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■2002-08-10 : レジスター戦記
 「くそ…グランドクロス団の奴らめ…」
 レジスター・T-1000Kは心の中でつぶやいた。
 閉店30分前の店内。レジを、数人の客が取り巻いている。レジスターは彼一人。先ほどまで先輩と新入りが彼と共に戦っていたが、彼らはいまレジにはいない。この時間は青果しまい込みに労働力を割かねばならないため、レジ担当は一人になってしまうのだ。
 そこを、奴らは狙ってきた。
 おそらく、敵のリーダーはいままさに交戦中の主婦であろう。この顔には見覚えがある。彼女は常連客…この時間にレジが一人になることを知っているはずだ。知っているはずなのにこの買い物の量はなんだ。己の財力を誇示するかのような、大盛りの買い物カゴが二つ。こんなに大量の買い物をしたら、唯一のレジはいとも簡単に封鎖される。長蛇の列ができる。そのプレッシャーが彼をしてレジ誤差を出さしめる。それをわかっていてなおこんな残虐なマネが出来るのは、間違いなくグランドクロス団の刺客、それもかなりの強者である。
 「だが…逃げるわけにはいかない…俺は、チーフからここを任された!」
 T-1000Kの必死のスキャンによって、山は少しずつ切り崩されていく。だがその攻勢は、絶望の音によって立ち消えることとなった。
 「ピ―――……・・・」
 刺客の必殺技・くしゃくしゃバーコードがT-1000Kのレジを直撃したのである。列をなす客の中から苛立ちの視線が殺到する。孤軍奮闘、ここまで持ちこたえたT-1000Kが落ちる、まさにその寸前である。

 「4番、5番レジへお回りください!」(BGM:ロックのテーマ@FF6)

 青果コーナーにいたはずの二人が、帰ってきた。
 彼らは圧倒的なスピードで溜まった客をさばいていく。
 あれだけ長蛇の列になっていた客は、ものの数分で片付いていた。T-1000Kは死力を尽くし、ついに刺客の商品を全て片付けることに成功した。
 「13560円です」
 刺客は一万円と五千円を無言でほおり出した。予定外の援軍に舌打ちしているようにも見えた。
 我々は勝ったのだ。グランドクロス団からスーパーを守ったのだ。

 スーパーに平和が戻った。今日も無事に店を閉めることができた…戦士たちにもつかの間の安息が訪れる。
 しかしT-1000Kはまだ知らない。彼のレジが180円の誤差を出していたことを…。
 そして、グランドクロス団の新たなる陰謀を…。


 ―――T-1000Kの被害妄想を限界まで膨らませてみた。大失敗。

Quiz-Authentication 2.255

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