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◆不定期日記ログ◆

■2012-09-12
味わわわせる
 ふと「ちまたを賑わせるニュース」みたいな言い回しが気になった。
 賑わせる……賑わわせる?
 どちらでも変換はできる。

「味わわせる」は「わわ」の部分で
違和感を味わわされる……

(『サナギさん(1)』施川ユウキ)
 中学国語の復習になるが、「賑わう」「味わう」はともに「ワ行五段活用」の動詞だ。
 ワ行なのでなじみが薄く、ア行と誤認してしまうことがある。
 「味わう」の活用を、ちゃんと「ゐ」「ゑ」を動員して書くと、
 「味わわない、味わゐます、味わう、味わうとき、味わゑば、味わゑ」
 ……となる。
 これに従うと「賑わう」の未然形は「賑わわない」となる。
 「そのイベントは思ったより賑わわなかった」?
 なんかすでに違和感があるが、文法的にはこうなるようだ。

 使役の助動詞「せる・させる」は、「やらない→やらせる」のように未然形に付く。
 となるとルール上は「賑わわせる」が正しいのだろうか?
 確かに「味わせる」とは言わない。違和感は味わわされるけど。


 では「賑わせる」はどこから来たのか?
 これは「賑わう」とは別に「賑わす」という動詞があると考えれば良い。
 活用はサ行に変わるので、
 「賑わさない、賑わします、賑わす、賑わすとき、賑わせば、賑わせ」
 ……となる。
 これが使役になれば「賑わせる」であり、いくぶんか違和感が減った!


 「賑わう→賑わす」のような自動詞・他動詞変換は、他にも奇妙な不条理を呼んでいる。
 同じ理屈で「味わす」という他動詞を作れば、もう「わわ」の部分で違和感を味わわされることは無くなるのだろうか……