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◆不定期日記ログ◆

■2019-10-25
ポケモンがローマ字を拡張する日
 来月発売となるポケモンの最新作に、「ウッウ」なるポケモンが登場するという。

 まず鵜のポケモンを「ウッウ」と命名する力業がすごい。そのうえ魚を射出する特性「うのミサイル」もネーミングセンスが抜群で、ただのパワープレイでないことを思い知らされる。
 だが俺はそれよりなによりこのネーミングにひっかかるところがあった。
 先生! この「ウッウ」ってローマ字でどう書くんですか。


 俺は小学校で訓令式ローマ字を習った日、ただちに「では母音の前に促音が来る場合はどうするのか」という疑問にとりつかれた。
 結局、結論としては「日本語にはそのような言葉がないので大丈夫」ということで、本当にそうなのか、将来にわたって「ない」ことを保証することはできないのではないか、とたいそう不満だったのを覚えている。

 実際、日本語においては母音のア行だけでなく、子音のナ行、ハ行、マ行、ラ行、ワ行の前にも促音は来ない、ということになっていた。
 だが「ゴッホ」や「アッラー」など外来語の出現によってその原則は次々に崩れている。将来にわたって「ない」ことを保証することはだれにもできない。その波がついに聖域である母音に到達したというわけだ。

アシマリ
娘氏のシール帳にみられるポケモンのローマ字表記

 さあ、ゲームフリークがパンドラの箱を開けてしまった。来年の小学生の語彙には「ウッウ」がある。しかもこれは純然たる国産の単語だ。我々は急いで、ローマ字で「母音の前に促音が来る言葉」を表記する方法を決めなければならない。
 さしあたり、ア行のウとワ行(ワヰウヱヲ)のウが同じ文字であることを利用して「UWWU」という表記を考えたが、発音上ふさわしいかどうかは怪しいところだ。
 (……なぜア行のウとワ行のウが同じ文字なんだぜ? 調べてみると江戸時代後期に「于」みたいな字が作られたらしいがすぐ廃れたようだ。)


 それはそれとして、このような形で「うのみ」の語源が子どもたちに伝わるのはとてもよいことだと思う。この調子で「めじろおしポケモン」とかも出してほしい。絶対カワイイぞ。