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◆不定期日記ログ◆

■2021-12-25
アバロンには雪が降らない
 2021年のクリスマスに、『ロマサガRS』にロマサガ2よりクリスマス衣装の最終皇帝(女)が実装された。
 以下にキャラクターのフレーバーテキストを転載する。

アバロンには雪が降りません。それでも、この祭りの意味は分かります。厳しい冬の寒さの中でも、希望を捨てずに来る年の幸せを信じる。バレンヌ帝国の人々はずっと、耐え続けてきたのですから。

@romasaga_rs 2021年12月20日

 「アバロンには雪が降らない」……本当か?

 ロマサガ2は、バレンヌ帝国首都アバロンの酒場で詩人が物語をしているシーンから始まる。酒場はれんが造りで、立派なじゅうたんが敷いてあり、でかい暖炉には火が入っている。
 ゲーム開始直後のこの描写により、我々は「アバロンは寒冷地にある」というイメージを刻み込まれた。

 だが……今になって……最終皇帝自ら「アバロンには雪が降らない」とおっしゃる。
 この詩人の語りは最終皇帝の時代なので、長いバレンヌ帝国の歴史で気候が変わったということもない。
 皇帝陛下が「降らない」というならそれを信じるほかない。


 れんが造りの建物にでかい暖炉を据え付ける必要があるほどの寒冷地で、雪が降らないというならば、それは「冬の降水量が極端に少ない」ということを意味する。
 わが国においても本州の太平洋側では、冬季に大陸から吹いてくる季節風が、本州中央の山脈を越える際に湿度を雪としてすっかり落としてしまうので、基本的に乾燥している。
 特に静岡県においては複数の山脈が湿った風の到来を阻んでいるため、気温が氷点下になっても雪が降ることはまずない。年末に富士山がまったく冠雪していなかったことすらある。

 ではアバロン周辺の季節風はどうなっているのか。
 たしか冬季の季節風ってやつは、大陸より海洋のほうが暖かくなるので、海洋上に上昇気流が生まれ、大陸から海洋へ向かって風が吹く……というような仕組みだったと思う。というわけでワールドマップを見てみる。
ワールドマップ
海と山脈をおおまかに示した地図
 余談になるが、ロマサガ1と2のワールドマップは「南が寒い」という珍しい特徴がある。
 ロマサガ1は北にワロン島などがあり南半球の世界であることがわかりやすかったが、ロマサガ2はマップの中央付近に砂漠やジャングルがあるため、さらに広域のものである。「本当に地図の上が北なのか?」という疑問については「北バレンヌ・南バレンヌという地名がある以上は北が上」という程度の回答しかできない。地図作成の技術がそこまで発達しておらず、東のほうが大きくゆがんでいるなどの可能性を考慮すべきであろう。


 アバロンの気候についての話に戻ろう。
 アバロンは北に突き出した半島の西岸に位置する。このような地形で、かつ暖炉が必要なほどの寒冷地で、雪が降らないなんてことがあるだろうか?

 考えられる可能性としては……ロンギット海の気象影響があまりなく、冬季は大陸側(南)から海(北)へ風が吹くようになっていて、その風はルドン高原の前後で雪を降らせてすっかり湿度を落とし、アバロンへはルドン高原から冷たいからっ風が吹き下ろしてくる……つまり冬季のアバロンはルドンおろしが吹きすさぶ気候となる……のではないか?
 いや正直無理がある説だとは思う。地図のゆがみを考慮すればもっと現実味のある説がいくらでも出そうだ。ただ「ルドンおろし」という言葉を作りたかっただけでは? と言われれば否定はできない。


 というわけで「アバロンには雪が降らないというのは本当か?」という疑問に対しての答えとしては、
  • アバロンの冬はルドンおろしが吹く乾いた気候なので、雪は降らない。
  • 空を支配するワグナスが、不思議な力でアバロン上空の湿った空気をチカパ山方面に奪っている。
  • 実は最終皇帝はアバロンの生まれでなく、かつ政務でほぼアバロンに滞在しないので、ノリで適当なことを言っている。
  • アバロンは実際温暖で、北バレンヌの人々は暖炉を暖房設備というよりは「屋根への通路」「隠し部屋の入口」として認識している。
 ……などが考えられる。今後さらなる研究・発見があることを期待したい。ロマサガ2がミンストレルソング2としてフルリメイクされるなどすれば可能性はあるぞ。