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◆不定期日記ログ◆

■2020-06-23
ハンコください
 コロナ禍で強制的に電子化の流れが進み、その象徴としてまず火中に投げ入れられたのが印鑑であった。
 政府は今月「押印についてのQ&A」を出し、民間の契約では押印は必須でないという見解を明確に示した。

 ただし肝心の、役所とのやりとりや銀行とのやりとりにおいてはまだまだ印鑑を使わざるをえない。
 たとえば、たとえばの話なんだが、たとえば改姓に伴う銀行口座の名義変更が、新しい姓の銀行印を作成するまでできないというのはどういうことなのか。印鑑というのは「俺が俺であることを証明するためのもの」として運用されているはずなのだが、姓が変わったらその人の同一性は失われてしまうのか?
 それなら多くの人がたやすく変わる姓を印鑑に堂々と刻んでいるのはアホとしかいいようがないわけだが、要は印章制度ができたころは強力な家制度があり「姓が変わるような奴は印鑑を使うような重要な決定をしない」というような価値観だったのだろう。

 三文判が無意味なのは言うまでもないが、実印だって本人の証明手段として非力すぎる。
 たとえば実印には「氏名以外が書かれていてはいけない」という決まりがあり、「天下布武」とか刻んだ印は実印登録できない。信長はキレていい。市役所を焼き討ちしてくれ。この制約によって、姓を実印に刻んでいる人は、姓が変わった瞬間になぜか実印が失効する。
 だいたい「イラストが入っているのはダメ」らしいが、漢字だってイラストみたいなもんだろ象形文字なんだから。「心」がなんかちんこみたいな形になっちまってる字体のやつがオッケーで、「これは俺の氏名を示すトレードマークである」とオリジナルの図案を彫ったやつがダメな理由がわからない。後者の方がセキュリティは高そうだが。

 印鑑で本人を認証するのがおかしいという話は誰が見ても明らかなため、これくらいにしておこう。
 だいたい「俺が俺であると証明するために絶対盗まれたらヤバイもの」が多すぎる。実印と印鑑証明と銀行印と通帳を別々に保管してる人なんているの? 全部マイナンバーに一元化した上でマイナンバーチップを額に埋め込んでくれ。こうすれば数字と顔で認証ができるので本名すら要らなくなる。あとは前回の日記につながっていく。


 印鑑が消滅すると、現実的に委任状とかどうするんだみたいな問題は出てくるとは思う。しかし、銀行や役所の電子化が進むにつれてそれらはたいした問題ではなくなっていくだろう。
 とはいえはんこは文化なので、IT担当大臣をはじめとするはんこ議連の先生がたは「文書に捺してあるとなんかカッコイイ」というイメージ戦略で生き残りを模索していくなどして欲しい。キミだけの最強の認印でライバルに差をつけろ!