Oneside Flat Web

◆不定期日記ログ◆

■2014-07-29
7月のあいりさん
 あいりさんは前にも増してとにかくミルクを嫌がる。
 飲まないわけではないんだが、哺乳瓶をくわえながら泣きわめくこと十数分、ようやく飲み始める。
 気持ちはわかる。食べ物を消化するのはしんどいしめんどくさい。ワカル。あいりさんはヘソの緒から栄養が送られてくる状態をご所望である。できるなら俺もそうしたい。
 だがこの腐敗した世界に堕とされた以上、消化は避けられぬさだめ。父は容赦なく哺乳瓶をぶちこみ続けるのであった。

 あいりさんは生後三ヶ月まえに早くも寝返りを習得してしまった。ハヤイ。ハヤイすぎる。もしあいりさんが小早川秀秋だったら徳川家康もビビって脱糞するレベル。スキルツリーがおかしい。
 残念ながら片道しかできないので、夜中にフートンに顔を半分うずめて呼吸困難になっていることがある。注意してたびたびひっくり返さないといけない。フートンがふかふかな冬だったら命の危機だ。ただ、首がすわりつつあるのであまり心配はしていない。

 あいりさんは夜泣きはあまりしていない。むしろ一度寝付くと全然起きない。まれに「ギャァ」と悲鳴を上げて起きることがあるくらいで、夜9時から翌朝5時くらいまで安定して寝てくれている。
 起きてしまったときは、おそらく前世の悪夢でも見たのだろうと判断し、抱っこしながら落ち着かせる。前世は確率的にプランクトンか何かだと思うので、「あいりさんはもう人間なんやで、プランクトンやないんやで、いわしは怖くないんやで……」と語りかける。そのうちいわしどころか、いわしを食べるまぐろですら、あいりさんは食べられるようになるのだ。マグロ、ご期待下さい。

 あいりさんはずいぶんおしゃべりになった。ごきげんなときはだいたい「あー」とか「うー」とか喋っている。面白いのでリピートする。
 こうしてあいりさんのパーフェクト喃語教室が開かれるのだが、ときどき明らかに「こんぶ」とか「塩分」とかシーライフに関わる単語を口走るので、やはり前世はプランクトンか何かだったのでは?父は訝しんだ。

 以上、生後三ヶ月を迎えたあいりさんの記録。