ただドラゴンクエストモンスターズシリーズの交配システムなんかを見ると、くさったしたいは誰かの屍ではなく「そういう魔物」として扱われているようだ。
 それはそれで、「犬の睾丸に似てるからイヌノフグリと名付けよう」みたいなデリカシーの無さを感じる。
 腐ってるのが常体で有益なら、それは「腐敗」ではなく「はっ酵」と呼ぶべきだ。
 はっ酵した死人……

 よろしい。ではいまから「くさったしたい」は「醸死人かもしびと」じゃ!
 さあ、ゆくがよい。
 
■2010-02-25
しまっていこうぜ
 野球部が謎の言葉を使う。
 「ばっちこーい!」とか、もう元の言葉がほとんど復元できない。
 「バ(ッターよ、俺は捕球できる自信があるからこ)っち(に打って)こい」だそうだ。
 そういえばノック役がヘタなとき「ばっちこねーぞー!」と言っていた。

 「しまっていこう!」は、解読はできるものの、意味がわからない。
 「気を引き締める」というなら「しめていこう!」になるはずだ。
 「シメてやろう!」だと別の意味で攻撃的になると思う。
 なぜゆえ微妙に受け身の姿勢なのか。

 想像するしかない!
 「しまっていこう!」が使われるシーンを、頭の中で組み立てるしかない!


 野球場の前の広場、超高校級エースとその相棒のキャッチャー、
 決勝戦開始の朝、広場にひびくキャッチボールの音……

「肩は大丈夫そうだな」
「ああ、もう心配ない」

 キャッチボールが続いている。

「これが終わったら、俺たち、もう引退なんだな」
「もう3年もたつんだな……」
「悔いのない試合にしようぜ」
「もちろん」

 キャッチボールは徐々に熱を帯び始める。

「ちょっと全力で投げてみていいか」
「わかった、まってろ」

 キャッチャーがしゃがんでミットを構える。
 ひときわ大きな捕球音が広場に響く。

「いい球だ」
「おい、ちょっと待て」
「どうした」
「お前、チャックあいてる」
「いつもあけてんだよ」
「あけんなよ」
「セックスアピールだよ、マネージャーへの」
「お前、最後くらいそういうのやめろよ、セクハラだぞ」
「最後だからこそ、徹底的にアピールだろ」
「おい、ていうかお前、出てるぞ」
「出してんだよ」
「完全にアウトだろそれ、テレビ来るんだぞ、今日の試合」
「男を見せるチャンスだぜ」
「見せんなよ、しまえよ」
「えっ」
「男は試合内容で見せればいいだろ」
「試合で……」
「最後くらいは、それ、しまって行こうぜ」
「そうだな……しまって行こう」
 
■2010-02-21
陸上競技
 中学校のとき、陸上部だった。
 だが、中学1年の英語の授業で、いきなり違和感を抱くことになった。

 野球:Baseball
 サッカー:Soccer
 陸上:Track and field athletics

 そう、陸上部だけ自分の所属部をマトモに書けなかったのだ。
 これは最初の英語の定期テストにおいて非常に不利であった。

 そもそも「陸上競技」って名前は何なんだ!
 「水泳」以外のほとんどのスポーツは陸の上だろ!
 なんでお前が総称しちゃってんだよ!
 1500m走と幅跳びが同じ部活なのも変だろ!


 気になって調べてみたが、答えはつかめなかった。
 ただし、やはり、というか、多くのスポーツがそうであるように、陸上競技は、兵士の軍事訓練として広く行われていたようだ。

 となると、「陸上競技」に対するのは、水泳ではなく「馬上競技」だったのか?
 歩兵の訓練とに対して、騎兵の訓練。ありそうな話ではある。
 兵器の発達で、馬術はもう軍事訓練ではなくなってしまった。
 いまや軍事は陸・海・空の3種である。

 おや、そういえば、2年に1度行われているじゃあないか。
 「世界陸上」も、「世界水泳」も。
 なんということだ!
 これはもう「世界航空」が開かれるのも時間の問題だ!
 いよいよアフガン航空相撲の世界選手権が見られるのか!


 そして宇宙世紀0079年……ついに人類は「宇宙競技」を生み出すことになるのだ。
 主にニュータイプ的な能力が問われる競技が行われるのだろう。
 スポーツの発展には無限の可能性があるな!
 
■2010-02-20
カタカナ既得利権
 本来、一般的な言葉だったはずなのに、日本に輸入されてカタカナ語になると意味の限定がされてしまう言葉がある。
 カタカナ語の浸透する経路を考えれば、まあ起こりうる事態ではあると思う。



 たとえば「アドレス」と言えば、もう我々はe-mailアドレスかURLのことだと理解する。
 「メール」と聞いても郵便を思い浮かべる人は少ないだろう。
 「ムービー」は主にデジタル機器で撮る動画のことを指し、
 「ヘルパー」といえば訪問介護員のことを指す。
 不思議な刷り込みだ。

 よく考えてみると、「デート」「セックス」「プロポーズ」なんて、意味がアレな方向に限定されてすぎている。
 とくにセックスはダメだろ、すげー不便するじゃないか、ピストルズとかが。
 デートも「あのコとイチャイチャする日付」だけに限定するなんて、どんだけリア充なんだお前ら、全員爆発しろ!

 フランス語もひどい。
 アベック(avec)は英語のwithに相当するだけの単語だったハズだ。
 ランデブー(rendez-vous:会う約束)も男女か宇宙船くらいしか使わない。
 アバンチュール(aventure:アドベンチャー)だって火遊び扱いだ。
 フランス語……いやらしいな!



 ここに「ポット」という言葉がある。
 壺、瓶、鉢などを指す言葉だ。
 しかし、園芸分野を除き、これは長らく「電気ポット」が権利を独占してきた。
 英語のpotにはそもそもそんな意味はないというのに、である。

 だが、そんな既得利権を果敢にも切り崩す勇者がいる。
 「消臭ポット」である。
 少なくとも我々は、この商品をみたとき、電気ポットを思い出したりしなかった。
 電気ポットの牙城に一撃を加えた商品だと言えるだろう。
 消臭ポットにはぜひ頑張っていただきたい。

 そのうち、核家族化が進んで電気ポットが電気ケトルに駆逐され、こんどはケトルという言葉が電気魔法瓶を総称する……そんな日がくるかもしれない。
 
■2010-02-08
テンパリング
 昨日ラジオできいて初めて知ったんだけど、チョコレートを溶かしてカカオバターの成分を安定させる作業のことを「テンパリング」と言うらしい。

 テンパりんぐ……
 あまりにも余裕がなく聞こえる。
 検索するとたくさんネタがひっかかるので、みんな同じように思ったんだろう。
 この作業は、その名の通りわりとテンパっちゃうものらしく、
 こうなってくると「テンパる」と「テンパリング」はもう偶然の一致とは思えない。


 考えてみると、「テンパる」は「聴牌テンパイした」、つまりあと一歩で麻雀の役が完成するという状態だ。
 つまり「フフン、俺の手は高いぜ、振り込め愚民ども」という状態であってしかるべきだが、実際の用法は「まだ慌てるようなあわわあわわわ……」である。
 少なくとも俺はテンパイしたときにそうなるので仕方がない。
 日本人は基本的に麻雀初心者なのだろうか。

 ひょっとして、「煮詰まる」も同じことなのではなかろうか。
 これも本来、煮詰めるという料理の工程がまさに済み、完成間近だという状態だ。
 しかし実際は、会議などが袋小路に入り込んでこれ以上やってもダメだ、というときに誤用されている。
 煮込み料理で最後にふたをあけて絶望する、そんな光景が浮かんでくる。
 日本人は基本的に料理が得意ではないのだろうか。


 基本的に料理が得意でない日本人なら、テンパリングの際にあわあわしてしまうのは当然だ。
 あまりにあわあわする人が多いため、その状態を「テンパる」と言い始めた……
 という新説を今編み出したが、普及しないだろう。
 
■2010-01-30
カタカナ表記のジレンマ
 「Twitter」のカタカナ表記は「ツイッター」「トゥイッター」か?
 これはもうほぼ前者で統一されており、公式もそうしている。
 以前、一部マスコミで「トゥ」の表記が使われ、にわかに議論が巻き起こった。

 発音記号からアプローチしてみる。
 調べると「Twitter」の「twi」の発音は、「twin」「twist」のそれと同じとされている。
 「ツイン」「ツイスト」という表記が浸透している以上、「ツイッター」という表記は妥当といえよう。

 これだけなら問題はない。
 だが、同じルールを適用していくと、「twinkle」が「ツインクル」になる。
 認めたくないが仕方ない。
 正しいかどうかより、統一されているかどうかのほうが編集者にとっては重要だ。
 「ツイッター」の優位性を立証するために、大きな代償を払うハメになった。

 同じアプローチをしてみると、
 YouTubeの「Tube」もiTunesの「Tune」も、「チューリップ」の「チュ」なので、
 「ユートゥーブ」「アイトゥーン」という表記にはならないことがわかる。
 発音記号で判断する方法は、お手軽でそれなりに説得力があって良い。


 さて、うっかり「desktop」を「ディスクトップ」と言ってしまう人を高齢者を中心に見かけることがある。
 発音記号を見るまでもなく、「デスク(desk)」の「デ」なので、誤りである。
 しかしこの問題、そう単純ではなさそうだ。

 「desk」とは違う発音になるが、「デジタル(digital)」の「デ」が諸悪の根源ではないかと思う。
 この「デ」、一見「ディ」でよさそうだが、発音記号が同じ単語をほかに調べると、「デリシャス」「デリバリー」「デメリット」などそうそうたるメンバーが並ぶ。
 完全に「デ」の勢力下に入っているように思われた。

 だが、あきらめずに同じ発音の単語を探していくと、
 「ディナー」「ディスペンサー」の「ディ」がひっかかってきた。
 「デジタル」に倣うなら、「デナー」「デスペンサー」になるところだ。
 さらに「ウォルト・ディズニー」の「ディ」までもが同じ発音だった。
 つまり「デズニーランド」を駆逐すると「デリシャス」「デリバリー」などを巻き添えにしてしまう。これはかなりのディメリットだ。←駆逐

 したがって「デ」と「ディ」の統一をはかるのは難しく、まったく関係ない「デスクトップ」がそのあおりを受けてしまう事態は、簡単には改善されないと言える。
 このジレンマはしばらく続くだろう。


 余談だが、この「ジレンマ(dilemma)」がちょっと不思議だ。
 これも「digital」と同じ発音の「デ」だが、「デレンマ」でなく「ジレンマ」になっている。
 これの語源は「ふたつの仮定や前提(di-lemma)」らしい。
 ラテン語の2(ジクロロベンゼンの「ジ」)を示すときは「ジ」になったのだろうか?
 さらなる表記の揺れを見つけてしまった。
 
■2010-01-13
カリグラフィのアリエッティ
「シャドウ」「書道」と聞き間違えると日本のスピリッツが目覚める。

・書道ボクシング
 →1ラウンドごと、書道と拳闘を繰り返して勝負する知的格闘技。

・アイ書道
 →Appleから発売されたスタイリッシュな書道用具。

・書道オブヴァンパイア
 →美女の生き血を報酬に字を書きまくる吸血書道家の物語。

・書道ゲイト
 →ざんねん!わたしのぼくじゅうはここでおわってしまった!

・書道ムーン
 →来い、ブラックサン!一筆奏上!

・SHODO SKILL ―筆技―
 →見開きの四隅に描かれる文字が荒々しい筆文字になる。

・中央自動書道
 →東京から愛知まで、360km以上にわたって勝手に文字が書かれる。
 
■2009-12-18
上着物語
 「チョッキ」が死語になりつつある現在、もう「防弾チョッキ」は消滅するのでは?
 google先生ではまだ「防弾チョッキ」が優勢だが、僕の中では完全に「防弾ベスト」だ。
 たぶんこれはサガフロンティアのせいだろう。

 そもそもチョッキとは何なのか。
 広辞苑で調べたら「jack」という驚くべき綴りが記されていた。
 これをチョッキと発音するのは、いったい何語だ!?
 検索を続けると、ポルトガルかオランダあたりが有力らしいが納得いかない。

 しかしチョッキがjackだとすると、ジャケットと同語源である可能性が出てきた。
 ドイツ語ならヤッケとも読めそうだ。
 いまどきヤッケなんて登山者しか使わないが、いわゆるウィンドブレーカー。
 ウィンドブレーカーとジャケットとチョッキが全て同じものだなんて認めたくない。


 話は完全にずれるが、このヤッケという奴、なかなかくせ者のようだ。
 広辞苑によると「ウィンドヤッケ(Windjacke)の略。防風用の上着。」と書かれていた。

 「ウィンド」のほうが肝心なのにそっちを略しちゃったよ!
 ただの上着かよ!
 あと貴様は甚だしい勘違いをしている!
 「ウィンド」は英語読みで「ヤッケ」はドイツ読みだ!

 「ヴィントヤッケ」で検索すると急にミリタリーになるあたり、さすがだと思った。
 
■2009-12-07
知っているのか伊達
 「臣」の書き順が違うと指摘された。
臣の書き順
書き順の正誤
 これはおかしい。
 俺の書き順が間違ってるとしたら、そっちのほうがおかしい。

 人は誰でも「臣」を書くとき「あれ?『巨』じゃなかったっけ?」と疑う。
 「巨人」と書こうとして「臣人」と書いてしまい、「覇極流千峰塵!!」とか言いながら修正液を浪費するのが人の常である。
 「巨」は「臣」に直せるが、「臣」は「巨」にはできないことを考えると、俺の書き順は心理的に正しいものであり、これは書き順が実態と乖離している例だと言えよう。

 書き順を守る利点は、字形を整えることにある。
 だが「臣」の場合は疑いながら慎重に書くため、書き順を違えても字形にはたいして影響がない。
 これをさらさらっと書く者は、勢い余って「昼休み」を「昼体み」にしてしまう小学生のごとく、臣人の刑に処せられるのである。
 なので、俺は間違っていない。
 
■2009-11-21
チャイニーズ食生活
 現代中国語では、「機」は「机」と略す。
 中国でドラえもんが「机器猫」と表記されているのは、べつに机の引き出しから出てきたからではなく、機械の猫だから、という理由に過ぎない。
 「机場」といえばエアポートのことである。

 「飛行機と机以外何でも食べる」と評される中華料理の世界だが、
 評した人もまさか机=飛行機であるとは思い至らなかったであろう。
 
■2009-11-14
バリアフリー
 何度「多機能トイレ」だと言っても、
 すぐ「滝のおトイレ」だと思われてしまうので、
 日本語はクレイジーだと思った。
 
■2009-10-27
寝耳に蚯蚓
 ミミズは、漢字で書くと「蚯蚓」。

 カッコでくくって「虫」を外に出すと、虫(丘引)。
 ん?……おかひき?
 ミミズと岡っ引きに何か関係があるのか?

 いったいどんな関係だというのか。
 岡っ引きに捕らえられた悪人を拷問するときに、ミミズを使用したのか?

 「これぞ北町奉行名物・ミミズ風呂!!
  さあ、黒幕の名を吐け!
  吐かねば全身の穴という穴からミミズが入って行くぞ!」

 これくらいの恐ろしさなら、ミミズという漢字のなかに岡っ引きが入り込んでも仕方ないかな、と思う。

 真面目に漢字辞典で調べたところ、
 蚯は「からだがねじれる」、蚓は「ずるずるひっぱる」の意味があるらしい。
 なるほど、ミミズだ。

 ん?……ねじってひっぱる?
 あれ、やっぱ拷問か?
 
■2009-10-05
キーボードの謎
 なんでキーボードは「キー」って言うんだぜ?
 ↓
 直訳で「キーボード」=「鍵盤」だと思うぜ?
 ↓
 じゃあなんで「鍵盤」は「鍵」がつくんだぜ?
 │
 ├ ピアノの鍵盤には鍵がかかるんだぜ?
 │└ あの鍵はなんの意味があるんだぜ?
 │  ├ ベートーベンが夜中に弾かないようにに決まってるぜ?
 │  └ 泥棒に白鍵を盗まれて麻雀牌の材料にされちゃうんだぜ?
 │
 └ 音程のことをキーって言うから「音程盤」なのかもだぜ?
   └ じゃあなんで音程が鍵と同じ「キー」なんだぜ?
     └ 鍵になる音程のことをキーって表現したんじゃないのかぜ?

 疑問はまだ晴れていないんだぜ?
 
■2009-09-14
月に吠える
 月の表面を覆う砂は、太陽光をでたらめに反射させてしまうらしい。
 そのため、夜空に見える満月は、球形であるにも関わらず、平面的に、円形に見える。

 ふと「竹取物語は凄いんじゃないか?」と思いあたった。
 日本最古の物語が、教科書に載るくらいの完成度を誇っているとか、そういう視点では言うまでもなく凄いのだが、今回はそういう話ではない。

 平安時代の半ばごろに、この作者は、月に都があることを想像している。
 つまり月には地球と同じ大地(大地の定義は曖昧)があると認識していたわけだ。
 これは凄いんじゃないか?

 だって夜空に出てる月なんて、お盆にしか見えないし、毎日ゴリゴリ欠けるし、うさぎの模様は描いてあるし、とうてい大地があるように見えないじゃないか。
 「円い」と「丸い」の区別もできない日本語話者が、どうやってそんな発想をしたのか?
 満ち欠けの様子から、球形であることが推測できた……のかもしれない。するとしかし、朔望の仕組みを知っていて、我々のいる大地のほうも球形をしているという事実をあっさり受け入れていたということになる。
 地球が丸いこと自体は、紀元前から知られていたようだけれど、そのうえ月も球状で、そこに都がある、なんてことがフィクションの下地として平然と受け入れられていたのが凄い。
 
 「いや、別に凄くない。地『球』というからには球形なのは確定的に明らか」
 
 お前マジ頭いいな。
 
■2009-08-21
続・不統一なカタカナ
 前回の日記で、語末の「ー」の有無による言葉の使い分けの可能性を考えた。
 だが「ー」の表記が揺れているのは、なにも語末だけではない。

 2005年末の流行語大賞で「萌え」がノミネートされたとき、報道各社が「メードさん」という表記をしたのに違和感を覚えた人も多いはずだ。
 なんで「メイド」って書かないんだよダセェな、と。

 もちろんこれにも基準がある。共同通信の新聞用字用語集によると、

原音で二重母音の「エイ、オウ」は、原則として長音と見なす。
[例] ショーウインドー デーゲーム データベース

 とされている。もちろん「ノウハウ」などの例外も挙げられている。

 今まで「オーダーメード」などと表記していた報道各社は、当然「メイド」と書く不統一を避け、「メード」という表記にしたわけだ。
 だが、今では本来の「女中」という意味を離れ、固有名詞として認識されてきたのか、「メイド」と表記することが増えたようだ。


 さて、そうなるとここからが戦国時代となる。
 他の全ての「エイ、オウ」に対して、同じ経路でアタックが可能なわけだ。
 「メード」をダサいと思うのに「ホーム」はそのままでいいのか?

 たとえば「make」はどうだろう?
 「メーク」なんて表記は古くさい。「メイク」が完全に主流だろう。
 だが「maker」になると、まだみんな「メーカー」という。
 いまのところ、ここにアタックを仕掛けたのは、BUMP OF CHICKENの「ラフメイカー」しか知らない。

 「ページ」は「ペイジ」になるべきだろうか?(血管針攻撃!)
 Googleの「ページランク」は実は「頁ランク」ではなく「ペイジさんが作った」という意味らしい。「ペイジランク」と表記してくれれば区別ができたわけだ。
 となると、やはり無下に統一するわけにはいかない。

 我々は無意識に、曖昧に、これを利用して言葉を区別している。
 同じ「chain mail」でも、不幸の手紙は「チェーンメール」、鎖かたびらは「チェインメイル」として認識しているはずだ。
 球技の「ボウリング」と掘削の「ボーリング」など、微妙な発音の違いを汲み取っている例もある。

 どちらでも良いときは、どちらを支持するべきだろうか。
 全体の傾向としては、「ー」を使った表記は、かつて報道各社によって大量に広められた感じがするため、モノによっては古くさい。マニアックな、狭い範囲で流通する、新しい言葉ほど「エイ、オウ」を採用することが多いように思う。
 原語の発音に近いこともあり、後者が徐々に勢力を伸ばしていくのではなかろうか。

 Xboxの「ヘイロー」シリーズも、カタカナ表記を「ヘイロウ」にしてはどうだろう。
 そんな事を思った。