Oneside Flat Web

◆不定期日記ログ◆

■2023-10-27
俺と広告と静かな怒り
ぼく「この広告の表示を停止」
G社「なぜ」
ぼく「広告でコンテンツが隠れる」
G社「今後この広告を表示しないようにします」
ぼく「その報告が表示されるスペースのせいで相変わらずコンテンツが見えない」
G社「それはそれとして別ページに遷移したようなのでさっきの広告を表示します」

 俺はキレた。
 まずはこのような野放図な広告の貼り方をしている、サイト管理者に対してキレた。サーバー代を賄うために広告を貼らねばならぬ、その状況はわかる。しかしそれがコンテンツの一部を覆ってしまっては、もはや広告を貼ること自体が目的となっているということではないか。WEB上に自分の活動を刻もうという志が感じられない。アフィリエイトのほうが管理者の感性が反映されるぶんまだマシだ。

 しかし……サイト管理者にキレるべきではないだろう。俺は「コンテンツが隠れる異常な広告ですよ」とG社に報告したのだ。G社は世界トップの頭脳を集めたグローバル企業である。当然、配信した広告がこのような異常な動きをしたのであれば、直ちに是正されるはずだ。
 しかし俺はあいつの「今後その広告を表示しないようにします」が正常に動作したのを見たことがない。下手人はおそらく無数のIDから同じ広告を流しているのだろうが、世界トップの頭脳が集まって、その程度の問題を解決できないはずがない。あいつらは報告を聞く気がないのだ。ここにキレるべきだ。

 またある日、俺はmixiのホーム画面を埋め尽くす「福島の汚染水は非常に危険」というナメた見出しの広告を静かな怒りをもって見ていた。これはクリックすると「ウィルスに感染しました!」とでたらめを言う詐欺サイトに繋がる、悪意を煮詰めたような醜悪なバナーだ。そう、これは広告ですらない、ただの詐欺だ。
 俺はGoogleアカウントを使い、3日間、地道に「サポート詐欺のサイトに接続されます」と訴えを続けた。だが全く反映される気配がなく、Gmailにも情報提供のリアクションは届かなかった。

 アドネットワーク各社にとって……俺は別に客ではない。ただの養分にすぎない。養分の言うことを聞く必要はない。客なのはカネを払う広告主だし、たとえ詐欺でも配信さえされていればカネは動くのだ。


 俺は明確にキレた。
 怒りだ、もう怒りしかない。
 こんなスカムテクノロジーに支えられたWEBなんてもうたくさんだ。
 もう焼き尽くそう。数々の便利なWEBサービスを巻き添えにして全ての広告を滅ぼし、いにしえの個人サイトの時代に帰ろう。

 こうして俺は広告ブロッカーの導入を決めた。これを公言するということは、広告収入で運営される全てのWEBサービスの管理人に対し、サービスを掠め取っていくという立場を表明することに他ならないが、もはやこれ以上アドネットワークに真面目に付き合うことはできない。
 広告ブロッカーにはさまざまな種類がある。知名度を上げてアドネットワークに対応されるといたちごっこが始まるので、何が良いとか何が便利とか書くのはやめておこう。

 ただ、上記のような不快な広告が配信されないサイトというのがいくつかあって、それは単純にアドネットワークを利用していないのか、あるいは管理者が気を配っているかだと思うのだが、そういうサイトについてはきちんと意図通り表示されるようにしておきたい。なのでブラックリスト形式でブロックできるものが望ましい。
 全てのインターネットを焼き滅ぼす覚悟で始めたことだったが、こうしてみると質の悪い広告を垂れ流し続けるアドネットワークの仕組みが終わってるだけで、まだインターネットには希望を持っていてもいいのかもしれない。広告の質が上がり、ブロッカーなんぞにリソースを割かなくていい日が来ると良いのだが。