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◆不定期日記ログ◆

■2010-01-30
カタカナ表記のジレンマ
 「Twitter」のカタカナ表記は「ツイッター」「トゥイッター」か?
 これはもうほぼ前者で統一されており、公式もそうしている。
 以前、一部マスコミで「トゥ」の表記が使われ、にわかに議論が巻き起こった。

 発音記号からアプローチしてみる。
 調べると「Twitter」の「twi」の発音は、「twin」「twist」のそれと同じとされている。
 「ツイン」「ツイスト」という表記が浸透している以上、「ツイッター」という表記は妥当といえよう。

 これだけなら問題はない。
 だが、同じルールを適用していくと、「twinkle」が「ツインクル」になる。
 認めたくないが仕方ない。
 正しいかどうかより、統一されているかどうかのほうが編集者にとっては重要だ。
 「ツイッター」の優位性を立証するために、大きな代償を払うハメになった。

 同じアプローチをしてみると、
 YouTubeの「Tube」もiTunesの「Tune」も、「チューリップ」の「チュ」なので、
 「ユートゥーブ」「アイトゥーン」という表記にはならないことがわかる。
 発音記号で判断する方法は、お手軽でそれなりに説得力があって良い。


 さて、うっかり「desktop」を「ディスクトップ」と言ってしまう人を高齢者を中心に見かけることがある。
 発音記号を見るまでもなく、「デスク(desk)」の「デ」なので、誤りである。
 しかしこの問題、そう単純ではなさそうだ。

 「desk」とは違う発音になるが、「デジタル(digital)」の「デ」が諸悪の根源ではないかと思う。
 この「デ」、一見「ディ」でよさそうだが、発音記号が同じ単語をほかに調べると、「デリシャス」「デリバリー」「デメリット」などそうそうたるメンバーが並ぶ。
 完全に「デ」の勢力下に入っているように思われた。

 だが、あきらめずに同じ発音の単語を探していくと、
 「ディナー」「ディスペンサー」の「ディ」がひっかかってきた。
 「デジタル」に倣うなら、「デナー」「デスペンサー」になるところだ。
 さらに「ウォルト・ディズニー」の「ディ」までもが同じ発音だった。
 つまり「デズニーランド」を駆逐すると「デリシャス」「デリバリー」などを巻き添えにしてしまう。これはかなりのディメリットだ。←駆逐

 したがって「デ」と「ディ」の統一をはかるのは難しく、まったく関係ない「デスクトップ」がそのあおりを受けてしまう事態は、簡単には改善されないと言える。
 このジレンマはしばらく続くだろう。


 余談だが、この「ジレンマ(dilemma)」がちょっと不思議だ。
 これも「digital」と同じ発音の「デ」だが、「デレンマ」でなく「ジレンマ」になっている。
 これの語源は「ふたつの仮定や前提(di-lemma)」らしい。
 ラテン語の2(ジクロロベンゼンの「ジ」)を示すときは「ジ」になったのだろうか?
 さらなる表記の揺れを見つけてしまった。