Oneside Flat Web

◆不定期日記ログ◆

■2024-05-14
胃カメラを止めるな!
 上部消化管内視鏡検査ッ!
 いわゆる胃カメラと呼ばれる「それ」は、鼻の粘膜をものともせずにスルリと俺の体内に入ってきたッ!

 なぜ、こうなったかというと……

 深い理由はない! 単純に毎年の健康診断の中で、オプションの「バリウム→胃カメラの変更」がお値引きされていてディスカウントだったからだ。
 初体験するなら今だ。胃カメラが安い! 今すぐ飲め!!


 事前に問診票を記入していた俺は、想定外の選択肢に頭を抱えた。
経口・経鼻
 まさかの経口・経鼻選択制!
 挿れる穴を選ばせてくれるパターンあるんだ。どっちだろう……泣きたくなる場所は……2つマルをつけてちょっぴりオトナなのか?
 だがまあ、鼻のほうが負担は少ないと聞いていたので、俺は順当に「経鼻」を選択した。上の口では嫌がっているが、さらにその上の口はどうかな……?


 まずは鼻腔の奥に謎のスプレーを噴霧される。血管が収縮するだか鼻の穴が開きやすくなるだかという触れ込みであった。「右と左どちらでやりますか?」と言われまた頭を抱える。どっちだろう……泣きたくなる場所は……逆にどっちでやったらいいですかね??
 これはおそらく、経験者に対する「以前スムーズに行ったのはどっち?」という趣旨の問いかけなのであろう。俺のような鼻ヴァージンの場合は50%に賭けるしかない。左だ……俺は左で行く! ちなみにこの場合の左はいつの時点の誰から見て左?

 柔らかな椅子にゆったりとかけて待機し、そのあと鼻腔の奥に謎のシリンジで謎のゼリーを投入される。これが謎のテクノロジーによって鼻と喉を麻酔していくのだ。医学のちからってすげー! それはそれとして鼻水が喉に流れこんでいくような感覚が不快ではある。
 ゆったりと待機しているうちに麻酔が効いてくる。歯医者でやる麻酔の感覚が喉の奥に発生している不思議な感覚だ。これでもしゃべるのには支障がない。

 次にやってきたのは細いチューブであった。これが鼻の穴に挿入される。インフルエンザの検査を思い出し身構えたが、実際麻酔が効いているのでたいしたことなかった。次に太いチューブが挿入される。これも全く問題なかった。
 そして、鼻に太いチューブを差し込んだまま、診察室へ入る。なるほどこのチューブの中にカメラを入れていくんだな、うまく考えられているな、と思っていたらチューブは普通に抜かれた。抜くのかよ。


 ここまできたらもう後戻りはできぬ。
 ベッドに横向きに寝て、口の下に唾液受けがセットされ、「決して唾液を飲まないように」との注意を受ける。
 話に聞くところによると、とにかく胃カメラというやつは全てを受け入れて無になることが肝要らしい。抵抗してはならぬ。己を消し、森羅万象と一体となり、あらゆる暴威を柳のように受け流す心で望まなければならない。つまり明鏡止水だ。

 そういうマインドセットが完成していたので、カメラが挿入を始めたときも、俺の心は澄み渡っていた。それは鼻の奥を曲がり喉に……いや早い早い!! 先生の挿入速度がすごい早いよ!! そんなスピードで入れてって大丈夫なのお!? アッなんか下腹部に当たっ……えっ……アッハイ……え? 空気を入れ……あっもう出てくるの!? 早い早い! 戻すのも早いよ!!
 下の方(大腸内視鏡検査)と比べてこのスムーズさは何!? 上の方がまっすぐなぶん楽なの? それとも俺の鼻の穴がでかいの? あるいは先生がSuper Doctorなの?


 こうして高速で胃袋の内壁を激写され、それを見ながら「健康ですね」とコメントを貰い、俺の初めての上部消化管内視鏡体験は健康な結果に終わったのでした。しーましェーン!
 まあバリウム飲むのとどっちか楽かっていうと微妙な感じだし、追加料金はあるし、通常はバリウムでいいかな……と、異様に鼻が通る感覚を楽しみながら思ったのでありました。おわり。