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■2013-08-17 : 夏の読書感想文
 ここしばらく『ニューロマンサー』を読んでいた。
 1984年刊、「サイバーパンク」の発祥となったらしい小説である。

 「らしい」というのは、つまり、解説やインターネットで作品の背景を調べつつ読み進めていったわけなんだけど、どうやら映画『ブレードランナー』と同時期で、ちょうどSFの未来像が、清潔感溢れる明るい都市から、ハイテクと環境汚染の暗い街へとシフトしていった時期のことらしい。84年なんてまだインターネットは一般市民の手になかっただろうし、主人公の「電脳空間に意識をジャックインして企業機密などを盗み出す犯罪者」という設定はいったいどこから出てきたんだろうと、当時のSF界のイメージの鋭さに舌を巻く。

 さすがに古いSFで、かつ翻訳ということもあって、大変読みにくい。固有名詞に加え、おそらく専門用語とおぼしき単語が頻出し、なかなか描写についていけない。「マトリックス」とか「ザイオン」みたいな馴染みのある単語ばかりなら良かったんだけど。どこからが実際にあったことで、どこからが電脳空間のイメージなのか判別できないことが多々あった。

 なんでそんな苦労して古いSFなんて読んだのかっていえば、そりゃ『ニンジャスレイヤー』の影響に他ならない。もう第一部が「千葉市憂愁(チバ・シティ・ブルーズ)」なのでかなりアトモスフィアが漂ってる。なぜだ、なぜ千葉なのだ。ネオサイタマいい加減にしろよ……。

ヤキトリ屋台にマッサージ・パーラー、《美女》という名の喫茶チェーン店、ゲーム場の電子騒音、と通り過ぎる。ダーク・スーツの〝さらりまん〟に道を譲りながら、その男の右手の甲に刺青された〝三菱ジェネンテック〟の社章に目を留めた。

(第一部 千葉市憂愁)
 やはりサラリマンは日本語の模様。作中では主人公が「ひとつのザイバツで一生働きつづけるというのは、どんなものなのだろう」と思いをはせるシーンもある。
 千葉シティが舞台なのは第一部だけだが、その後も、

「じゃあ、どうして指が全部あるの。ヘマするたびに一本ずつ切らなきゃいけないんでしょ……」
「ヘマしないのさ」

(第三部 真夜中のジュール・ヴェルヌ通り)
 ケジメ!不意打ちでこういうアトモスフィアのある文脈が挿入されてくるので油断ならない。なお銃刀店には普通に手裏剣が陳列されており、最終章ではクローンニンジャが出てきてオジギをしたので完全にぼくはまんぞくしました。

Quiz-Authentication 2.255

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