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◆不定期日記ログ◆

■2022-06-16 テント・サマー・ストライク
 初めてのキャンプから2年。我々は次のステップに進むことを計画していた。

 これまでのキャンプはすべてコテージ、ないしはでかいテントがすでに張ってある場所での野営であった。
 最初のキャンプでは寝る場所と食材が提供されていた。次からは調理器具および食材もこちらで用意する形にした。となれば次のステップは寝る場所の自給……つまりテントを用意し、張り、寝るという挑戦になる。
 ワイフは決断的にテントを購入した。以前買った行楽用のポップアップテントではなく、1000HPと100MPを回復する完璧なテントである。

 しかし……ここまでの装備が必要なのだろうか?
 俺が娘とサバイバル体験をしている目的は、第一に災害に備えた宿泊訓練である。さすがに住宅から避難所まであまねく建物が崩壊する大災害、ないしは帝国の侵攻による大破壊は想定していない。仮にそういう状態になったときにこのサイズのテントを取り回せるのは第114代ルシス王くらいであろう。
 したがって、でかいテントを運用するのは目的からはみ出している。だが……もはや、電気の使えるコテージで過ごすことではただの外泊と変わらず、我々の冒険心を真の意味で満たすことはできなくなっていた。百万ドルでも時は止まらない。だから行くのさ……。


 装備を整えた我々は、今まで何度か行った近場のキャンプ場へ向かった。なんと天気予報が直前に我々を裏切り、初回から雨の降りしきる中でのミッションとなる。キャンプ場の管理人からも哀れまれた。早くも心が折れそうになるが、雨が降るからこそ屋根を作る意義があるというもの。風がふきすさぶよりはだいぶマシだ。

 ワイフ総指揮のもと、まずはタープとかいう幕を張っていく。柱となる棒が2本と、何本かのロープが骨組みとして用意されている。……ここは3次元宇宙ではなかったか? 3次元宇宙で棒2本……立体を維持するには軸が足りなさすぎるのでは? 話が違う。
 しかしワイフの指示通り地面にペグを打ち込み、棒の先端につけたロープを張ると、なんと2本の柱はたくましくそびえ立ち、多少の風雨に動ずることなしと見えたり。今回は娘氏に棒を立ててもらいながらロープを張ったけれど、工夫すれば一人でこの立体を成立させることも不可能ではあるまい。大事なのはロープのテンションである。今日の紐はね……テンションしてるぜ!

 タープを張れば雨をよけるスペースができる。同様の仕組みでテントも無事張ることができた。最終的な専有面積がよくわからなかったため位置関係がぐだぐだであるが、たいした問題ではない。あとはコテージの時と同様に、クルマからシートと毛布と寝袋を搬入すれば、今回のミッションである住環境の設営は完了だ。
テント
Our New Gear...
 こうしてただ雨の降りしきるばかりだった荒野に、一時間半ほどかけて人の住む場所が生み出された。なんたる奇跡。まるでブック・オブ・ジェネシスに記された神の技である。

 はじめに神はキャンプ地を創造された。
 キャンプ地は形なく、むなしく、雨がおもてを覆っていた。
 神は「柱あれ」と言われた。すると柱があった。
 神はその柱を見て、良しととされた。
 神はまた言われた、「柱の間に幕があって、屋内と屋外を分けよ」。
 そのようになった。神は天幕を張って、雨と外とを分けられた。
 神はまた言われた、「炭と火は一つ所に集まり、かわいた地が現れよ」。
 そのようになった。神は炭火で肉と野菜を焼き、優勝された。

テント
Our New Gear...
 なにげに今回は飯盒炊飯に挑戦している。ワイフ曰く、ナウいキャンパーたちは英語でメスティンと呼ぶらしい。飯盒の「ごう」の字が見慣れないからこういうことになる。
 火にかけると炊飯時間が難しいところだが、これは旅館などで見る固形燃料を使用し、火が消えるまで放置すれば完全に米が炊き上がるようになっているので、何も考えずともチョーウマイ米が食える。もうこれ弁当箱の代わりに職場に持って行ったらだめかな?(火災報知器が鳴るからだめだヨ!)


 翌日は快晴になったため、テント等が乾くのを待って撤収した。撤収のとき雨だったら後日の乾かしミッションが非常に困難なものになったと思うので、ギリギリ晴れてよかった。
 それはそうと関節と筋肉が痛い。テントは一家が寝るのに十分な床面積があったが、それでも無理な姿勢になるのだろう。やはりHPとMPが全快しないのには理由があるのだなあということがわかった。ギルを惜しんでコテージの代わりにテント5つ買って満足してはいけないな。