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◆不定期日記ログ◆

■2018-12-26
聖なる夜の映画事情
 今年中に観ておかなければと思っていた『カメラを止めるな!』を観た。まず観る予定のない人のためにネタバレを含む説明をしておきたい。

 冒頭からいきなりゾンビ映画が始まる。ゾンビ・サメ・ナチスといえばB級映画題材の御三家と言われているが[誰によって?]、そこにさらに「どうやらカットなしの超長回しで撮っているらしい」というトンチキ要素が加わり、さらにカオスになっていく。
 そして「いくらB級映画とはいえこのクオリティはどうなんだ……?」と疑問を抱かれつつ、30分程度のゾンビ映画は終了する。いくつもの不審な点を残して。

 そこからの残り時間で、この「全編ワンカット生放送ゾンビ映画」という企画がどうスタートしてどう撮影されたのか、その壮大なメイキングが明らかになる。さまざまなトラブルがふりかかった末に、冒頭の映画はあのようなクオリティになった。そういう「答え合わせ」の爽快感と、なんとか作品を完成させたメンバーの結束や家族の絆がにじみ出ることで、最終的になんかいい話になっているという不思議なメタ映画だった。

 そして我々は勇気を得た。地雷を踏み抜く勇気である。
 具体的にはクリスマスの深夜にあえてこれを観るという勇気である。

『フランケンジョーズ』2016年
1942年。第二次世界大戦の劣勢を打破する為、ナチスが極秘に開発していた生物兵器が破壊され、この失態でドイツは敗戦した。そして、現代。海辺の小さな町に突如巻き起こった鮫の襲撃騒動。町民は鮫退治に乗り出すが、彼らが見たのは世にもおぞましい人造生命体フランケンジョーズだった!

フランケンジョーズ(Prime Video)
 もう酷い。あらゆる点がB級どころか映像作品としてのクオリティに達していない。
 そのクオリティの低さたるや、観ながら「絵が来た」「バグったHavokでもここまで酷くない」「がんこちゃん動かす人って凄かったんだな」「スパロボ風に殺すな」「役者さんもどこ見てビビッていいかわかんなくなってる」「クライマックスくらい腹から声出せ」と思う存分ツッコむことができる。

 そして『カメラを止めるな!』を観たばかりの俺には、こんな作品でも、その裏側にはさまざまなトラブルや障壁があったことが想像できてしまうのだ。きっとCG班が事故ったんだろう。演技指導の人がハッパでラリっていたのかもしれない。エキストラを現地調達した可能性もある。これだけ酷い作品が、それでも完成してしまったというのだから、よほど酷い状況と、それでも消えない情熱があったのだ。

 『カメラを止めるな!』を観て良かった。おかげで世界が輝いて見える。でもフランケンジョーズ、おまえは臆面もなく続編を匂わすのをやめろ。いくらなんでもそこまで心を広く持てない。