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◆不定期日記ログ◆

■2009-08-21
続・不統一なカタカナ
 前回の日記で、語末の「ー」の有無による言葉の使い分けの可能性を考えた。
 だが「ー」の表記が揺れているのは、なにも語末だけではない。

 2005年末の流行語大賞で「萌え」がノミネートされたとき、報道各社が「メードさん」という表記をしたのに違和感を覚えた人も多いはずだ。
 なんで「メイド」って書かないんだよダセェな、と。

 もちろんこれにも基準がある。共同通信の新聞用字用語集によると、

原音で二重母音の「エイ、オウ」は、原則として長音と見なす。
[例] ショーウインドー デーゲーム データベース

 とされている。もちろん「ノウハウ」などの例外も挙げられている。

 今まで「オーダーメード」などと表記していた報道各社は、当然「メイド」と書く不統一を避け、「メード」という表記にしたわけだ。
 だが、今では本来の「女中」という意味を離れ、固有名詞として認識されてきたのか、「メイド」と表記することが増えたようだ。


 さて、そうなるとここからが戦国時代となる。
 他の全ての「エイ、オウ」に対して、同じ経路でアタックが可能なわけだ。
 「メード」をダサいと思うのに「ホーム」はそのままでいいのか?

 たとえば「make」はどうだろう?
 「メーク」なんて表記は古くさい。「メイク」が完全に主流だろう。
 だが「maker」になると、まだみんな「メーカー」という。
 いまのところ、ここにアタックを仕掛けたのは、BUMP OF CHICKENの「ラフメイカー」しか知らない。

 「ページ」は「ペイジ」になるべきだろうか?(血管針攻撃!)
 Googleの「ページランク」は実は「頁ランク」ではなく「ペイジさんが作った」という意味らしい。「ペイジランク」と表記してくれれば区別ができたわけだ。
 となると、やはり無下に統一するわけにはいかない。

 我々は無意識に、曖昧に、これを利用して言葉を区別している。
 同じ「chain mail」でも、不幸の手紙は「チェーンメール」、鎖かたびらは「チェインメイル」として認識しているはずだ。
 球技の「ボウリング」と掘削の「ボーリング」など、微妙な発音の違いを汲み取っている例もある。

 どちらでも良いときは、どちらを支持するべきだろうか。
 全体の傾向としては、「ー」を使った表記は、かつて報道各社によって大量に広められた感じがするため、モノによっては古くさい。マニアックな、狭い範囲で流通する、新しい言葉ほど「エイ、オウ」を採用することが多いように思う。
 原語の発音に近いこともあり、後者が徐々に勢力を伸ばしていくのではなかろうか。

 Xboxの「ヘイロー」シリーズも、カタカナ表記を「ヘイロウ」にしてはどうだろう。
 そんな事を思った。