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◆不定期日記ログ◆

■2014-03-15
能登加賀旅行記
 遠く石川県の老舗旅館、加賀屋さんに一泊する機会に恵まれた。
 おいおいなんだよカチグミかよ。

 でかい旅館だとは聞いていたが実際でかい。
加賀屋
 おみやげコーナーがひとつの街になってるかのようだ。
 このほかにも宴会場、会議場、劇場、バーなどが、吹き抜けが多用された複雑な建築の中にダイナミックに配置されていた。
 その作り込まれた立体構造を目の当たりにした瞬間、俺の脳内のタランティーノが大量のヤクザを展開させ、主人公が洗練された無駄のない無駄な動きで銃撃戦を繰り広げるシーンを撮り始めたという。



 翌日は加賀百万石の城下町、金沢まで戻って兼六園を見てきた。
 偕楽園には行ったことがあるので、これで日本三名園はあとひとつ……あとひとつ何だっけ、後楽園ゆうえんちで僕と握手?それ東京ドームシティじゃね?
 兼六園はあまり見る時間がなかったので、いずれ雪の季節か花の季節にまた行きたいものだ。



 それよりもむしろメインは、金沢にある正久山妙立寺、人呼んで忍者寺である。
 「人呼んで」というのは看板に本当にそう書いてあったので仕方ない。
 ニンジャ・テンプル……いやがおうにもセイシンテキが高まる。

 建物内は撮影禁止だったので写真はないが、このレポートが見学内容を正確に再現してくれているので、詳細はこちらで確認していただきたい。俺が受けた説明もおおむねこのとおりであった。

 一見ふつうのお寺に見えるが、一歩奥に立ち入ればそこはウィンチェスターミステリーハウスめいた複雑怪奇な造り。幕府の目を欺くための、隠し扉、隠し階段、抜け道、落とし穴のオンパレード。

 「忍者寺と言われるようになったのは、このからくり屋敷っぷりを指してのことであり、実際ニンジャがいたわけではない。いいね?」

 アッハイ。
 ……簡単に納得しそうになったが、念を押されると逆に怪しい!
 だって見よ!ガイドさんがこんなにつきっきりで説明してくれるし、勝手に扉を開けたり階段を上ったりしないように言われるし、これは……そのう……やはりニンジャがいて、その事実を隠匿しているのでは?

 「つきっきりなのは建物内が複雑かつ段差が多いためであり、順路が指定されているのは一部の通路や階段が老朽化しているからであって、決してニンジャとは関係ない。いいね?」

 アッハイ。
 ……二度も念を押された!間違いない!ニンジャはいる!
 そしてこの寺を拠点にネオカナザワの政治とか経済とかを牛耳っているのだ!
 すべては……ニンジャなのだ!
 彼は真顔で書き終えた。



スリケン殺!
 その後、彼の姿を見たものはいない。