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■2013-01-19 : 朝活
 あなたは重い荷物を載せた台車を押すことになった。
 進もうとすると、かなりの力が要る。
 そのうち台車はゆっくりと動きだし、滑らかな床を進んでいく。
 こうなると慣性のおかげで、それほど気張らなくても台車は進む。
 だが、そのとき目の前にボールが転がってきた。
 すぐに止まろうと思うと、またかなりの力が要る。
 これも慣性によるものだ。


 夜間の照明に苦労しなくなった現代においても「早起き」が美徳とされる理由の一つがここにある。
 すなわち、冒頭の慣性の法則めいた「起きるという決断にも寝るという決断にもかなりのエネルギーが要る」という理屈で、決断的に早起き、ひいては早寝できる精神はすばらしい、ということである。
 これが、一時間早く出社して仕事を始める奴のほうが、一時間遅くまで残って仕事をする奴より偉いという価値観となる。

 だが実際は、多くの場合、追加の報酬は「遅くまで残った奴」のほうに支払われる。
 朝早く出てくる奴は、あくまで個人の判断で出てきているのだと判断される。
 先ほどの価値観からすれば、どう考えても逆でないとおかしい。
 最近、仕事の関係者の口からいまさら「朝活」という言葉を聞いて辟易した。管理職の立場からそれを勧めたら、要するに「無賃労働せよ」と言っているようなものではないか。
 無賃労働させられるから早起きが美徳とされているのか?
 だとしたらずいぶん露骨なプロパガンダだと思う。残業同様の厳格さで時間外手当を適用すべきだ。

 「早起きは三文の得」と言うが、それで得をするのは誰か、しっかり考えておきたい。
 まあ残業代が存在しない俺にとってはどっちでも同じなんだけどね。

Quiz-Authentication 2.255

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