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◆不定期日記ログ◆

■2011-07-13
裸の王様
 我々は「裸の王様」という言葉を嘲笑の意味で使うけれど、もうちょっとこの王様を評価してあげてもよいのではないか。

 ファッションにこだわり、公費を使ってたくさんの贅沢な衣装を購入していたことは責められてしかるべきだし、詐欺師から「馬鹿には見えない服」を買ってしまうに至ってはフォローのしようがない暗君である。
 しかし彼は、その「馬鹿には見えない服」を国民にお披露目するパレードを行った。これはつまり「私の国民に馬鹿は一人もいない」と確信している、ということである。「馬鹿な国民」の存在に想像が及ばないのは問題かもしれないが、当時の専制君主たちの中で、このような意識を持っていた執政者がどれだけいるというのか。

 イギリスには、領民のため裸で城下を一周させられたゴダイヴァ夫人の伝説が残っている。領民は、夫人の尊厳を守るため家の扉を閉じ、いっさい外出しなかったという。このとき夫人の裸を覗き見たピーピング・トムには神罰が下った。現在、イギリスにはゴダイヴァ夫人の銅像があるらしい。全裸の。……え、それは良いの?
 ともかく、「裸の王様」も、子どもの一言ごときで信念を崩さなければ、そのうち銅像になるような善政を敷けたのではないだろうか。

 また、王様は裸なのではなく、ちゃんと下着は着ているようだ。邦題で誤解してしまうが、いわば「裸の大将」と同じ装備であり、まあアルティメット・クールビズだと思えばなんとか見過ごせるレベルであろう。このご時世、彼から学ぶべきところは多い。