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◆不定期日記ログ◆

■2022-04-21
箸と平和
 「刺し箸(突き箸)」というマナー違反がある。
 箸を食べ物に突き刺して食べてはならないというマナーだ。

 以前「揃え箸」「渡し箸」についての意見を表明したときも思ったが、「マナー」には「納得」が必要だ。納得はすべてに優先する。
 なのでさっそく「なぜ箸で食べ物を刺してはならないのか」を調べた。どうやら煮物に箸を突き刺して「さあて煮え具合はいかがザマスかァ~?」と試しているようで、料理人に対してタイヘン・シツレイであるかららしい。おばあちゃんが言っていた……神を試してはならないのと同様、料理人も試してはならない、と。

 そうは言ってもだ、箸は明らかにモノを刺すことができる形をしている。これをシツレイなあほのせいで封じられたのは大きな痛手だ。箸のポテンシャルが不当に制限されている。
 あとからマナーを作るくらいなら、あほが煮物検査を始めて料理人にシツレイを働いたそのときに、きっちりそいつの頭に箸を突き刺しておくべきだったのだ。「ケヒャヒャヒャおまえの頭もよく煮えてますねェーッ!!」刺突! 流血! なんたるゴア!

 いや、むしろそういうインシデントがかつて実際にあって、それで「握り箸」――つまり相手を全力で刺すための手の形――がマナー違反とされるようになったのか?
 箸のマナーとは、血気盛んな武士たちが会食に臨む際、互いに敵意がないことを示すために生まれたものなのではないだろうか?

 そういう発想で見ると、欧米がテーブルマナーに厳しいのもうなずける。あいつらは箸よりも丈夫で鋭利なフォークに加え、なんと……抜き身のナイフを使う。ナイフとは肉を切り分けるものであり、お前の隣で飯を食っている人間が突然「これでヒトを切り分けたらどうなるんだろう?」と発想する危険人物である可能性はゼロではない。
 それゆえ、厳しいテーブルマナーで互いを縛り、敵意がないことを表明し続けなければいけなかったのだろう。平和な食卓を囲んでいるとそのことを忘れてしまう。みだりに他人の唾液に触れれば感染症で死に、ウカツな音を立てれば撃鉄を起こす音と勘違いされて早撃ちで死ぬ、そんな食卓が世界にはまだまだあるのだ。

Uの字テーブルの向かいに座った奴といつ喧嘩が始まってもおかしくない、刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供は、すっこんでろ。

Not Found 2001年04月07日
 「マナーがなってない」ということは、「それでも生き延びてこられた」ということなので、我々は平和を見つめ直して感謝しよう、ということなんですね。何の話だ。