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■2021-06-22 : そうだ、資格を取ろう
 業務上の秘密に抵触する可能性があるのでぼかしておくが、まれに発生するあるタイプの仕事に対して有効であるということで、資格試験というやつに挑むことになった。


 突然だがファミコン版ファイナルファンタジー3のあかまどうしの話をしたい。
 赤魔道士という職業は、剣も持ててレベル3までの白魔法・黒魔法を使える万能戦士で、最序盤では無類の便利さを誇る。しかし浮遊大陸から旅立つころにはそれぞれのスペシャリストに押され、とっととほかの職に転じて二度と顧みられることはない。

 小学生だった俺はこの事例から「器用貧乏」という言葉を理解した。しかし今ならそれが浅はかだったとわかる。確かに赤魔道士は光の戦士としては半端だが、実際に光の戦士として戦うのは世界でたったの4人であり、その外には無数の一般人の暮らしがあるのだ。

 あの世界の赤魔道士というのは、魔法の研究職である黒魔道士と、治癒・浄化の実務を行う白魔道士という2つの集団をコーディネートする職業なのではないだろうか。
 大きな国家がこの2つの集団を大規模に運用するようなプロジェクトが立ち上がったとき、企画・折衝・提案を行うために、両方の魔道士のことをよく知る職業が必要になったのではないか。
 そして、そういう職業は我々の世界にも多々あるのではないだろうか。レベル8の技能を使いこなすスペシャリストになれずとも、レベル3までの複数の技能を同時に活用できればそれはオンリーワンの技能となり得るのである。


 今回俺が受験した資格試験はまさにそういう類いのもので、レベル3までの白魔法と黒魔法が両方要求される。白魔法は業務で、黒魔法は趣味である程度カバーできていたので挑戦することになった。
 とはいえ、業務上ケアルの原理は知っていても唱えたことはないし、ブライナとか存在すら知らなかった魔法も多々ある。
 同様に、趣味で黒魔法を唱えまくっているとはいえ、どういう原理でサンダーが実装されているのかとかは全く知らなかったので、だいぶ勉強をすることになった。

 いま「勉強をすることになった」と言ったがまったくこれも難儀した。社会人になってからというもの勉強というものを怠っていたと言わざるを得ない。強いて勉めると書いて勉強……何か物悲しいわね……。
 マイナーな資格のため、講座や参考書などというものはなく、過去問をひたすら掘るしか方法がない。目についた専門用語を片っ端から調べてノートにまとめつつ、「自力で新しい分野の勉強をする方法」を身につけさせるのが高等教育の力なのだなと実感するなどした。


 決して合格率の高くない試験なので、果たして俺の実力が合格点に達したかはわからない。だがやれるだけのことはやった。検定結果が送られてきてもここでは触れないので、あとはそうっとしておいて欲しい。

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