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■2012-11-01 : ナイルナイルでたまものだ
 先日、上野でやっている「ツタンカーメン展」を観に行ってきた。
 もうずいぶん長く公開しているのに、ききしにまさる行列で驚いた。
 さすがはフジサンケイグループの広報力である。

 中学歴史の教科書にも載ってないようなツタンカーメン王が、なぜこんなにも集客力を持つのか。
 1922年に発掘された時に、大量の黄金と呪いの噂が世界中を飛び交った熱がまだくすぶっているからだろうか。黄金のマスクの装飾が独特で、ビジュアル的に覚えやすいのもあるかもしれない。
 さもなくばフジサンケイグループの広報力である。


 黄金のマスクは、昔ドイツのどこだかに出展したときに破損して門外不出となったらしく、展示されていない。広告を飾っているカーメンらしいお顔は、高さ40cmほどの「黄金のカノポス」というはらわたケースのものだ。
 このはらわたケースをはじめ、展示されている小さな彫像は、どれも精細なものだった。3000年以上前に、石と土と金でこんなに精密なフィギュアが作れるのか。なんだよ遮光器土偶とか埴輪とか……ダメだな俺たち。
 まあ木でできた小物が腐らず残っていたのは乾燥した気候のおかげなので、ここは日本が不利な点としよう。

 しかし古代エジプトから連なる西洋の彫刻はなぜこんなにも写実的なのだろう。東洋の兵馬俑とか、もっと時代を進めて奈良時代の仏像と比較しても、ツタンカーメンの顔は圧倒的に写実的だ。大仏の螺髪とかあれもうパンチパーマ超えてるから!金髪縦ロールドリルヘアくらいディフォルメされてるから!
 いったいこの差はどうして生まれたのか。

 いまの時点では、「凹凸の少ない顔面だと、彫ってても面白くないのでは?」という仮説を取り上げるに留めておこう。

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