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◆不定期日記ログ◆

■2012-03-15
クウガの見た東京
 実は先月から『仮面ライダークウガ』を観ている。
 オダギリジョーのアレである。もう12年前の作品だ。
 平成ライダーを観はじめたのが『オーズ』からで、その後『フォーゼ』を観つつDVDで『剣』を押さえ、『電王』をかじり、『クウガ』に至った。このチョイスが正しいかは不明。


 平成ライダーの中でもクウガは別格だと聞いていた。
 確かに空気が全然違う。
 クウガが戦っているシーンより警察が犯人(怪人)を追っているシーンのほうが多かったりして、ほとんど刑事ドラマみたいだ。ホラー寄りのサスペンス劇場と言うべきかもしれない。

 そんな雰囲気なので、けっこう民間人がばたばた死ぬ。
 警察が捜査していて、マスコミも報じているので、被害者の数は具体的に表示される。
 毎週、通り魔事件で数十人が殺されてる世界だ。それも東京圏限定で。

 作中で「危ないからむやみに東京に遊びに行かないように」とか「関西のほうに帰ってきなよ」みたいな話が出てくる。
 あれ、なんかちょうど1年前の日本でも似たような状況になったような……。
 「ただちに人体に影響」どころか死体が積み重なってるぶん、アレより深刻度は段違いだと思うんだけど、人々は普通に働いてるし、遊んでるし、殺されてる。たぶんこの世界でもインターネットでは「関東から移住しない奴は情弱」とか「逃げる奴は馬鹿」とか騒ぎまくってるんだろう。

 もし放射線が、毎週15人の無作為な標的だけを狙って即死させる通り魔のようなものだったら、我々は逃げただろうか?
 東京の昼間人口を考えれば死亡率は100万分の1程度。我々は、自転車や自動車に乗るとき、これくらいの死亡リスクは日々受容している。……そう考えて普通に出社しているだろうか? 
 クウガの東京の描写は思った以上に鋭い。


 途中「最近の子どもは何を考えているのか理解できない……」みたいな教育論とか、明らかに子ども向けでない部分がチラホラ出てくるのも新鮮でいい。
 さらにそれを12年たってから観ている俺は、ゆとり教育を嘆く先生には「大丈夫!あと10年耐えればゆとり教育は無かったことにされます!がんばって!」と声をかけ、いい学校に入ることに疑問を呈する少年には「お前が就職する年は世界的にすげえ不況だよ!」と脅し、「こんな先行き不安な社会で子どもを産んでも……」と心配する女性には「今後、先行きが安心できる年なんてありませんよ!」と励ましたりしている。
 今でも十分通用するなあ、このドラマ。