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◆不定期日記ログ◆

■2024-01-31 火曜日のよふかし
 『よふかしのうた』が最終回を迎えた。
 すまんな、サンデーうぇぶりで追っていたのでみんなから話題が一週間遅れているんだ。ゆるせ。
『よふかしのうた』 コトヤマ | サンデーうぇぶり
https://www.sunday-webry.com/episode/3269754496548997902
 去年の11月、クライマックスを前に全話無料……あのゴールデンカムイがやった最強のサービスを、この作品がやっていると聞いた。作品の名前はサンデーうぇぶり内でちょくちょく見ていたので、俺は試しに読み始めた。

 以前、ネットの片隅で誰かが「最終目的が『人間関係』であるお話に興味が持てない」と言っていた。俺はその思想に深くコミットした。主人公と誰かが深い絆を築く、誰かとの溝を修復する、それはとても感動的なことだが、それは何らかの目的を果たした結果そうなっていて欲しくて、それ自身がゴールになっていそうな話には俺はハマることはないだろう。そういう自覚がある。

 で、このお話はもう最初っから「僕が七草ナズナに恋をするための物語だ」って言っちゃってる。にも関わらず読むのを止められなかったのは、ここに吸血鬼の要素がからんでくるからだ。

 モンスターの中で最も魅力的だったのは自分の場合、やはり“吸血鬼”だった。ダークな貴族の背景とファッション的にカッコイイのが吸血鬼入門のきっかけ。そして何といっても彼らはルールに従って生きている所が、知的な美学につながっていてシビれると感じたのだ。

荒木飛呂彦 ジョジョの奇妙な冒険3(集英社文庫) あとがき
 この作品の吸血鬼には独自設定が多い。吸血で眷属を作るには相手を惚れさせる必要があったりとか、逆に惚れてしまった人間から吸血してはいけないとか、そういうルールが出てくる。本編で明言されているわけではないが、総じて「吸血鬼は恋愛強者でなければいけない」という美学で暮らしている種族のように思えた。

 そこに恋愛をめんどくさがってる吸血鬼のナズナちゃんと、LikeとLoveの違いが全くわからないけど吸血鬼になりたいコウ君が置かれて、ほかの吸血鬼の皆さんと関わりながら徐々に「吸血鬼って何?」という謎に迫っていく。
 お話は基本的に吸血鬼のみなさんが起こす事件を軸に進むので、サスペンスの文脈で読んでいくと、「吸血鬼って何?」っていう謎がシームレスに「恋愛って何?」っていう話に繋がっている、というか、重なっているのに気付かされる。恋はスリル・ショック・サスペンスが真であるとき、その逆もまた真か? 真なのである。
 このコトヤマ先生の発明により、俺のような読者でもラブストーリーを摂取することが可能になったというわけだ。

 お話のテンポもサックサクで、高速でボケが応酬されるコメディパートとか、誤解からスタートする敵対関係がもう次の話で解消しているカラッとした感じとか、令和って感じがする。すれ違わないし、話せばわかる。気持ちが良い。
 あと全編にわたって「退廃的なお姉さんから『少年』って呼ばれて面倒ごとに巻き込まれてぇ~~」という性癖に満たされているのもよかった。探偵さんの登場から末路まで完璧だったな……。探偵さん編からグッと面白くなったと思うので、アニメ2期やってほしいですね。YOASOBI「夜遊び」のタイトル回収をするならココやで!