Oneside Flat Web

◆ワンサイドフラットウェブ◆

~  養鶏人間ベム  ~

■2025-12-31
マンスリーレポート:12月
 日本人が選ぶ今年の漢字は「熊」!
 そして台湾人が選ぶ今年の漢字は「罷免」の「罷」!
 これは陰謀ですよ! これで中国人が「能」を選ぶことで中華思想を東アジア全体に轟かせようってハラだろう!? 許せないぜ!

PIPI
ピピチャン!(中国は『靱』らしいぞ!)
 じゃあ羆の陰謀だよ!!

 そういうわけで今年も終わり。
 12月にやったこと、読んだもの、観たものの記録だよ。

■アコースティックギター

 [Am]なんでだろう [Dm]なんでだろう [E]なんでだなんでだ[Am]ろう

 Am、E、Dmのかんたんコード3つでテツandトモを召喚できることは前に触れたが、なんとこの3つで『ムーンライト伝説』がほぼ全部弾けてしまうことに気がついた。
 (ただし「何度も巡り合う」の部分のFはごまかせないのでがんばろう)
 問題はテツandトモとセーラームーンを両方を弾きたい人などいないということで、せっかく得た知見を生かす場がなく歯噛みしている。
 (嘘。矯正のワイヤーのせいで歯噛みするほどの咬合力は無い)

■アクセス解析、死す

 12月10日に6年前の日記がいきなり万バズして目を疑った。
 過去の記事を見つけ出し、はてなブックマークに投入した目利きの人がいるようだ。
 検索流入の多いページでも一か月に50から100くらいなのに、いきなり10000件のアクセスがあるとどうなるか。
Lunalys
 アクセス解析のグラフと平均値が完全に無意味なものになるのであった。

 これだけ極端なアクセスがあったのに2日で元に戻るの、昨今のインターネットの「速さ」を実感するわね……テキストサイトの時代はもっとゆっくり、ニュースサイトから孫ニュースサイトへと伝播していって第二波・第三波と続いたはず。速さがぜんぜん違う。
 ニュースサイトといえば「かーずSPさんに取り上げられる」っていう実績が得られ、ここだけ20年前の世界が戻ってきたような感覚であった。

■大河べらぼう

 初めて大河を頭からケツまで完走したぞ!
 最後の3話くらい怒濤の展開でびっくりしちゃった。史実バリアに阻まれてる人、殺せるんだ……。どうするのかと思ったらすごい都合のいい替え玉が出てきて解決しちゃった。大河でそういうことやって……いいんだ……?
 ついでにみんなで取り組んだプロジェクト写楽も、阿波藩で能役者やってた替え玉さんの仕業ってことにしとこうぜ! っていう蔦重の策略に後世の俺たちは騙されていたってわけよ。そうなの!? それはさすがに写楽研究者の人たちが怒らないか!?
 
 まさに史実の行間に詰め込めるだけ詰め込んだ展開で、かつ無駄のない創作ぶりに舌を巻きました。なにしろ時代的には田沼意次、松平定信、平賀源内、喜多川歌麿くらいしか教科書に出てきそうな人物がおらず、十返舎一九や葛飾北斎、曲亭馬琴は世代が少し後、本居宣長や杉田玄白はチョイ役ということで、蔦屋重三郎自身のドラマに全てがかかる中、不足するエモの大部分を歌麿による蔦重への激重感情で埋めていったのです。
 この二人の間にテコ入れ負けヒロインみたいなキャラが割り込んできた回が最高に面白かったです。エッこの負けヒロインみたいな男、のちに『冨嶽三十六景』の版元になるの……? レジェンドじゃん……。

■ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り

 アマプラしていたので観た。これ観てセクシーパラディンの話しかしなかった俺のタイムラインはおかしい。いや確かにセクシーではあったが!
 TRPGの祖であるD&Dが原作ということでオッサン向けなのかと思っていたが、ハリーポッターで洋画ファンタジーに慣れている娘氏ならば十全に楽しむことができる映画だった。ロードオブザリングもハリーポッターも長いから、120分で洋画ファンタジーを楽しみ切れる本作はコスパに優れる。鳥人族のひとはかわいそうだった。

■トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦

 これもアマプラしたので観た。顔の良い男や顔の良いオッサンが殴って殴る! 生きることはエゴで、エゴを通すのは確かなカラテ。ニンジャスレイヤーを読んで学んだことです。 久しぶりにカンフー映画の文法を摂取して血がたぎる。これ観てフルタマンの話しかしなかった俺のタイムラインはおかしい。
 それにしても九龍城のセットが素晴らしい。バイオハザード6を再プレイしたくなった。そう考えてみるとこの映画に出てくる両手に剣を持ってめちゃめちゃ振り回してくる奴とか、両手にアサルトライフルを持ってめちゃめちゃ撃ってくる奴とか、バイオ6ですげえ見たことあるな……? 実質バイオ6だったのでは……?

■セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記

 2021年の夏休み映画が無料公開されていたので、大晦日の朝に観た。小説家である主人公が、自身も物語のキャラクターであることに気づき、それでも創作を諦めないっていう流れだけ抽出するととても美しいんだけど何この混沌。2021年の子どもたち、これを映画館でどういう顔で観てたんだよ。東映さんさあ……こういうことやってるとき本当に楽しそうだよねえ……。
 仮面ライダー1号が変身を解いて本郷猛が出てくると思ったら藤岡弘、が出てきたのですごい笑ってしまった。「君は……本郷猛だね?」「ハイ!」嘘だッ絶対ただの藤岡弘、だよこの人! 魂が完全に同一化してしまっているよ!!

■ちいかわ

 Webで一通り追っている作品ではあるが、単行本を揃えつつある。キャラクターものにまったく興味を示さない娘氏が珍しくハマっているからだ。好きなキャラはくりまんじゅう先輩らしい。くりまんじゅう先輩が好きな小学生女子……。パパはモモンガが好き。あいつだけが「なんか小さくてかわいいやつになって、こういうふうに暮らしたい」というタイトルを体現しているから。
 しかしこの作品、グッズを所持する人を会社でも見かけるレベルで人口に膾炙している(カイシャとカイシャをかけたジョーク)が、いったいそのうちの何割の人が原作を追っているのだろう? ……まあ、スヌーピーのグッズを持つ人が全員PEANUTSを読破しているかというとそうではないし、なめこグッズを持つ人が全員『おさわり探偵 小沢里奈(NDS)』をプレイしているとは考えにくい。キャラクターとはそういうものなのだ。
 とはいえ来年、『すみっコぐらし』の映画を観に行く感覚であの「島編」のスゴい話を観せられたら、大変なことになるのではないか……?
 ……それでは聴いて下さい。ハチワレで『ひとりごつ』。

 なん[C]だ も[E]う朝[Am]かと
 [F]生 [G]乾 [C]

 ワイフ「終わった……」

■2200年ねこの国ニッポン

 あっという間に1クール駆け抜けてしまった!
 こういうユルいアニメ化もアリな世の中になったんだな……。ショートアニメながら猫飼いによる猫飼いのための話を繰り広げてくれて良かった。
 またネタが溜まったら2期を放送して欲しい。ねこの国ニッポン、お前はテレビ神奈川のちいかわとなれ……!

■ニチアサ百景

 プリキュアでは44話になってようやく世界を救う使命が降りてきた。例年なら初期メンが揃ってすぐやる話だった。
 「アイドル活動で人々をキラッキランランにして、そのエネルギーで異世界キラキランドを救おう!」っていうの、だいぶ設定の屋台骨だと思うんだけどなんでここまで出さなかったんだろう。最初からこの形にしておけばプリキュア活動とアイドル活動が接続されて、「なぜ無断アップロードしてまでプリキュアをアイドルにしなければならなかったか」が納得いく形で降りてくるんだけど……何かあったのか?

 ところでいまさら気づいたんですけど、ズキューン&キッス人間体の苗字が「田中」なの、かなりプリキュアにあるまじき事態じゃあないですか? プリキュアになるにはもっとこう、「雪城」とか「花咲」とか「星空」みたいな家系に生まれないといけないんじゃあないですか?
 ……と思ったけどキュアビューティさんが「青木」でしたね。稀姓じゃなくてもプリキュアになれるんだ!

 スーパー戦隊はユニコーンの大迷惑をもうぜんぜん感じさせない安定感で、最終盤の戦いになだれ込んだ。お兄ちゃん、あの気持ち悪さを保ったまま会心できるルートがあったんだなあ……。
 戦隊の歴史に区切りをつけるのがこいつらでよかった、素直にそう思える作品になってくれたと思……げえーっ! なんか知らない読者公募超人が出てきた~~っ!!
 
■2025-12-22
ジョジョ四部の謎にせまる
 それは矢吹氏が提示したひとつの疑問から始まった。

 『ジョジョの奇妙な冒険』第三部の主人公といえば誰もが知る空条承太郎である。
 彼は第三部の旅の終着点で、宿敵DIOと戦い、時を止める能力を身につけた。
 第三部で承太郎が時を止められるのを知ったのは、停止した時の中を動けるDIOのみであり、DIOは承太郎にその場で始末されている。

「では第四部の敵スタンド使いは、どうやって承太郎が時を止められることを知ったのか?」

 ジョジョは考察の宝庫なので、30年以上前のこの展開についての考察もすでに決着がついている……のかと思ったが、検索してみると意外とない。Yahoo知恵袋やRedditに散発的な考察は見受けられたが、これはちゃんと考えてまとめて、インターネットの海に投げ込んでおくべきと考える。

■前提条件の整理

 まずは第四部開始時の状況を整理する。単なる事実の確認なので、第四部を読み込んでいる人はこの項目を飛ばしてよい。
 

ひさしぶりに…
実に10年ぶりに0.5秒だけ「時を止められたぜ」……

空条承太郎! 東方仗助に会う その②
 承太郎のモノローグを信じるならば、彼は第三部終了から第四部開始まで時を止めていない。
 こうなると時間停止のことを知る者はかなり限られてくる。DIO戦に立ち会ったポルナレフはDIOとの会話(時間停止してない部分)を聞いていた可能性が高いが、ジョセフおじいちゃんが時間停止に言及したのは昇天しかかったときの演出のみなので、うっかりすると知らない可能性がある。

おれは10年かかって全てを調べたよ…「スタンド」のこと「承太郎」のこと
そしてエンヤという老婆を知って「弓と矢」を手に入れたんだがな…

虹村兄弟 その⑨
 最も関係ありそうなのが、第四部の最初のボスである虹村形兆の兄貴で、なんと地方都市の高校生が自力でDIOの情報「全て」にたどり着いている。全て!?
 エンヤ婆もすでに故人なので苦労したと思うが、「弓と矢」を実際に入手するほどなので、第三部で起こったことの概要は把握しているのだろう。
 ただし、この場では時間停止については話題にしていない。

 第四部で初めて敵スタンド使いの口から時間停止の話題が出るのはその直後、音石明からの警告電話である。

なんでも承太郎さん…あなた…時間を1秒か2秒ほど止められるらしいですねェ? しかもタフで正確な動きもするっていうし…

広瀬康一(エコーズ) その①
 これは形兆から情報を聞いていたか、盗み聞きしたものと思われる。この情報をどこから得たかが考察の中心となる。

よそ者のくせによぉ~おれたちのことを探りやがって
場合によっちゃあ死んでもらう
…とはいえ承太郎の「スター・プラチナ」は1秒か2秒時を止められるっつー話をきいた…

間田敏和(サーフィス) その②
 間田はスタンド名まで知っている。まあスタンド名はしょっちゅう叫んでるからいいとして、これは形兆からの情報というよりは、音石明が手下に共有した話と考えるほうが自然だろう。
 これに対して仗助は、特に大きなリアクションをとっていない。身内のスタンド能力がバレるというのは、ディアボロ氏も徹底的に排除するレベルの情報セキュリティ・インシデントのはず。まあお前はトリッシュのスタンドからディアボロの能力が何か推測できるのかって言われたら何もわからないんだが。

 そもそも仗助がどの段階で承太郎の能力を知ったかというのも実はよくわからない。
 アンジェロ戦のときには初めてのスタンド戦だったにも関わらず「無敵の『スタープラチナ』でなんとかしてくださいよォーッ!」って態度になっていないので、アンジェロを始末したあとから間田戦までの間に共有されたのだろうか? なおコーイチ君は靴屋さんの段階ですでに知っている態度だった。

■仮説の列挙

 状況が整理されたというより、とっちらかってきてしまったが、考えられる可能性を挙げていこう。

*虹村形兆が調べて知っていたよ説
 調べて見かけた頻度の高かった仮説。「弓と矢」を入手できるくらいなので承太郎の能力くらい調べていてもおかしくない。
 ただ問題になるのは前述の「承太郎が時を止めた」という情報を誰が得たのか? という点である。DIOの能力すら側近しか知らなかったはずなのに。まさか当時のエジプトの様子を調査して「時計台が破壊されている……なぜ時計台が……? 時計の針を破壊……時計を止める……まさかッ!」ってなったのか?

 しかし形兆の兄貴は、承太郎のことを本当に知っていたのだろうか?
 上記のシーンでも「承太郎という男」じゃなく「承太郎」と言っているし、自宅の向かいで承太郎と仗助がアンジェロと交戦していたのを見ていたのかなとは思うが……親父を殺すことに10年を費やした男が、DIOを殺した本人が街に来ていることを知って会いに行かないなんてことがあるのだろうか? 親父が治らないことを確信したらDIOの情報には興味がなくなったのか?
 形兆の兄貴、承太郎がDIOを殺したことは知っていても顔は知らず、その能力やいま市内に滞在していることまでは……知らなかった可能性がないか?


*音石明が盗み聞きしたよ説
 普通に考えればこっちが有力かもしれない。おそらくアンジェロ戦のあと承太郎が「クレイジー・ダイヤモンド」を命名したあたりで、互いのスタンドの情報を共有しておこうっていう話になって、それを電線からチリ・ペッパーに盗聴されていたのだろう。
 このタイミングで聞いたとするなら、その情報を使って上記の電話で承太郎をビビらせておこうという流れになるのも自然な話だ。

 懸念点としては、「1秒か2秒」「タフで正確な動きもするっていうし…」と情報があいまいで伝聞調なところで、承太郎が仗助を信頼して能力のことを話したのを盗聴したのならば、やや不自然な言い方と言わざるを得ない。情報源をあいまいにすることで承太郎に能力を悟られないようにするブラフなのか?


*SPW財団から漏洩したよ説
 時間停止という規格外のスタンドについてSPW財団が放っておくはずがないので、帰国した承太郎を捕まえていろんな実験をした上で詳細なレポートを作り、それが財団外に漏れて虹村形兆の目に触れたという可能性。
 この場合承太郎が10年時を止めていないので、研究はそうそうに暗礁に乗り上げたものと思われる。でもこの時の調査が第六部でDISCを抜かれた承太郎さんを守ったのだと思うから……。


*ジョンガリ・Aの執念説
 第三部時点で10歳くらいだったジョンガリ・Aがエジプトにいて、たぶんンドゥールの付き人とかをしてたんだけど、持ち前の耳の良さでカイロ上空に響き渡る「止まった時の中に入ってくるとは思わなかったぞ」という子安ボイスを聴いていたのだ!!
 その後、第三部終了後にプッチ神父の一味につながっていく「DIO様互助会」みたいな組織ができていて、その中で共有されていた情報に虹村形兆が触れたのではないか。
 というかそういう組織がないと、日本の高校生が「弓と矢」を手に入れられるわけがない。悪には悪のSPW財団が必要なのだ……。


*アトム・ハート・ファーザー説
 吉良吉影のおやじは計算すると第三部開始前の1987年に死亡しているが、それより前にエンヤ婆から「弓と矢」を手に入れてスタンド使いになっている。
 つまりDIOからかなり信頼されていた人物であったと見て間違いなく、死後に能力を活用してDIO様互助会をしていてもおかしくない。
 なにより「快楽殺人者の実子を溺愛」という点がエンヤ婆と相性が良すぎるッ!! 小指が赤い糸で結ばれてるコンビかチクショー!
 ただコイツは息子のことしか考えていないし、吉良親子は仗助チームと接触するまで「スタンド」という呼び方を知らず、他の能力者とも戦ったことがなさそうな言動をしているので、事前に形兆や音石明と接触していたとは考えにくい。スタンド使いはひかれあうのにね。


*ホル・ホースがバラしたよ説
 なんとスピンオフコミック『クレイジー・Dの悪霊的失恋』でホル・ホースが杜王町を訪れている。ホル・ホースは病院を脱走してDIOと花京院の戦いを目撃した設定なので、ひょっとしたら承太郎が時を止めたことを知っているかもしれない。
 だがそのことを杜王町の住人に話す理由がなく、一番接触していた仗助は当然、承太郎のことを知らないまま第四部を迎える。だめそう。


*ジョースターの凄み説
 矢吹氏が提唱する新説。

ホリィさん「今…心が通じたわ! 二人が帰ってくるのよママ! パパと! 承太郎よッ! 二人が帰ってくるわッ! 承太郎が時を止め返してDIOを倒したのよッ!」
日本に潜むDIOの手下「何だってッ!!」


*ポルナレフが自白したよ説
 矢吹氏が提唱する新説。

フランス人書店員「何をお探しかね?」
虹村形兆「DIOについて書かれている文献はないかね?」
フランス人書店員「フーム少々お待ちください」
虹村形兆「……遅いな ちょっと覗いてみよう」
フランス人書店員「突然で悪いが名乗らせていただこう J・P・ポルナレフ!」

■結論

 チリ・ペッパー盗聴説がいちばん不確定要素が少ないのでこれじゃないのかな。
 伝聞形で情報があいまいなのは、承太郎が直接話した言葉を盗聴したのではなく、仗助がコーイチ君か億泰の加入時に説明して盗聴されたのかもしれない。
 他人のスタンド能力を話すのがタブーっていう感覚、第四部序盤の杜王町ではあんまりなさそうだし……。
 
■2025-12-12
鳥、バグる
 当サイトのマジレス担当として勝手に便利に使われていることでゆうめいなオカメインコのピピチャンだが、なんか先日バグったのでその話をする。
 
 ピピチャンにはなぜか布を近づけると「ピピチャン!」と自己紹介をする習性がある。
 これを利用して、そのへんの布を手に忍ばせてから肩に乗ってる鳥に同意を求め、タイミングよく布を見せることで「ピピチャン!」という返事を得るという裏技が活用されていた。

 ぼく「鳥もそう思うよな!」

PIPI
ピピチャン!
 でも、それがよくなかった。


 ある日突然、放鳥したときにやたらと荒れるようになった。
 荒ぶるオカメインコは顔に向かって飛んできて、下唇の柔らかいところを狙ってついばんでくるのでとても痛い。換羽の時期で気が立っているのかとも思ったが、今までの荒れ方とは違う迫力があり、そもそも換羽期ではない。
 人間のところに来ることもないし、ケージに帰すときにもめちゃくちゃ抵抗する。疲れ果てるまで抵抗を繰り返し、ケージに戻っても延々と呼び鳴きを繰り返す。
 なぜピピチャンは不良になっちまっただか?
 
ハンカチをじっと見つめるピピチャン
ハンカチをじっと見つめるピピチャン

 ここで我々は気が付いた。
 まさか、昨日「ピピチャン!」って言わせるために使ったそのハンカチが……関係あるのかい?
 人間のところに来ないでじっとその位置にいるのは、そこが暖かいからではなくて……そこにあるハンカチを「俺の嫁」と認識してしまったから……なのかい!?
 めちゃめちゃに呼び鳴きを繰り返していたのは、荒れているからではなく、ハンカチの姿が見えないから呼んでいたのかい!??

 文鳥であるウメチャンはわりといろんな物体に対して求愛ダンスをしているし、オカメインコもそういうもんなのかなと思ったんだけど、断固としてハンカチのそばを離れない。
 俺がハンカチを自分の頭に乗せてみたらいつも通り肩にとまるものの、俺がピピチャンのほうを向くと「お前ごときハンカチ台が深淵なるわたしとハンカチの砦に踏み込んで来るんじゃあないッ!!」という勢いで顔を攻撃してくる。本気だ。ピピチャンは本気なのだ。


 その後、ワイフが日中にハンカチを少しずつフェードアウトさせていき、最終的に仕舞っても大丈夫な形にもっていった。元に戻るまで3日かかった。
 なんの変哲もないただの布がここまでの執着心を生むとは予想していなかったので驚いたが、まあ人間でもただの布にすごい執着する人は別に珍しくない。しょせん我々も万物の霊長ぶっているヒト科のヒト属にすぎないのだ。謙虚に生きていきましょう。
 
■2025-12-03
俺とスーパー戦隊
 いよいよスーパー戦隊がおよそ50年の歴史に区切りをつけようとしているが、そもそも俺はなんでスーパー戦隊を観ているんだ? という話をしたいと思う。

 なぜそんな自分語りを急に始めるのか? 需要がカケラもないのでは? と自分でも思うのだが、意外とこれを記録しておくことは大事なのではないか。
 だって我々は日々SNSなどで、なんか沼に落ちて狂っている人を見てニッコリしているが、その人がなぜその沼に落ちたのかは知らないことが多い。こういうことをちゃんと表明しておくと、「その沼……ひょっとして俺も入れるのか?」という気持ちになる希少種が出てくるかもしれない。まあ出てきたところでシリーズは終わろうとしているんだが……今は配信が豊富にある。なので自分語りしていい? するね。


 実はリアタイ世代であった幼少期には、戦隊はおろか全く特撮に触れていない少年であった。機動刑事ジバンや仮面ライダーBLACKの時代であったことはギリギリ覚えているが、観てはいなかった。
 代わりに観ていたのが毎週の『水戸黄門』や、夕方再放送されていた『暴れん坊将軍』『遠山の金さん』などの東映時代劇で、大学生活まで含めて年寄りと暮らすことが多かった俺は、ここで1話完結型のパターンシナリオの良さを刷り込まれていった。
 
 『水戸黄門』のようなパターンシナリオの良さは、ある程度の予測可能性を持っていて、時にそれをハズしてくるという点にある。
 音楽を聴いているとき、人間の脳は常に展開を予想し続け、それが的中すると喜び、予想を超えた展開が来るとさらに喜ぶという話は聞いたことがあるでしょう? パターンシナリオを摂取しているときもそれは同様であることが、弊サイトの20年以上前のログから明らかになっている。俺がエビデンスだ!


 そしてそれとは別枠に「特撮主題歌」という大きなコンテンツがある。
 大学時代、バイト仲間と月イチで徹カラをするという無茶苦茶な生活を送っていた時期があった。メンバーが同じなのに毎月5時間も6時間もカラオケをすれば当然レパートリーが枯れてくる。そこで目を付けたのが前世紀の戦隊主題歌であった。
 前世紀の戦隊主題歌はどれも覚えやすく、歌いやすく、本人映像もついていて飽きにくい。『科学戦隊ダイナマン』で「必殺必殺スーパースーパーダイナマイト」って全力で歌うのは最高なんですよ。力強いアニソンは数あれど、それがこれだけ揃っているセットは他になかなかないんですよ。こうして俺は芋づる式に知らないヒーローの主題歌を覚えていったのだった。


 ということで、俺にはスーパー戦隊にハマる下地が完全に準備されていたことがわかる。だがそれは昔の戦隊にであり、最新の戦隊のことは何も知らなかった。そのきっかけとは何だったのか。

 今こそすべての日本国民に問います。なぜ、俺が毎週早起きしてスーパー戦隊を視聴するようになったのか。チコちゃんは知っています。
 俺がスーパー戦隊を観るようになったのは、『ハートキャッチプリキュア!』が名作だったから~~。

 さすがチコちゃんよく知っていますね。でもお前はすぐ過程を飛ばして要因の話をしがちだから困る。戦隊の話をしてるのにいきなりプリキュアの話まで始めるんじゃあないよ。時系列でちゃんと説明すると以下のようになる。
彼女(現:ワイフ)が『ハートキャッチプリキュア!』の視聴を始める(2010年2月)

ニチアサ民に足を踏み入れる

30分前の『仮面ライダーオーズ』が気になり視聴を始める(2010年9月)

さらに30分前の戦隊が終わってなんか記念作品が始まることを知る

『海賊戦隊ゴーカイジャー』の第1話を観て度肝を抜かれる(2011年2月)

ニチアサ民の完成
 このようにして起床時間が30分ずつ早まっていったのだった。当時は戦隊はニチアサのトップバッターだったのだ。『ハートキャッチ』と『オーズ』が両方名作でなかったら戦隊までは辿り着かなかったであろう。奇跡のリレーに感謝したい。

 ゴーカイジャーは過去の戦隊の力を「海賊版」として行使するド派手なやつらである。1話完結で毎回パターンがある戦隊のフォーマットは案の定俺によくなじんだし、カラオケのせいで名前だけ知っていた過去の戦隊が次々と登場するのも知的好奇心を満たしてくれた。

 一度習慣ができてしまうとあとは流れである。翌年の『ゴーバスターズ』はシンプルにカッコ良かった。それに続いた『キョウリュウジャー』が少年誌的三条脚本で毎週めちゃくちゃなことをやってくれて、同期の『ドキドキ!プリキュア』も破天荒な話が多かったこともあり、このあたりでリアタイ視聴&SNS実況の楽しみ方が確立されたと思う。
 キョウリュウジャーについては今でも「戦隊」という枠の中でできる最高のエンタメだと思っていて、「戦隊を知りたいからどれか1作観ようと思うんだけど」っていう人がいたらノータイムでオススメしたい。みんなも腰を痛めて変身できなくなった千葉繁の代わりに変身する飯豊まりえを観よう!


 何年も戦隊を追っていると、1話完結のパターンシナリオだけでなく、1年という枠組みの中でのパターンも楽しめるようになった。
 昔の人が花鳥風月から時の移り変わりを感じ詩を詠んだように、追加戦士の登場から初夏の風を感じ、年末の大決戦や総集編からクリスマス販促の息吹を感じるのである。1話完結でないライダーにも年間のパターンはあり、ニチアサが風物詩となり歳時記となっていった。

 そのうち娘氏が生まれ、育ち、共にニチアサを観るようになった。プリキュアの対象年齢を越えてからもプリキュアと戦隊はわりと楽しんで観てくれているようだ。
 特に2020年の『キラメイジャー』は「戦隊でここまで面白い話ができるんだ!」って感じの快作だし、2021年の『ゼンカイジャー』は「戦隊をここまでオモチャにしていいんだ!」っていう怪作だし、2022年の『ドンブラザーズ』に至っては「ここまで戦隊じゃなくってもいいんだ!」という何かであり、毎週戦々恐々としながら観ていた。


 しかし……こんなに面白いのに、ずっとオモチャの売り上げが芳しくないという話は聞いていた。
 バンダイさんの2025年のIP別売上を見ると、ドラゴンボール1906億、ガンダム1535億、ワンピース1395億に対してライダー307億、プリキュア79億、戦隊64億と文字通りケタが違う。芳しくないどころか誤差だ。俺たちが一喜一憂していたのは誤差にすぎなかった。もうこの国ではオッサンしかオモチャを買っていない!
 こういう状況で現状の枠組みを堅持しても、ただ滅びを先延ばしにするだけになる。我が国全体がもうそうなのではないかという悲壮感すら漂う。枠組みの大幅な改訂もやむを得ない話だ。人口減を前提とした効率化をしなければならない。それはこの国のあらゆるところで行われていることだ。
 
 だから……娘氏に水戸黄門の話をしてもピンとこないように、そのうち世に溢れるパロディなどの「戦隊あるあるコンテンツ」が全滅してしまう日が来てしまうかもしれない。そうならないよう、過去作品へのアプローチは続けて、文化を継承して欲しいなあと願う。


 ところで、最初のほうで「音楽を聴くとき脳は展開を予想して快感を得る」というたとえ話を出したけど、それが人類普遍の事実であるならば、戦隊やプリキュアを観て快感を得る機能が全人類に備わっているということではないか!? あまねくすべての人類はすべからくニチアサを観てドーパミンを出すべきと考える次第である。


■ブロクリ Advent Calendar 2025!!

 12月といえばアドベントカレンダー。今年も木本さんとこの企画「ブログクリーンアップアドベントカレンダー」への参加を表明しまして、去年はギターの話を書いたんですけど、今年はこれをもって3日目の記事として占拠しようという魂胆です。
 いつか書いておくべきだろうなあと思いながら、スーパー戦隊のシリーズ終了の報を受けて慌てて脳内から掃き出した形になります。これも立派なクリーンアップと言えるでしょう。俺は脳内を大掃除して戦隊の終焉を見届ける。お前はどうする?