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■2017-04-01 : 走馬燈のふしぎ
 人間は死の間際に、これまでの人生を走馬燈のように思い出すのだそうだ。
 しかしこの現代社会に生きる我々は、はたして人生の中で何度「走馬燈」の実物を見るだろうか。それが回っているところを見ずして死ぬ人も多いのではないだろうか。そんなよくわからないものが死の間際に予約されているというのも不思議な話だ。

 古代中国・前漢の出来事を記した『西京雑記』には、長安の匠人・丁緩がこの走馬燈のような仕組みをもつ「回り燈籠」を発明したという話が出てくる。おそらくこれが走馬燈の元祖であろう。いわば最古の映写機だったのではなかろうか。
 このあと日本に伝わったこの発明が、江戸時代に職人の手によって夏の夜の風物詩「走馬燈」として完成したことは、皆さんご存じの通りである。

 そして走馬燈は長崎貿易を経て東南アジアからヨーロッパへと渡り、ヴィクトリア朝全盛期のイギリスで驚きを持って迎えられた。特に回転をもってアニメーションさせるアイデアが注目され、この「ソーマトー」は当時の学者たちの間で、ギリシャ語で「回転」を意味する「trope」と合わせて「ソーマトロープ」と呼ばれるようになった。
 今でも英語の語彙の中には“Thaumato-”で「奇跡」「驚異」という意味合いをもつ単語が存在する。たとえばソーマタージュといえば奇術師とか魔術師という意味合いになる。以降、ソーマトロープは回転をもってアニメーションさせる装置の総称として独自の発展を遂げていくのである。
 こうして走馬燈の歴史を紐解いてみると、上記のことがほぼ口からでまかせであることがわかる。本日は自らのネットリテラシーを再確認する日であるので、どの部分が本当かは各自で確認してください。私からは以上です。

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