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◆不定期日記ログ◆

■2009-06-03
達人の来訪
 芸術の頂点を極めたパティシエ!
 世界に認められた才能!

 スイーツ好きの日本人でその名を知らぬものはない。Wikipediaの記述だけでもこれだけの輝かしさを誇るフランス人パティシエ、ピエール・エルメ
 PIERRE HERME PARIS公式サイト

 そのピエール・エルメが、静岡に来るらしい。
 静岡にっていうか、


 俺の実家に。


 え?誰が?


 ムッシュ・ピエール・エルメが。


 ちょっと待てー!!
 どういう事だー!!



 オヤジの知り合いのYさんっていう人がいてその友達のKさんが料理雑誌の編集をやっていて以前にもエルメ氏の「和素材の生産現場を見たい」というオファーに応えて生産農家を紹介したことがあり今回は日本茶ということでYさん経由でお話が……
 
 ……もういいわかった、とにかくいろんなミラクルがあったんだな!
 この時点で俺は完全に部外者にもかかわらず、野次馬根性で取材の様子を見にいくことを決意していた。

 
 あいにくの曇天の中、取材班が大きな車で到着。
肖像権に配慮して遠目から
ほ、本当に取材している!
 あれがエルメさんか、と思った人影は通訳の人だった。
 だがこの通訳の人の正体はピエール・エルメ・パリ日本支社のリシャール・ルデュ代表であり、本家トップと日本のトップが揃ってやってきたことになる。
 いつもならここで気の利いた比喩を探すところだが、それすら全く不可能な筆舌に尽くしがたい状況である。

 エルメさんはメチャクチャでっかい人だった。
 このでっかい体があの繊細なマカロンを作っているのか。想像できん。
 
 オヤジと次兄が彼らを畑へ連れて行き、茶づくりのいろはを講義した。
 講義ってお前。
 “現代パティスリーの王”ピエール・エルメに講義って。
 どういう状況かわかってんのかよオヤジ! 

 心配するまでもなくオヤジは平常運転だったし、極めて特殊な状況でありながら、他の連中も平常運転な実家だった。部外者である俺は、カメラマンの人を茶園に案内したり、山里の風景を撮るのに協力したりと暗躍した。

 こんな俺にも、エルメさんは最後にMerciと言って握手をしてくれた。
 驚くほど柔らかい手だった。
 荒木飛呂彦が「達人ていうのは、柔らかい手をしていなければならない」と書いていたが、食材の生産過程まで理解しようというお菓子の達人の手は、なるほど赤子のように柔らかだった。

 最後に、下宿に帰るついでに、この山奥から高速道路のインターまでの近道を通って取材班を先導。
 部外者なりになんとか役目を果たしたぞ、という満足感とともに下宿へ。
まかろん
頂いたマカロン
 ああああ!!俺マカロン喰い忘れた―――!!!