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◆不定期日記ログ◆

■2015-03-17
ぼうけんのしょとは一体何か
 ドラクエの「ぼうけんのしょ」はいったいどのように実装されているのか?
 先に断っておくがゲームプログラミングの話ではない。
 遠くの町に一瞬で移動したり、死者を蘇らせたりする「じゅもん」があるドラクエの世界で、あの「ぼうけんのしょ」はどういう位置づけなのだろうかという疑問である。


 最初は、勇者たちが持っている不思議な本だと思っていた。
 神父さんや王様など、特殊な技能を持っている人のところへ持っていき、自分たちの情報を書き込んでもらう仕組みだと思っていた。だが説明書には機能の説明だけで、そんなことは書かれていない。

 この設定だと、書き込みはともかくとして、読み出し……特に全滅後の処理に無理が生じる。
 勇者が持ち歩いている設定だと、全滅したときに死体と一緒にぼうけんのしょが野ざらしになってしまう。これはいけない。死亡したときに所定の場所まで死体を運び蘇生させる呪文(いわゆるデスルーラ。利用料は所持金の半分)が込められているのかもしれないが、そんな複雑な処理ができるならもっと他に活用されているのではないか。

 倒れたパーティの死体とぼうけんのしょを教会まで運ぶサルベージ業者(報酬は所持金の半分)がいるのでは、と妄想したこともあったが、これも微妙に違和感がある。全滅すると、勇者のパーティは最後に記録した場所に戻されるが、それは必ずしも「最寄りのセーブポイント」ではない。サルベージ業者ならこんなことにはならないはずだ。


 となるともう、ぼうけんのしょを勇者が持ち歩いている設定は捨てるしかない。
 ぼうけんのしょは、神父さんや王様がそれぞれ持っているのだ。記録のときのセリフを見てみよう。

「そなたらの たびのせいかを この ぼうけんのしょに きろくしても よいかな?」(DQ3)
「そして このぼうけんのしょに きろくしても いいですかな?」(DQ4)

 どちらも「この」と言っている。手元にあるのだ。
 どこの教会でも読み出せて、書き込めるということは、ぼうけんのしょはiCloudやDropboxのような、クラウドストレージ上に存在すると考えるほかないだろう。それを彼らは「神」と呼んでアクセスしているのだ。勇者のバイタルサインが消えたときには最後に立ち寄った教会になんらかの連絡が行く仕組みになっていて、読み出しの儀式を行うのであろう。


 さて、ぼうけんのしょといえば無慈悲にロストすることでも有名だ。
 我々が便利に使っているクラウドストレージの数々が、突如サービスを停止してもうろたえぬよう、日々備えておくべしとの思いを新たにした。