Oneside Flat Web

◆不定期日記ログ◆

■2024-08-17
ギターしようぜ!!
 先月、突然ワイフがアコースティックギターを入手したので、試しにギターを練習している。肩に小鳥を乗せてギターを弾く姿はあまりにも吟遊詩人であり、すべての自然が俺の味方をしている気分になる。

 昔、なんらかの活動でギターに触れたときには、とりあえずCの形だけ覚えたあと、おもむろにCを押さえて、

[C]のゆく道[C]は 果て[C]しなく 遠[?]
C

若者たち // ザ・ブロードサイド・フォー
 までを歌うことで「なんか弾けてる感」を出していた。
 それっきりギターには触れていない。

 そのくせなぜかギタースコアを所持している。
歌ってハモれるギター本
 なんでギター弾かないのにギタースコアを持っているかって? それは……お前たちが自分の胸に手をあてて考えてみろ。そして「そういうことは、まあ、よくあるよね」と納得しろ。俺の場合はハモりパートの音階を調べるために買ったのだ。お前たちが思い当たったアレやソレよりまっとうな理由だろう。
 

 現在、俺は隣人の存在しない恵まれた環境に居住しているので、楽器があるのなら弾かねば損という状況に置かれていることになる。
 弾かねば損なので弾くしかない。
 いいのかそんな消極的な理由で。ギターってのはもっとこう……これ一本で東京で生きていくぜ!! とか、陰キャならロックをやれ!! みたいな情熱をもって始めるものではないのか。

 それに……楽器に習熟するための訓練というのは……つらく、きびしい。幼年期にピアノを習っていたが身につかなかったことからもそれは明らか。
 それに、ギターにはFってヤツがあるんでしょう? 知ってるぞ、みんなFで諦めていくんだ。しかもFってコードはいろんな曲にホイホイ出てくるから避けては通れない門番みてえな奴なんだ。

 とはいえだ、いくら門番が手厳しくっても、何か楽しみようはあるはずだ。
 beatmania 2ndMIXだって初心者はhouseが越せないわけだけど、DJ BATTLEで回避すればRAVEとかもプレイできるわけじゃん? まあ最終的にhouseができないと楽しみがだいぶ制限されるわけだけど、houseを恐れてコインを入れないのはもったいないと思わない?
 しかも5鍵ビーマニと比べて、ギター所持者は3億倍くらいいるわけでしょ。インターネットには何らかの知見があるはず。
 そうして俺は次のwebサイトにたどり着いた。
 なるほどCではなくGを基本にせよというのは納得感がある。G→Em→C→Dの循環コードはよく使われるわりに押さえる難易度が低いのでコスパが良い。これだけでスタンド・バイ・ミーが歌えてしまうとのことだし、なにより循環コードを順番にやってるだけで「なんか弾けてる感」が出るので楽しい。

 ではこれだけでどこまで戦えるかコード譜をさらってみる。
 「G・Em・C・D以外のコードが出たら即終了メドレー」はどのくらい間を持たせることができるのか!?
 J-POPは全体的にコードの展開がせわしないイメージがある。できるだけ起伏が少なそうな曲を中心にさらっていった。そして目に留まったのがシンジ・タニムラであった。

[Em]つかみかけた [D]熱い[Em]腕を
ふりほ[G]どいて [D]君は出てゆ[Em]
わずか[D]に震える 白い[G]ガウンに君[Em]
年老[D]いた 悲しみを見[Em]
Em D G

チャンピオン // 谷村新司 U-Fret
 よく見るとCすら使っていない。サビまで来るとBだのF#だのというよくわからん奴が出てくるが、たった3つのコードで弾き語りの気分を味わえてしまうというのはコスパが良すぎるとしか言いようがない。切り替え頻度もJ-POPにしては緩やかで助かる。シンジ・タニムラを信じろ。

 これにCを加えて、コードの切り替えを素早く行う訓練を繰り返すと、なんとTHE虎舞竜の『ロード』がサビまで全部歌えてしまう。全部って第一章から第十三章まで!? そんなワケあるか常識で考えろ。
 だいたいストリートミュージシャンじゃねえんだから、一曲まるごと誰かに聴かせるシーンなんてないでしょ。自分が歌いたくてかつ弾けそうなパーツだけ探していけばいいんだよ。


 こうして練習してみるとEmは本当にコンボパーツとして有能なやつで、押さえるのがすごく楽なうえに頻出するので助かる。Em→Cの切り替えをしているだけで「どっかで聴いたなこれ」という感じが溢れてくる。
 たとえばEmをジャン……ジャン……とゆっくり鳴らしているだけで『シャドウのテーマ(FF6)』の口笛が出てくるし、逆に熱情的にデンデデッデデレデンデデッデデレとかき鳴らすと途端にヘエーエ エーエエエーな気分になってくる。

[Em]ヘェーラロロォールノォーノナーァオ[C]オォー
アノノアイノノォオオオォーヤ
[Am7]ラロラロラロリィラロロー[Bm7]ラロラロラロリィラロ
ヒィーィ[Em]ジヤロラルリーロロロー
Am7 Bm7

熱情の律動 // 伊藤賢治 chordwiki
 Bm7がまだ難易度高いが、Dに変えてごまかせば全然行けちゃうのである!! いや誰向けの情報だよこれ。


 総じて、触って半月でもう弾き語りの真似事のようなことができてしまうのは、ピアノでは考えられないハードルの低さであると感じている。たとえばAm→Dm→Eの3つだけ覚えて、これを激しくかき鳴らすことでテツ&トモを召喚できるというのは広く知られるべき情報であろう。

 コードを覚えるのは大変そうに見えたが、正直言ってきれいに押さえて鳴らすほうがはるかに大変なので、今のところ問題になっていない。
 むしろ「Bmが鳴らせるようになればアレも弾けちゃうな……」みたいな感じで沼がいくつも口を開けているため、コードを覚えるモチベーションは無限に供給されていく。でもまだCがきれいに鳴らないしぃ……G→Dの切り替えも早くできるようになりたいしぃ……
 
 そういう「できないことができるようになる」っていう達成感が、他の楽器に比べると序盤から細かく配置されている感がある。
 さらに言うと、今の俺から見て「どう考えても押せねえだろ!」というようなコードもゴロゴロしてるわけだけど、べつに押せないなら押せないで、最低限の弦だけ押さえて逃げる方法もある。音ゲーだって見逃しpoorをいくつか出してクリア安定を取ることあるしな。

 俺には「あの曲を通しで弾けるようになりたい!」というような具体的なモチベーションがないのが逆に良いのかもしれない。何もわからない。俺は雰囲気でギターを練習している。ギターって雰囲気で練習していいんだ!