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◆不定期日記ログ◆

■2019-11-30
イヌヌワン問題
 アニメ版ポケットモンスターにおいて、ポケモンは種族名にちなんだ鳴き声で鳴くのが通例である。

 しかし彼らはどのようにして自分たちの種族名を知るのだろうか。人間側が鳴き声にちなんだ種族名をつけていると考えるのが自然だが、それにしては鳴き声以外(外見や生態など)にちなんだ種族名が多すぎる。
 アニメのポケモンは総じてかなり知能が高く、人間とも意思疎通を行う。彼らは人間たちにつけられた種族名をアイデンティティとして持っていて、別の人間がそれを呼びやすいように……幼児が犬をワンワンと呼ぶように……鳴き声で我々を誘導しているのではないだろうか。その謎を解くため、我々取材班はアローラの奥地へ飛んだ!

 そこで我々は、地元の古老からケオケオと呼ばれているロコン(アローラのすがた)を発見した!
 しかしアローラロコンは「ケオケオ」とは鳴いていない。ケオケオとは土地の言葉で「真っ白」を意味する。しかし彼らはその呼び名をよしとせず、人間からどう呼ばれようが、自分たちがロコンであることを主張しつづけているのではないか。

 そしてポケモンのアニメの新シリーズが始まり、にわかにワンパチの鳴き声に注目が集まった。もしアニメで、原作同様「イヌヌワン!」と鳴いたのなら、それは彼らが自分のことをイヌヌワンだと思っている証拠に他ならないからだ。
 我々の世界でもグルジアはジョージアとなり、スワジランドはエスワティニとなった。自分たちがイヌヌワンだと主張する種族を、人間の都合でワンパチと呼び続けるのには問題がある。

 しかし幸いなことに、アニメ2話でワンパチが「ワパ」と鳴いたため、この懸念は杞憂に終わった。ただ「イヌヌワンはイヌヌワンと鳴いてほしかった」という世論も根強い。今後もゲーム側で抗いがたい鳴き声が提示されれば同じ問題が噴出するだろう。今ポケモンのアイデンティティーが問い直されている。(カントー支局 手羽崎一郎)