Oneside Flat Web

◆不定期日記ログ◆

■2018-01-21
農・場・物・語
 ポケットキャンプでひたすら仕入れと納品をくり返す生活に疲れ果てたてばさき村長は、かつて祖父から渡された1通の封書のことを思い出した。
 「どうしようもない生きにくさを感じ、心が輝きを失ってしまいそうなとき」に読むよう手渡されたその手紙には、スターデューバレーという田舎町にある牧場の権利書が同封されていた。
 こうしててばさき村長は、村長(キャンプ場管理人)としての地位を少しだけ退き、その田舎町で牧場主としての生活を始めたのだった……。


 ということで、Switchに移植された(というか移植も翻訳もされていたのにいつまでたっても日本での販売が始まらなかった)インディーゲーム「Stardew Valley」を始めた。紹介記事にはだいたいインスパイア元として「牧場物語」「ルーンファクトリー」の名が挙げられるが、俺はどちらもプレイしていない。こういったインディーゲームを携帯したり怠惰な姿勢でプレイしたりできるというのはSwitchの最強の利点である。任天堂は早くバーチャルコンソールを実装して欲しい。

Stardew Valley
赴任1日目
 荒れ果てたモッコロ牧場に赴任したてばさき牧場長。このあたたかみのあるドット絵が素晴らしい。(本当は等倍で掲載したいんだけどJPGでしか保存できないからちくしょう!)厳密に言うと1ドットより細い糸があったりするのでドット原理主義者に見つかるのが怖いが、そんな些細なことはどうでもよいと断言できるくらい素晴らしい。娘氏は一目見て「これゆうしゃさま?」と言っていた。娘氏にとってドット絵とは「魔法陣グルグル(2017)の次回予告とかに出るアレ」なのだ。

 さて、まず何をするべきかを決めなければならない。ここで軟弱なゲームだと「木を伐採してみよう! いいぞ! 次に土を耕してみよう! その調子だ! 次はタネを蒔こう! 素晴らしい!」と1動作ごとチュートリアルをしてくるが、Stardew Valleyは真のおとこのためのゲームなので、パースニップという聞き慣れない野菜の種と、「パースニップを植えて収穫する」というクエストだけが古びた家の中に置いてある。農地を拓くための斧やツルハシはすでに手中にあるので、どう実行するかは自分で決めるのだ。男の仕事の8割は決断だ。そこから先はおまけみたいなもんだ。

 そんな姿勢で最初の作物を育て始めたので、木を伐採してチェストを作らないとそもそもアイテムが12個しか所持できないとか、朝起きたらテレビの情報番組などを観るべきとか、1つの季節は1か月(28日)で終わり、季節ごとに作物は枯れてしまうこととか、そういったことは後から気づいた。だがそんなことはどうでもよかった。俺は奴隷労働が嫌で牧場へ来たのだ。最高効率プレイを目指したって仕方がない。

 とはいえただ漫然と目に付くことだけをやっていては、このスターデューバレーの荒野で生き抜くことは難しい。幸い飢えて死ぬことはないが、1日に与えられる「スタミナ」と「時間」というリソースを計画的に使う必要がある。
 木を伐採したり、土を耕したりするとスタミナが減る。毎日の水やりにもスタミナを消費するため、無計画に畑を拡張すると水やりだけで倒れてしまうことになる。そしてなにより時間がかかる。スターデューバレーの1時間は我々にとっての45秒でしかないのである。畑を整えるだけで1日が終わってしまっては、労働するだけのロボと何も変わらない。町を横断するだけで1時間くらい吸い取られたりするので、天気と相談しながら、その日何をするかという目的意識を持って、牧場の復興を進捗させなければならない。

 これがなかなか時間泥棒になる要因で、Switch本体の機能でスリープはできるものの、セーブは寝たときにしか行われないため、「明日は博物館に鉱石を寄贈しにいくぞ!」と思って寝たあと、俺自身も寝てしまうと、次に電源を入れたときに完全にそれを忘れてまた鉱山へ向かってしまうのでよくない。やはりもう1日進めておこう……となる。やめどきがない。明日使うものを全部抱いて寝るしかない。
Stardew Valley
夏24日目
 こうして初めての夏を迎えたてばさき牧場長は、報酬で手に入れた高性能スプリンクラーを設置して、これで水やり労働から解放されるとウッキウキでいたものの、朝、スプリンクラーが周囲8マスだけにぴゅーっと水を出して仕事を終えたのを見て膝から崩れ落ちた。高性能でこれかい。仮にも生き物を育てる仕事、そう簡単に労働をサボることはできないのだな。こうした不便と少しずつ戦って勝ち、メイクマネーしていきたい。