Oneside Flat Web

◆不定期日記ログ◆

■2016-04-09
『いないいないばあっ!』SF説
 Eテレの『いないいないばあっ!』はSFではないだろうか。
 突然そんなことを考えた。

 子育てクラスタでない人に説明すると、『いないいないばあっ!』は『おかあさんといっしょ』のさらに低年齢層版だと思って頂いて差し支えない。
 うたのおねえさんや体操のおにいさんの代わりに、着ぐるみのわんわん(中身はチョーさん)、小学生のゆきちゃん、そして操り人形のうーたんが登場していろいろやる番組である(2016年現在)。

 で、この「うーたん」は妖精のアカチャンである。
 公式には現在記述がないが、Wikipediaによると1歳8ヶ月(人間の精神年齢では5歳程度)とのこと。
 そしてうーたんには、人形劇や歌の中で随時登場する15人の仲間がいる。お腹の虫のぐーたん、どう見ても便器のベンキー、目つきがいやらしい毛布のモウフー、あからさまに歯ブラシのハミガキマンなどである。詳しくは解説しているサイトをご覧頂きたい。

 このように過剰とも思われる人数の仲間を引き連れた妖精のアカチャンであるうーたんだが、作中にご両親の影がまったくない。
 これだけお世話をしてくれる仲間がいるということは、妖精界ではさぞかし高貴な家の生まれなのではないかと思うのだが、ご両親やご実家についてはまったくふれられていない。
 いったいうーたんとは……仲間とは……。

 ひょっとしてうーたんの「15人の仲間」というのは、アカチャンのお世話をするための育児ロボットを暗示しているのではないだろうか。
 たとえばモウフーなどは「おねむになったらとんでくる みんなのともだちモウフーだよ」と歌っており、オートマティックな行動原理を感じさせる。
 「うーたんと仲間たち」のありかたは、ねんねや食事・排泄などのリズム、お着替えやお片付けといったしつけ、はんぶんこや順番といった社会性などといったものを、育児ロボットにより自動的にアカチャンにインストールするようになった近未来を描いているのかもしれない。
 その世界ではおそらく、育児に関わる作業はすべてAIとロボットに管理され、お父さんとお母さんはわんわんとゆきちゃんという姿を借りて、ときどきアカチャンといっしょに遊ぶだけの存在となるのだろう。

 15人の仲間については、この「施設」にアカチャンを預けるときに、

「モウフー、ベンキー、ハミガキマン、チャップン、ティーちゃんの5体は衛生管理上、必須プランとなっております」
「お子様の月齢ですと、ベンキーにはオマルンが付属します」
「ぐーたんはオプションですが、外された場合は『はんぶんこ』と『じゅんばんばん』はご両親に躾けていただくことになります」
「お片付けを支援するバコンはいかがでしょうか」
「バケッパとパッパは最近人気の“お友達”です。遊びの幅が広がります。ゴットンも男の子に大変人気があり……」

 ……みたいな営業トークによって、うーたんのご両親によって契約されたものと想像できる。
 これが託児施設の不足から労働力がスポイルされている現代日本にとってのユートピアなのか、それともディストピアなのかは今の俺には判断がつかないが、近年のAIやロボットの進化のめざましさをみると、あながち空想の世界と断ずることはできないのではなかろうか(明後日の方向を見つめながら)。