◆不定期日記ログ◆
- ■2021-01-14
- ラーメンスナック才遊記
職場を出たテバサキは駅の方角を見やり、思い直して、反対方向へ歩き出した。2、3分歩き「実際安い」とミンチョ書きされたダガシ・ショップに辿り着く。彼は「らあめんババア」を探した。無情な「売り切れ」のランプが灯っている。他の銘柄を購入すべきか逡巡し、結局やめた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
この年末年始、なぜか急に「らあめんババア」が食べたくなり、いろいろなお店の棚を探してしまった。
いや、わかっている。「らあめんババア」は去年の夏にすでに生産を終了しており、今それを店頭で探すのは無駄足である。それなのに、ベビースターラーメンとは明らかに違う、あの駄菓子的なチキン味を体が欲してしまった。それでシルバーカラス=サンのタバコのように、ふとした拍子にその銘柄を探すようになってしまったのだ。このまま死ぬ直前まで探し続ける運命かもしれない。
なんでラーメンスナックの話をしていたのにニンジャスレイヤーの話になってんだ。話を戻そう。
俺だって「らあめんババア」がないことくらいわかっている。なので銘柄にはこだわらない。あのジャンクな味わいが体感できるのなら他のものでもいい。
実際、駄菓子屋にはいくつかの代替品がある。謎のボクサーが真顔で「うまい」と言ってる謎のスナックとか、いかにもアイヤー!と叫びそうな謎の中国人があたかもハオチー!と叫んでいるかのような謎のスナックとかだ。しかしあいつらは量が少なすぎる。ババアも決して多くはなかったが、個包装が小さいにも限度というものがある。
俺は必死に記憶をたどった。そして思い出した。駄菓子屋ではなく、どっかのコンビニかスーパーのプライベートブランドか何かのラーメンスナックが、ほぼババアの味だったことを。100円コーナーの商品のため一袋の量は十分であり、ババアを目一杯食べたいという欲求を満たすにはそれを探すしかないのは明白だった。
しかし……記憶にあるスーパーやコンビニを巡っても、そのスナックは見当たらなかった。ババアと心中する形で終売となったか、俺の脳内のコラ職人が見せた幻か。
それにしても、もはやコンビニは俺にとって完全に「帰り道にふらっと立ち寄る街のほっとステーション」ではなくなってしまった。このようにコンビニにしかなさそうなものを探して、確たる意思を持って向かう専門店に近くなってしまった。
コンビニは今や「マスクで口元を覆った状態で外国人店員に袋の有無・ポイントカードの有無・支払い方法を伝えたうえ、サッカー台もないのに支払いと袋詰めを同時にしなければならない」というまったくコンビニエンスでないストアになっている。こんなことにわずかでも頭を使いたくない。人間は頭がアホになっていなければ無駄な出費をしないということを政府はわかっていない。いますぐ内閣総辞職して政権交代だ。
なんでラーメンスナックの話をしていたのに政権交代の話になってんだ。話を戻そう。
見かねたワイフがドラッグストアで似たものを見つけてきてくれた。
おつまみ系であるという記憶はなかったが、言われてみればピーナッツが入っていたような気がする。食べてみると確かにベビースターラーメンのチキン味とは異なる、ババアの駄菓子的な味がした。
おそらく俺の求めていたものはこれだろう。しかし、これがババアの味かどうか……ババアの味とは……? その肝心の部分の記憶が、もうぼやけてしまっていることに気がついた。
もうババアは皆それぞれの心の中にしかないのだ。そしてそれは、こういったジェネリックベビースターラーメンによって上書きされていくのだろう。おおババアよフォーエバーソーファイン……。
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この年末年始、なぜか急に「らあめんババア」が食べたくなり、いろいろなお店の棚を探してしまった。
いや、わかっている。「らあめんババア」は去年の夏にすでに生産を終了しており、今それを店頭で探すのは無駄足である。それなのに、ベビースターラーメンとは明らかに違う、あの駄菓子的なチキン味を体が欲してしまった。それでシルバーカラス=サンのタバコのように、ふとした拍子にその銘柄を探すようになってしまったのだ。このまま死ぬ直前まで探し続ける運命かもしれない。
「狂ったのか!?」「ああそうだ。俺は狂ったのさ」シルバーカラスは無感情に答えた。「タバコ無いか。『少し明るい海』。無いよな。あるなら、いただこうと思ってな。お前の死体を漁って」
- @NJSLYR 【スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ】より
なんでラーメンスナックの話をしていたのにニンジャスレイヤーの話になってんだ。話を戻そう。
俺だって「らあめんババア」がないことくらいわかっている。なので銘柄にはこだわらない。あのジャンクな味わいが体感できるのなら他のものでもいい。
実際、駄菓子屋にはいくつかの代替品がある。謎のボクサーが真顔で「うまい」と言ってる謎のスナックとか、いかにもアイヤー!と叫びそうな謎の中国人があたかもハオチー!と叫んでいるかのような謎のスナックとかだ。しかしあいつらは量が少なすぎる。ババアも決して多くはなかったが、個包装が小さいにも限度というものがある。
俺は必死に記憶をたどった。そして思い出した。駄菓子屋ではなく、どっかのコンビニかスーパーのプライベートブランドか何かのラーメンスナックが、ほぼババアの味だったことを。100円コーナーの商品のため一袋の量は十分であり、ババアを目一杯食べたいという欲求を満たすにはそれを探すしかないのは明白だった。
しかし……記憶にあるスーパーやコンビニを巡っても、そのスナックは見当たらなかった。ババアと心中する形で終売となったか、俺の脳内のコラ職人が見せた幻か。
それにしても、もはやコンビニは俺にとって完全に「帰り道にふらっと立ち寄る街のほっとステーション」ではなくなってしまった。このようにコンビニにしかなさそうなものを探して、確たる意思を持って向かう専門店に近くなってしまった。
コンビニは今や「マスクで口元を覆った状態で外国人店員に袋の有無・ポイントカードの有無・支払い方法を伝えたうえ、サッカー台もないのに支払いと袋詰めを同時にしなければならない」というまったくコンビニエンスでないストアになっている。こんなことにわずかでも頭を使いたくない。人間は頭がアホになっていなければ無駄な出費をしないということを政府はわかっていない。いますぐ内閣総辞職して政権交代だ。
なんでラーメンスナックの話をしていたのに政権交代の話になってんだ。話を戻そう。
見かねたワイフがドラッグストアで似たものを見つけてきてくれた。
おつまみ系であるという記憶はなかったが、言われてみればピーナッツが入っていたような気がする。食べてみると確かにベビースターラーメンのチキン味とは異なる、ババアの駄菓子的な味がした。
おそらく俺の求めていたものはこれだろう。しかし、これがババアの味かどうか……ババアの味とは……? その肝心の部分の記憶が、もうぼやけてしまっていることに気がついた。
もうババアは皆それぞれの心の中にしかないのだ。そしてそれは、こういったジェネリックベビースターラーメンによって上書きされていくのだろう。おおババアよフォーエバーソーファイン……。