Oneside Flat Web

生きもの地球奇行・台北天国

桃園空港
 娘氏の初めての海外旅行として、我々一家は台湾へと向かった。例によって旅程は台湾渡航5回目のワイフが全部決めてくれた。台湾にはスギもヒノキもないので花粉症の薬は全部置いていった。以下、行ったところや食べたものを記録しておく。

 桃園空港は前回訪れた7年前とはすっかり変わっていた。とりあえず何か食べたい時間帯だが、前回はチャイナエアラインの機内食ですでに胃腸がもたれていたので、最初の食べ物は無理をしないほうがいい。
SUBWAY
 空港にはお馴染みのSUBWAYがあったが、あの複雑怪奇な注文を異国でやる自信がない。しかしワイフは決断的に注文に挑み見事「意大利經典 -Itarian BLT-」を購入した。味は日本のものとまったく違っていた。もう俺の胃腸を強制的に台湾に合わせていくしかない。

台北メトロ
一卡通(iPASS)
 空港で台北のSuicaこと悠遊卡(EasyCard)を購入しておく。なんかやけにカワイイだが、これ一枚で台北のだいたいの交通がカバーできる……と思ったらこれ悠遊卡じゃない。一卡通(iPASS)と書いてある。空港で売ってるってことは台北市内で使うぶんには問題ないのだろう。念のためワイフが調べるとどうやら南部で使われ始めたカードで、つまりSuicaに対するICOCAみたいなもんらしい。この7年で交通系ICカードもだいぶ変化したようだ。
 もうひとつのコインめいたものは、一卡通の区間外である空港-台北間の運賃がチャージされたプラスチック片である。紙の切符は無く、ICカードを持たぬ者は自販機で目的地までの運賃がチャージされたコインを買う仕組みになっている。今調べたら桃園機場捷運も一卡通の区間に含まれているため、何故このコインが必要だったのかわからなくなったが、そもそも7年前は空港までの鉄道も無かったのでいろいろ変わってるんだろう。
 
 台北の地下鉄に子連れで乗っていると、ほぼ100%声をかけられ、席を譲られる。やさしみ……。なお、子どもの運賃は身長が規定以下ならば無料となる。その判定は改札のセンサーの高さで行われているようで、抱っこで通ると容赦なく警告音が鳴るので気を付けて欲しい。

華山1914文化創意產業園區
華山1914文化創意産業園区
 ホテルのそばにあり、チェックイン・チェックアウトの時間調整におおいに役立った。日本統治時代の酒造工場を商業施設にリメイクしたもののようだ。赤レンガ倉庫みたいなもの?
 初日はここにある木のオモチャを扱うお店に行き、プレイスペースで娘氏を遊ばせてチェックインの時間を待った。英語をしゃべる子と一緒になったが、娘氏はいつもの無軌道な社交性を発揮しなかった。あとで 「日本語きらわれたら英語でおこられるかもしれないし……」とよくわからないことを言っていた。

 宿泊したホテルは八徳路電気街の片隅にある。PCのお店が並ぶサイバーな区域で、PC自作野郎にはお馴染みの名前が並んでいる。自作ガチ勢ではないが実家のような安心感があった。

士林観光夜市
 前回も行った夜市。駅から降りてしばらく歩いたら、前回泊まった圓山大飯店が夜空にド迫力で浮かび上がってきたので、我々は逆方向に歩いていたことを確信した。ありがとう圓山大飯店。
 
士林観光夜市
 娘氏はここで金魚すくいに興じた。紙ではなく網でプレイするモードがあり、腕に関わらず景品が貰える。娘氏は弱った魚を帰してあげるなどの優しさを見せていた。
 ところで、この漢字しかない国にやってきて初めてわかったんだけど、どうやら娘氏は小学1年レベルの漢字がいくつか読めているようだ。教えてないのに身に付くものなんだな。

台北市立動物園
 台北市の郊外にある、台湾でもっとも歴史の古い動物園。パンダがいる。
 
台北市立動物園
 パンダ館は休日で快晴ならばかなりの人が並ぶと思われ、待ち時間の表示や整理券の情報があった。しかし今は雨の平日でありまったく人がいない。パンダは当たり前のようにそこに寝転がっている。一切の出し惜しみがないパンダがいる。あとコアラもいる。パンダとコアラについては肉眼でとらえるのは初めてのような気がする。
 
 動物園はかなり広いので一部しか見てこなかったけれど、普通に周囲の植生が南国なので、ある意味植物園としても鑑賞できる。動物の展示にも新鮮みが感じられて2倍おいしい。
 また、園内に当たり前のようにセブンイレブンやマクドナルドが出店しているため、軽食には困らない。とても便利なので日本の動物園もコンビニエンスしてほしい。
 娘氏は、爬虫類館で現地の子が亀に超ビビッて泣き出したのを見て、自分もつられて完全におっかなびっくりになってしまい大変だった。

十份
 君たちはフェリーターミナルで有名なハチノヘの先にクノヘがあることを知っているか? それはつまり、前回行った九份の先にも十份が存在するということに他ならない。
 先と言ってもジャングルめいた渓谷を電車で進み、本当にこんなところに人が住んでいるのかッ!? となったあたりに存在する、本当に小さな観光地である。ここまで来るとさすがにiPassは使えず紙の切符となるが、EasyCardは使えるらしかった。
 瑞芳駅から先は本数が限られるので、時刻表を撮影しておこうと思ったら堂々とQRコードだけが掲げられていて驚いた。ここまで電子化が進んでいるのかッ! と思ったら反対側にはちゃんと時刻表があった。でも便利なのでQRコードから画像をダウンロードしてスマホンに入れた。
十份
 ここは線路上から紙風船を空に放つアクティビティが有名だ。風船には色ごとに「健康運」とか「仕事運」とかが設定されており、そこに墨で願い事を書いて飛ばすのだ。さまざまなよそ行きの願いがさまざまな言語で書かれて飛ばされていく。高く飛んで曇り空に消えていくものもあれば、近くの山に吸い込まれていくものもある。娘氏は「くものかみさまと、やまのかみさまがいて、グループごとにわかれているんじゃないかなあ?」と独特の世界観で理解していた。
 我々も風船を飛ばした。俺は健康運を意味する赤い面に力強く「BMI20」とショドーした。娘氏は「げんき」と書き、ワイフは「風邪ひかない」と書いた。ワイフはその2日後、風邪にたおれた。

饒河街観光夜市
 松山慈祐宮というド派手なお寺のそばにある夜市。日本の商店街のお祭りに近いレイアウトで歩きやすい。
松山慈祐宮
 ゲームセンター内のトイレを借りたついでに、娘氏でもできそうなメダルゲーを遊んだところ、筐体から何か切符のような紙片が大量に連なって出てきた。別のゲームでは娘氏が大当たりを引いたらしく、100枚以上の紙片が延々と出力された。俺はあっけにとられる娘氏を指をさしてめちゃめちゃ笑った。
 笑いながらゲーセンのカウンターのお兄ちゃんに「What's This?」と聞いたら、お兄ちゃんはそれをカウンター上の機械にズルズルと吸い込ませて、「153点」と書かれたレシートと引き替えてくれた。点数は景品と引き換えられるようだ。我々はキティさんのボールペンを入手してゲーセンを後にした。
 どこの夜市に行っても謎の麻雀ゲームが行われている。調べてみるとこれは「麻雀ビンゴ」とでも呼ぶべきもので、ランダムに15個の牌を引いて盤面の指定位置に並べ、縦か横が揃ったら景品が貰えるというゲームのようだ。ルールさえわかっていれば言葉がわからなくてもプレイできる。残念ながらビンゴには至らなかったが、リーチ(テンパイ)になるとさらに追加で3つの牌が引けるという激アツシステムだった。

 娘氏は「夜市おいしいもの食べたり楽しいことやったりしておもしろいじゃん。だから夜市まいにち夜いくことになるの。」と大変にお気に入りになったようだった。まあそうだよな、常にお祭りやってるようなもんだもんな。

台北市兒童新樂園
 台北市の都心からほど近いところにある公立の遊園地。
台北市児童新楽園
 士林駅からバスで行く予定だったがバス停の場所がよくわからなかったので、てっとりばやくタクシーを使った。娘氏は「初めてタクシーにのったのでドキドキしている」と言っていた。
 なんとこの遊園地、EasyCardでアトラクションに乗れる。我々のiPassは非対応だったのでとうとうEasyCardを買った。一枚あればそれを複数回タッチすることで人数分カバーできる。それとは別に一日券もあるが、身長が110cmにならないと乗れるアトラクションがかなり限られるので電子マネーで正解だった。

 ゲームセンターらしきところが複数あり、そのうちのひとつ(改装中だった)には堂々と「VR 虚擬王國」という看板が掲げられていた。ヴァーチャルのことを力強く「虚疑」と断言する姿勢は好感が持てる。
 室内遊技場は予約が必要だが、予約マシーンのタッチパネルを操作するだけで簡単に予約はできる。娘氏は遊具とボールプールで最高になった。ただ遊具の上の方のパートに行って降りられなくなって泣き出したのには参った。日本なら近くのオニイチャンやオネエチャンにお願いすることもできようが、ここでは誰も俺や娘氏の言葉を理解できないのだ。(そしてそのわずかな段差がなぜか降りられないのだということも伝わらないであろう)。やむをえず小学生なみの体重を活かして突入し、救出した。
 
 遊技場に限らず遊園地は体操服のような指定ジャージのような服装の小学生の集団が多かった。この遊園地のそばには科学館や天文館が併設されており、市内の小学校の遠足スポットとして機能しているのだろう。ただ月曜に行ったので科学館や天文館は定休日だった。

大安森林公園
 ワイフが風邪に倒れた朝、娘氏がホテルでおとなしくしていてくれるわけがないので、やむを得ず公園に連れていった。幸いメトロを乗り継いで2駅で到着できるのでよかった。
 森林公園とは言っても森林の中にあるわけではなく、市街地にかなり広い面積をとって林を作り出した公園でありマンハッタンのセントラルパークめいたものである。マンハッタンに行ったことがないので無責任なことを言っている。
栗鼠
 なにか足元を走る者がいると思ったらリスだった。放し飼いにされているのか元からいたのか判断つかないがとにかくリスだ。娘氏は小トトロを追うがごとくリスを追ったが、リスはすばやく樹上へ駆けあがり、そのまま枝を伝ってどこかへ行ってしまった。樹上には他のリスもいたのでかなりの頭数がいるのではないか。どうやって個体数を管理しているのだろう。

台北101
 ワールドレコード級の高さをもつ台北のランドマーク。前回の旅行では夜景を見に登ったので、今回は昼間に行ってみた。
台北101(隣駅から)
 前回の旅行では夜景を見に登ったので、今回は昼間に行ってみた。大規模な中国人ツアー客の隙を縫ってエレベーターの列に並ぶ。エレベーターは類を見ない速度で我々を地上89階に連れていく。多少耳が痛くなる程度で、ほとんどGを感じない。
 展望フロアからは相変わらずの絶景が望める。今回はなんと外に出ることもできたが、いかんせんスモッグが酷くて遠くまで見えなかった。台北の大気汚染は相変わらず深刻なようだ。夜に登ったときは気が付かなかった。
 娘氏はこの高さにまったく怯まずに窓際で下を見ていた。パパチャンは「ここからパラセールで飛べば市内観光が捗るのになあ」と思っていた。

食べたものいろいろ
たつーめん
 前回もいったタンツーメンのお店。前回はメニューに「珍しく美味しい(たぶん珍味の意)」などの怪しげな日本語が書かれていたが今回は「たつーめん」だったのでだいぶ尖鋭化している感がある。

ヌガークラッカー
 ネギの入ったクラッカーに謎の白い食品が挟まったもの。スーパーに行くといろんなメーカーのものがあるので、わりとポピュラーな食べ物なのだと思われる。娘氏は1枚食べて「クラッカーにはさまっている、なぞの、白いものの正体がわかったぞ!これは!ソフトキャンディだ!」と言っていた。ワイフによるとヌガーらしい。ほんのり甘く、歯にくっつく。
 ところで同じスーパーに「ㄋㄟㄋㄟ補給站」という商品が売られていた。これは……日本では主に「ㄟ⁰ㄋㄟ⁰ㄋ」に使われている文字ではないか……。そういえば動物園や遊園地にふりがなのようにこれらの文字が書かれているのを見た。つまりこれは繁体字のフリガナのようなものか。調べてみると注音符号といういわゆる発音記号らしい。肝心のㄋㄟㄋㄟの意味はググって即理解したのでそっとブラウザを閉じた。

ありのままのかき氷
 イチゴとミルクとタピオカの暴力的甘味で殴ってくるかき氷。氷が見えねえ。ところで娘氏はタピオカミルクティーのこと「タピちゃ」と呼ぶので通っぽい。なんか今タピちゃ日本で流行ってるんだって?

鵞鳥
 阿城鵝肉店で食べたガチョウの肉。まず油をまぶしたご飯が出てきたがこれがまたしょっぱくて旨い。そして肉。さらに注文したサラダは油とニンニクと唐辛子で炒められ、ほぼペペロンチーノだった。旨いがとにかく全てが油なのですぐお腹いっぱいになってしまう。一食を家族で分けて正解だった。

とうしょうめん
 刀削麺と台湾のスポーツドリンク。刀削麺はほうとうのような歯応えの麺だった。そう言われるとほうとうに見えてきたが、これはトマト味である。

Mr.Tree
 キッズルームのあるカフェというかレストラン「Mr.Tree親子餐廳(大樹先生的家)」のフルーツティーとスムージー。平日の昼間なのでとても空いていた。娘氏はまたしてもボールプールで最高になった。子どもが遊べる飲食店は静岡にもあったがすぐに潰れてしまった。どうしても客の回転率が悪くなるのだろう。せめてもっと注文して客単価を上げてやりたかったが、我々の胃袋には極めて厳しい限界値が設定されているのだ。

最後に
 最終日のお土産購入中に、娘氏がどうしてもガチャガチャをやりたいとぐずった。仕方がないので「日本にもある奴は割高だからダメだよ」と念押しして選ばせた。娘氏が選んだのは「光之美少女 食尚甜心(キラキラプリキュアアラモード)」のガチャだった。……確かにもう日本にはないよなァーッ2世代前のプリキュアのガチャはよォー……。
[Comment]