◆不定期日記ログ◆
- ■2020-06-28
- お前たちも片道を勇者しろ
本来なら俺が今さらこんなところでこんなことを書く必要はまったくないんですけど、このままではお前たちがあのゲームをスルーしてしまうので、あえて書きます。
あのゲームとはそう、2012年に生まれ、先日ニンテンドースイッチに奇跡の移植を果たしたローグライクゲーム『片道勇者』です。
お前たちの中には「ローグライク」と聞いただけで「エエッあのトルネコとかシレンみたいな死んだら何もかも無駄になるやつ~~?」とか言ってスマホンをもつ親指がもう「戻る」のフリックをしかけている奴がいるのではないかと思いますが、それは完全に腰抜けであり間違った姿勢と言えるでしょう。
確かにローグライクは、きびしい。メキシコに吹く熱風のようにきびしい。しかしお前たちがそうやって忌避している間に、ローグライクというジャンルは大きくその裾野を広げているのです。中にはアクションゲーやカードゲームとゆうごうしたものまであり、もはやジャンル名だけで敬遠するのは現代人のするしぐさではありません。
そんな中「片道勇者」のルールは比較的スタンダードなローグライクであり、トルネコやシレンの経験があれば操作に困ることはないでしょう。しかし思春期にトルネコやシレンの洗礼を浴びたタフな奴らは、別に俺がいまさら長文で主張しなくてもとっくにこのゲームをプレイ済みか、もしくはダウンロードを始めているころだと思うので別にこの先は読まなくていいです。
このゲームのもっともユニークなところ……それはフリーのRPGエディタで組み上げられていること……と言いたいところですがそれはプレイヤーにはあまり関係ないので省略しましょう。もっともキャッチーな部分は「強制横スクロール」であるということです。
この世界は左からじわじわと闇に呑まれて消えていってしまうので、お前は急いで右へ進まなければなりません。とはいえターン制ではあるので、仮にお前が右も左もわからないニュービーだったとしても、コントローラーに触らなければ安全は保証されます。
これによって、ゲームの舞台が閉塞感のあるダンジョンではなく、個性豊かなフィールドになります。草原、荒野、火山とランダムに移り変わっていくフィールド……時には街(というか小屋)やダンジョン(というか小屋)、アクの強いNPCも生成され、お前たちにRPG的な冒険を提供してくれるのです。
ではさっそくその舞台を見てみましょう。
キャラ小っさ……! あ? 今何か言いましたか? ……小さいと!? 確かに画面上のキャラクターが小さいかもしれません。しかしそれは我々トルネコやシレンを思春期に食らった世代がアラフォーとなり、「老眼」という人生の大きな大きな舞台に立ち遥か長い道のりを歩き始めたという残酷な事実を突き付けられたというだけで、ゲーム性になんら問題を及ぼすものではありません。
そもそもお前たちはプレイステイシヨン4とかのAAAタイトルの極小文字に慣れているはずなので、キャラクターの小ささは問題ないはずです。
そしてターン制の冒険が始まります。ところで俺の歴戦の経験が、名作ローグライクの条件として「敵が魅力的なこと」を挙げています。襲ってくるのは野犬とかコウモリとか、親しみやすくはあるけど魅力的かどうかは怪しい連中ですが、時折「名の知れた野犬」や「物持ちのコウモリ」などカオスな二つ名を持つ強敵が出現するのが特徴です。
そんな敵を蹴散らしつつ右へ右へと進んでいくと、わずか数分で魔王が降臨します。魔王は定期的に勇者の前に立ちはだかっては数ターンで帰宅する存在です。当然、冒険を始めたばかりのお前では完全に勝算がないため、アイテムやスキルなどさまざまな「逃げるための手段」をあらかじめ確保しておき、切り抜けなければなりません。
いわばシレンでモンスターハウスに備えて身代わりの杖を温存しておくみたいな状況といえましょう。モンスターハウスと違うのは定期的に不可避でやってくるということで、常に備えとその成果を試されます。
しかしお前はいつまでたっても、闇からも魔王からも逃げ続ける腰抜けでしょうか? いいえ違います。お前は勇者なので、精神的にも肉体的にも成長し、どこかの段階でその「備え」は逃げるための備えから殺すための備えへと変わります。
無事魔王を殺すことに成功すれば闇は止まり、何日も風呂にもトイレにも行かずに闇から逃れてきたお前の冒険は終わりを迎えます(風呂やトイレに行かないとかそういう情報はゲーム中に溢れています)。簡潔なエンディングが流れ、お前は今回の旅で成し遂げたことの総括を見るでしょう。
これが本作のストーリーテリングの核で、道中仲間にしたキャラの親密度が十分に高ければ個別エンドがあったりして、周回が捗ります。さまざまなキャラにさまざまな物語があり、それはあの魔王ですら例外ではない……悪には悪の事情がある……そういったことも明らかになっていきます。
さて、できるだけローグライク忌避勢に伝わるように筆を尽くしてきました。要はこのゲームは「強制横スクロールRPG」であって、ローグライクはその手段にすぎない……頭脳戦艦ガルができなかったことをこのゲームが成し遂げたということです。
公式ページからはフリー版(体験版ではない)がダウンロードできますし、拡張の入ったプラス版も購入できます。ステェームでも買えますし、ちょっとお値段は張りますがニンテンドースイッチ版を買えばテレビモードでも携帯モードでも遊べます。そういえばPS Vitaでリメイクされた奴はどうなんでしょう。改題がカッコ悪かったので触らなかったんですが。とにかく遊びましょう。ローグライクは怖くないです。
あのゲームとはそう、2012年に生まれ、先日ニンテンドースイッチに奇跡の移植を果たしたローグライクゲーム『片道勇者』です。
お前たちの中には「ローグライク」と聞いただけで「エエッあのトルネコとかシレンみたいな死んだら何もかも無駄になるやつ~~?」とか言ってスマホンをもつ親指がもう「戻る」のフリックをしかけている奴がいるのではないかと思いますが、それは完全に腰抜けであり間違った姿勢と言えるでしょう。
確かにローグライクは、きびしい。メキシコに吹く熱風のようにきびしい。しかしお前たちがそうやって忌避している間に、ローグライクというジャンルは大きくその裾野を広げているのです。中にはアクションゲーやカードゲームとゆうごうしたものまであり、もはやジャンル名だけで敬遠するのは現代人のするしぐさではありません。
そんな中「片道勇者」のルールは比較的スタンダードなローグライクであり、トルネコやシレンの経験があれば操作に困ることはないでしょう。しかし思春期にトルネコやシレンの洗礼を浴びたタフな奴らは、別に俺がいまさら長文で主張しなくてもとっくにこのゲームをプレイ済みか、もしくはダウンロードを始めているころだと思うので別にこの先は読まなくていいです。
このゲームのもっともユニークなところ……それはフリーのRPGエディタで組み上げられていること……と言いたいところですがそれはプレイヤーにはあまり関係ないので省略しましょう。もっともキャッチーな部分は「強制横スクロール」であるということです。
この世界は左からじわじわと闇に呑まれて消えていってしまうので、お前は急いで右へ進まなければなりません。とはいえターン制ではあるので、仮にお前が右も左もわからないニュービーだったとしても、コントローラーに触らなければ安全は保証されます。
これによって、ゲームの舞台が閉塞感のあるダンジョンではなく、個性豊かなフィールドになります。草原、荒野、火山とランダムに移り変わっていくフィールド……時には街(というか小屋)やダンジョン(というか小屋)、アクの強いNPCも生成され、お前たちにRPG的な冒険を提供してくれるのです。
ではさっそくその舞台を見てみましょう。
キャラ小っさ……! あ? 今何か言いましたか? ……小さいと!? 確かに画面上のキャラクターが小さいかもしれません。しかしそれは我々トルネコやシレンを思春期に食らった世代がアラフォーとなり、「老眼」という人生の大きな大きな舞台に立ち遥か長い道のりを歩き始めたという残酷な事実を突き付けられたというだけで、ゲーム性になんら問題を及ぼすものではありません。
そもそもお前たちはプレイステイシヨン4とかのAAAタイトルの極小文字に慣れているはずなので、キャラクターの小ささは問題ないはずです。
そしてターン制の冒険が始まります。ところで俺の歴戦の経験が、名作ローグライクの条件として「敵が魅力的なこと」を挙げています。襲ってくるのは野犬とかコウモリとか、親しみやすくはあるけど魅力的かどうかは怪しい連中ですが、時折「名の知れた野犬」や「物持ちのコウモリ」などカオスな二つ名を持つ強敵が出現するのが特徴です。
そんな敵を蹴散らしつつ右へ右へと進んでいくと、わずか数分で魔王が降臨します。魔王は定期的に勇者の前に立ちはだかっては数ターンで帰宅する存在です。当然、冒険を始めたばかりのお前では完全に勝算がないため、アイテムやスキルなどさまざまな「逃げるための手段」をあらかじめ確保しておき、切り抜けなければなりません。
いわばシレンでモンスターハウスに備えて身代わりの杖を温存しておくみたいな状況といえましょう。モンスターハウスと違うのは定期的に不可避でやってくるということで、常に備えとその成果を試されます。
しかしお前はいつまでたっても、闇からも魔王からも逃げ続ける腰抜けでしょうか? いいえ違います。お前は勇者なので、精神的にも肉体的にも成長し、どこかの段階でその「備え」は逃げるための備えから殺すための備えへと変わります。
無事魔王を殺すことに成功すれば闇は止まり、何日も風呂にもトイレにも行かずに闇から逃れてきたお前の冒険は終わりを迎えます(風呂やトイレに行かないとかそういう情報はゲーム中に溢れています)。簡潔なエンディングが流れ、お前は今回の旅で成し遂げたことの総括を見るでしょう。
これが本作のストーリーテリングの核で、道中仲間にしたキャラの親密度が十分に高ければ個別エンドがあったりして、周回が捗ります。さまざまなキャラにさまざまな物語があり、それはあの魔王ですら例外ではない……悪には悪の事情がある……そういったことも明らかになっていきます。
さて、できるだけローグライク忌避勢に伝わるように筆を尽くしてきました。要はこのゲームは「強制横スクロールRPG」であって、ローグライクはその手段にすぎない……頭脳戦艦ガルができなかったことをこのゲームが成し遂げたということです。
公式ページからはフリー版(体験版ではない)がダウンロードできますし、拡張の入ったプラス版も購入できます。ステェームでも買えますし、ちょっとお値段は張りますがニンテンドースイッチ版を買えばテレビモードでも携帯モードでも遊べます。そういえばPS Vitaでリメイクされた奴はどうなんでしょう。改題がカッコ悪かったので触らなかったんですが。とにかく遊びましょう。ローグライクは怖くないです。