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◆不定期日記ログ◆

■2012-08-09
おおかみこども
 『おおかみこどもの雨と雪』を観てきた。
 若干ネタバレ気味に感想を記す。



 序盤の雰囲気が醸し出すバッドエンドの予感が凄い。
 出産→孤立無援→引っ越しの流れでもうバッドエンドの要素しかなかったのに、いつの間にか何とかなってて困惑した。何とかなっててよかった。

 普通、いくら特殊な状況でも、最悪の結末を迎えるよりは誰かを頼る。
 しかしこのお話の序盤はそれをしない。あえての孤立無援。不安ばかりが募る。

 物語が、成長した娘の口から語られている設定なのでやむを得ないのだろう。
 ワーウルフであることは先祖代々の秘密だとお父さんがさらっと言っていた。
 お母さんはこれを決死の覚悟で守ったのだ。
 子どもがワーウルフであることを明かせば、簡単に支援は得られるだろう。
 だが先祖代々続いてきたものは守らねばならない。スティールボールランで言っていたので最重点項目だ。

 だからきっとお母さん視点での物語だったら、「この伝統を受け継ぐかどうか」で悩み抜く姿が延々と描かれただろう。そして娘の語りにその描写がほとんどないということは、まだ娘にはその話をしていない、娘はその決断を迫られていない、ということだ。
 個体数的に考えると、狼の一族の未来はあまり明るいものではなさそうだ。お母さんの覚悟は、きっと次代には引き継がれないのだろう。
 ところで狼と娘って似てるな。『サーキットの娘』を作った奥田民生は天才だな。