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◆不定期日記ログ◆

■2023-05-27
岸辺露伴がルーヴルに行ったこと
 映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を観てきました。

 年末に岸辺露伴ドラマの新作が来るたびに「来年は俺たちの受信料でルーヴルへ行け!もしくはアワビを密漁しろ」と言われ続けてきた露伴ちゃん。まさか製作委員会方式でルーヴルに行くとはね……
 そもそもNHKのドラマが映画になるっていうのが特異な例なんじゃないの?

「タイムスクープハンターとか……」
「タイムスクープハンターはドラマにカウントしないでしょ!」
「ドキュメンタリー……ってコト!?」
「要潤は実際にタイムトラベルしていた……ってコト!?」
「ピュアNHK民きたな」

 この作品はNHK発というだけでなく「ジョジョのスピンオフの漫画の実写ドラマの映画化」ということで、もうフィルターが何重にもかかっていて、いったいどんな層が劇場に来るんだって思ってたんですが、老若男女でほぼ満席でした。


 ところで満を持して映画館に来たんですけど、朝から謎の腹痛に襲われていて、上映前にトイレに籠もるはめになりました。
 変なもん食べてないのに……なんだか急にムカついてきたッ!

 なぜ下痢腹のためにぼくがビクビク後悔して『お願い神様助けて』って感じに公衆トイレを探さなくっちゃあならないんだ?
 『逆』じゃあないか?

 どうして『上映中に腹痛に襲われるならシアーハートアタックに襲われるほうがズッと幸せ』って願わなくちゃあならないんだ………?
 ちがうんじゃあないか?

 おびえて逃げ回るのは『下痢腹』ッ!
 きさまの方だァ――ッ!


 こうして俺は『黄金の精神』で腹痛をねじふせ、無事に時間前に指定席につくことができました。以下、あまり多くは語ってませんが、まだ観てなくて観る予定のある人のために畳んでおきます。
 ドラマシリーズ同様、安心と信頼の小林靖子脚本なので、とうぜん原作漫画に肉付けをするだけじゃあなくって、そこに謎の犯罪組織を生やしてサスペンスとしてなじませる。その手腕に舌を巻きました。
 そして俺は原作をぼんやりとしか理解していなかったことを知りました。奈々瀬さんから生活感をまるごと剥奪することでものすごいわかりやすくなっている。奈々瀬さんの生活感がなくなると露伴ちゃんの慕情の味が薄くなるんですけど、そのへんはトレードオフですよね。離婚の話とかするとわけわかんなくなるからね。

 そしてやっぱりルーヴルは美しい。せっかくのルーヴルなんだから、大画面で観たいじゃない……と思って映画館に行く決断をしたんですけどとても良かった。特にいちいち編集の泉さんのリアクションがうるさいのが良かったです。テレビで観たらただの世界ふしぎ発見になってしまうのではないかというくらいうるさいし、それが原作の犠牲者を一人救う形になってるのは「真面目!」って思いました。泉編集の怪異耐性が高すぎる。あとタイトル回収が雑過ぎる。

 さすがに露伴ちゃんが「自分が黒い絵を見たらどうなるんだ」って自分で試しにいくのは笑いました。露伴ちゃんが怪異に首を突っ込んで酷い目にあう姿を毎年観てきたので、もう伝統芸能のような安心感で見守ることができます。そのうちアワビを密漁してほしい。

 これ、岸部露伴を知らない人でも万全に楽しめる作品だと思うんですけどどうなんでしょう。露伴ちゃんはもうジョジョというより「世にも奇妙な物語」みたいなポジションになっているので、ジョジョや原作漫画、テレビドラマシリーズについての知識はまったく必要ありません。
 この映画化がゴールではなく、今後も年末恒例イベントとして末永く展開していって頂きたい。紅白の幕間に寸劇が入るレベルまで行ってほしいです。