Oneside Flat Web

◆不定期日記ログ◆

■2022-05-31
Better Days
 ワイフが突然ベタを買ってきました。
 ベタというと読者諸兄は「バナナを踏んで滑る」とか「横から何か言われてコーヒーを吹く」とか「ミステリアスな転校生がやってきてなぜか自分の隣の席が空いている」とかそういうことを連想すると思いますが、ベタは観賞魚です。ベタからベタなことを連想すること自体がすでにベタな展開なので、このくらいにしておくのがベターでしょう。

 ベタについて調ベタのですが、ベタは観賞魚である前に闘魚であり、その源流はタイにあるそうです。したがってオスのその美しいフォルムは、華やかな社交界で花開いたものではなく、ギラギラに鍛え上げたムエタイ闘士のそれなのであります。
 品種についてはよくわかりません。ケースには「トライディショナル・ベタ」と書かれていました。つまりそれってベタなベタ……ってコト?
bettafish
ベタなベタ
 ベタはつがいでやってきました。あわよくば繁殖のようすが見られるかなと期待をしていますが、しかし繁殖モードに入るより先に、ムエタイファイトによってメスが死んでしまうのは避けたいところです。
 そのためワイフが暫定措置(ベータ版)として水槽を仕切りました。オスはガラスの向こうのメスの姿を見て、鍛え上げられた肉体を誇示し、そして水面にたくさんの泡を生成しています。よくわかりませんが、この泡がベタ社会での求愛行動のようです。


 そして話は突然『シン・ウルトラマン』のネタバレに踏み込みます。
 実はこの『シン・ウルトラマン』、どういうことか多種多様な性癖が過積載されておりまして、巨大女フェチ、体臭フェチ、長澤まさみにケツをひっぱたかれたいフェチなどの強力な欲望がスクリーンに結実しています。巨大女とかだいぶ尖ったところを攻めてきたな……と思ってたらこれは原作再現要素だったらしく、これらの描写の是非については混迷を極めています。

 そして、作中で屈指の存在感を放つ山本メフィラス耕史のセリフの中に、「女性の体臭を嗅ぐという変態行為」を糾弾するというものがあり、今回ネタバレを書いてまでお話したいのはこの部分についてなのです。


 なぜおまえが人類の「変態行為」を理解しているのか?
 おまえたち上位存在にとって、我々人類の知性など取るに足らないものなのではないのか?
 ウルトラマンが現生人類の体臭を嗅いだとして、それは我々人類がネコを吸ってキマっちまってるようなもので、そこに変態性を見いだして煽るのはおかしいのではないのか?
 俺がベタの作った泡の層を見て「よくわからんけどこれが彼らの愛の形なのだなあ」と思っているように、IQ10000の外星人も現生人類の性愛を、その中でも特に尖った例を理解することは……

 ……いや、そういえばあったな。
 メフィラス星人は、巨大女パートのあと、地球に「巨大女フェチ」というジャンルがあることを学んでいました。そこからの流れで彼は現生人類のもつあまねく変態行為を学習していた……ということに違いありません。ちゃんと作中で説明されていた。そのための巨大女だったのか。

 「異文化を愛する」……言うはたやすいことですが、その文化のもつおぞましい性癖まで含めて理解しようという態度をとれる人がどれだけいるでしょうか。メフィラス星人、なんてガッツのあるやつなんだ。

 ベタがうまいこと繁殖するかどうかはわかりません。仮に増えたとしても、我々はすでにねずみ5倍増える事態を乗り越えています。そういう覚悟をもって観賞魚飼育にあたっていきたいと思います。